3. オペラってなぁに?
ウィーン国立歌劇場
欧州の街を歩いていると、いろいろなところで街の象徴的存在として建つオペラ・ハウスを見掛けます。中でもドイツはオペラ・ファンが多いとあって、人口が少ない小さな街にもオペラ・ハウスが存在します。ノルトライン=ヴェストファーレン州には、北はドルトムントから南はボンまで、ざっと数えても10カ所のオペラ・ハウスがあり、これはあの広大な米国全土の歌劇場を合わせた数と同じくらいです。
ところで、このルネッサンス末期にイタリアで誕生した“オペラ”とは、一体何なのでしょう。
始まった当初の名称はオペラではなく、ドラマ・デ・ムジカとかオーポス・デ・ムジカと言われていました。それがラテン語で音楽作品を意味する「オーポス」に略式化され、さらに「オペラ」へと変化しました。作曲番号に「Op.○番」と書かれていることがありますが、それはこのオーポスに由来しています。
オペラは簡単に言うと、歌と踊りがあるお芝居とでも言えましょうか。似たようなものがどこかにも…・・・そうです。歌舞伎です。ルーツは違いますが、和製のオペラと言えるでしょう。お囃子はオーケストラに当たります。
さて、このオペラなるもの、一般的にはちょっと取っ付きにくい存在でもあります。その理由には、言葉の問題があると思われます。たいていの作品はイタリア語やドイツ語、フランス語で歌われるのですが、理解するのは至難の業ですし、歌となるとさらに聞き取ることが難しくなります。しかも上演時間が長く、短いものでも2時間程、休憩を含めると3時間半くらい掛かります。
と、ここで再び歌舞伎の登場ですが、歌舞伎を観に行くお客さんは、台詞をきちんと聞き取れているのでしょうか。私は、完全には無理ではないかと思うのです。オペラも同じで、イタリア人だからといって、イタリア語の歌詞が全部聞き取れているわけではありませんし、合唱が加わったり、何重唱ともなればなおさらです。ですので、どうか皆さんもご安心ください。
ただ、オペラを楽しもうと思ったら、予習をすることをお勧めします。粗筋はもちろん、一番大事な音楽はCDなどを聴いて親しんでおくと、さらに楽しめます。中には小説や戯曲を基にした作品もあるので、その原作を読んでおくと、より理解を深められるでしょう。