#14 常夏の楽園にて

ライプツィヒ動物園には「ゴンドワナランド」という常夏の楽園がある。巨大なガラスドームの中には熱帯環境が再現されていて、天井の高さは34メートルだというから、シロナガスクジラを縦にしてもすっぽり収まるほどだ。そこにバナナやヤシの木が茂っていて、色鮮やかな鳥たちや、ワニやバクなんかが平和に暮らしている。
そこを訪れたある日のこと。ドームには柔らかな陽光が降り注いでいた。あぁ、なんて気持ちが良いのだろう。僕は晴れ晴れとした心地で、格子状のガラス屋根を仰ぎ見た。するとそこに、1匹の獣がぶら下がっているではないか。僕は目を細めて凝視した。……ナマケモノだ!しかし、なぜあんな高いところに?頭が混乱して、目はくらくらした。
それからしばらく、屋根裏に張り巡らされたワイヤーを伝ってゆっくりと移動するナマケモノを眺めていた。その姿は優雅で、哲学的でさえあった。しかし地上は天敵もいない楽園だというのに、なぜ彼はあんな場所にいるのだろう。いくら地上が楽園であっても、彼らの魂はそこに留まることを許さず、はみ出し者として生きる道を探し続けてしまうのかもしれない。本当のところはよく分からないけれど。でもきっと、空から見下ろす楽園の眺めは美しいことだろう。
ナマケモノは低燃費を極めた存在だ。食べた葉を四つの胃でゆっくり消化し、日々のほとんどを木にぶら下がって過ごすが、週に一度、排泄する時はわざわざ地上へ降りて、自分が食べていた木の根元で用を足すらしい。そんなことを調べていたら、ナマケモノのファンにならずにはいられないのであった。



インベスト・イン・ババリア
スケッチブック






