出産レポート 1
破水か、尿漏れか
今回から、5回に分けて「判断ミス連発」の出産編に突入! 出産に備えて読み漁った数々の情報誌や体験談が口酸っぱくして教えてくれていたことが、まったく生かされなかった初産のリアルです。
ドイツ語単語
Blasensprung:破水Austreten von Urin:尿漏れ
Kreißsaal:分娩室
Vorwehen, Senkwehen:前駆陣痛
筆者の出産体験記は、出産2日前から始まる。時期としては、37週。出産予定日まであと2週間ちょっとという頃。36週から週1回でスタートした、子宮口をやわらかくするという鍼治療の2回目を受診した後、帰宅してすぐ異変に気づいた。何の予兆や感覚もなく、下腹部からぼたぼたっと水が滴り落ちてきたのだ。
出産2日前
「んん?!」おりものにしては水っぽく、尿にしては尿意がなかったし、アンモニア臭もない。 「こ、これは破水なんじゃっ!!」慌てて、破水関連の情報を読み返しながら、自分の状態を検索ワードにし、対処法を探す。(下記、まとめ)尿か破水か、見極めポイント
- 尿意の有無:破水の場合は自分の意思では止められないといわれるが、妊娠後期に入ると膀胱が圧迫されているので、まったく尿意なく尿漏れすることもある
- 臭い:尿の場合は、アンモニア臭。羊水の場合は、生臭い臭い
- 量:破水は、卵膜が破れることによって起きるが、破れた位置によって、羊水の漏れ方が違う。量が少ないからといって見逃さないように!!
- 対応:破水の可能性を感じたら、とにかく病院へ電話。その後の対応について相談しよう!
「なるほど」と、取り急ぎ病院に電話する。ここで言う「病院に」とは、出産予定の病院の分娩室への直通の番号のこと。
(羊):あの・・・なんか下から水分が出てきました。尿漏れか破水か、自分では判断できません。
(分娩室の助産師):すぐに検査できますので、とりあえず分娩室に来てもらえますか?
予定日まで2週間以上あるし、たぶん違うだろうなと思いながらも、入院バッグを持って分娩室へ。まずは、「濡れた下着かナプキンを見せてください」と、水分が付着した箇所に薬品を振りかける。羊水だと、薬品に反応して青く染まるが、まったく反応なし。この時点で、「尿漏れ確定!」だ。
「やっぱりな」と、ちょっと安堵。まだ心の準備ができていないような気がしていたし、もう少し胎内で育った方が良いだろうと思った。
NST(胎児の心拍とお腹の張りを計測する検査)をし、「前駆陣痛はありますね。でも、出産の兆候というほどではないので、今日はお帰りください」と言われ、素直に帰宅。「尿漏れって、本当に尿意を感じないのね」と、しみじみと実感した。
出産前日
その翌日は、たまたま産婦人科での定期健診の日。ここでも、妊娠の経過は順調とのお墨付きをもらい。「予定日より早いかもしれませんよ。いざ始まったら出産の進行は早いかもしれませんね」と、予言めいたことを告げられた。
2日続けて病院に通い、出産はまだ少し先のことだろうと思い込んでしまったことが、翌日以降の判断を大きく鈍らせることになるとは、そのときの私は知る由もなかった・・・。
さらなる異変を感じたのは、出産前夜。どうもお腹か痛い。どういう痛みかというと、便秘のときのような腹痛。何度も夜中に起きてはトイレに篭ることを繰り返した長い夜を越え、いよいよXデーの朝を迎える!
次回、「タクシーか、路面電車か」に続く!