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第1回 旅費規定の変更

日本とは勝手が違うドイツでのビジネス。特に税務体系は複雑で、一筋縄では理解できません。そこでこのコーナーでは、今月から隔月6回の予定で、会計税理事務所リンケ・トロイハント社で日系法人顧客を担当する税理士が交代で、駐在員のドイツでの社会保障費規定や自家用車に対する課税など、身近なテーマを取り上げながら、ドイツの税法を分かりやすく解説していきます。初回は、2014年1月1日より改正された旅費規定について。その主な4つの変更点を被用者のために説明し、雇用主による精算時や個人の所得税申告時に、旅費が事業経費として控除対象になるかどうかといった留意点について見ていきましょう。

1. 交通費

最初の改正点は、「主な勤務地」という概念の導入です。これは従来の規定の中の「通常の勤務地」という概念にとって代わるもの。「主な勤務地」とは、被用者が長期的、固定的に勤務する雇用主の社屋という意味です。

「主な勤務地」とは、基本的には雇用者が所有する社屋や施設のことですが、関連企業や顧客企業の施設、あるいは被用者が学生の場合には大学と理解することも可能です。「主な勤務地」と住居の間の通勤費は1日1km当たり30セント(片道のみ)が事業経費として、控除の対象となります。この額から、雇用主が現金支給した定額課税の交通費や非課税の現物支給(定期券など)の金額を差し引いた額が実際の控除額となります。したがって、被用者の「主な勤務地」がどこであるかが、大きな意味を持つことになるのです。

通勤以外に掛かる交通費(出張費)は、従来通り走行距離(往復)1km当たり30セント、または実費(電車で移動する場合の乗車券など)について、雇用主から非課税で精算を受けることができます。精算が行われない場合には、同額を所得税申告の際に事業経費として計上することができます。

2. 食事手当

2014年から、雇用主が非課税で精算する、または事業経費として控除対象となる食事手当の定額規定が2段階に簡素化されました。外出時間が8時間を超える日帰り出張の場合は1日当たり12ユーロ、宿泊を伴う出張の場合も、出発日と帰着日は同じく12ユーロ。外出時間が24時間の場合は、1日当たり24ユーロとなります。これに加えて、雇用主が食事代も負担する場合、朝食代は1回につき4.80ユーロ、昼食・夕食代は同9.60ユーロを、定額で控除分から減額します(1日定額24ユーロの20%または40%)。  

以上は国内出張のケースですが、国外出張(ドイツ以外の国)の場合の食事手当も、今年から2段階の定額制となりました。1日の外出時間などの適用条件は国内出張時と同じですが、出張する国によって手当の額は異なります。

3. 二重家計

二重家計の場合、つまり単身赴任などで2カ所に住所を持つ必要がある場合、2つ目の住居の家賃は従来通り事業経費として、控除対象となります。2014年から、その最高月額が1000ユーロになりました。控除対象としない選択をする場合、非課税で雇用者から精算を受けることもできます。

上記の規定に加えて、二重家計となってから最初の3カ月間は、事業経費としての控除または雇用主による非課税精算という形で、②の出張時の食事手当の定額規定を適用することができます。

4. 出張時の宿泊費

1日以上におよぶ出張では、事業経費としてホテル代などの宿泊費実費を控除対象とすることができます。宿泊費については、定額規定はありません。

ホテルでの宿泊費に食事代も含まれている場合は、②で説明した形で、これを別途扱う必要があります。ホテルからの請求書の金額が食事代込みの一括料金でしか提示されていなければ、食事手当で規定されている通り、朝食では 20%、昼食・夕食では 40%分の金額を請求額から差し引いて算出することになります。あるいは、実費を事業経費として雇用主に非課税で精算してもらうことも可能です。

今後も、税制上の旅費規定は大幅に改定、簡素化されていく予定です。不明点や疑問点が発生した際は、弊社までお気軽にお問い合わせください。

(著: 税理士 クリスティーネ・フュッセル)

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リンケ・トロイハント会計税理事務所

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担当:田中
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