ジャパンダイジェスト
ドクターの診察室


気になる、尿漏れ

2人目の子供を出産してから、大声で笑った時に少し尿が漏れてしまうことがあります。赤ちゃんはまだ小さいため育児に忙しく、どうしたら良いのか誰にも相談できずに困っています。

Point

  • 男女共に尿漏れは決して希ではありません
  • 女性は出産後の骨盤底筋の緩みが関係
  • 男性は前立腺肥大が関係
  • 過活動膀胱は尿意切迫感が主症状
  • 外出の際は事前にトイレの場所の確認を
  • 一度、泌尿器科に相談しましょう

尿漏れが起こる原因は?(Harninkontinenz)

● 括約筋が大活躍

一日の大半は膀胱の出口の尿道括約筋がしっかり締まっていて尿が出てくることはありません。トイレの中ではこの尿道括約筋が緩み、同時に膀胱が縮んで排尿する仕組みになっています。

● トイレを我慢

この括約筋の収縮は神経反射により無意識に行われています。膀胱内にある程度の尿が貯まると尿意(Harndrang)を感じますが、自分で意識的に尿を我慢することができます。

● 尿漏れの原因は?

排尿の調節には複数の神経と筋肉が関与していて、このいずれかの問題で排尿調節に障害が生れます。女性では骨盤底筋(Beckenbodenmuskel)の緩み、男性では前立腺肥大が大きく関わってきます。

● 決して希ではない尿漏れ経験

一度だけの軽い「ちょい漏れ」も含めると4割以上の女性に尿漏れ経験があり(日本泌尿器科学会)、50歳以上の男性の3人に1人に尿漏れの経験があるといわれています(軽いものから、一度だけの経験も含めると8割近いという2016年のユニ・チャームの報告もあります)。

尿漏れのタイプ

尿漏れ(尿失禁)のタイプ

腹圧性尿失禁 咳など急な腹圧の上昇で 骨盤底筋の緩み
切迫性尿失禁 突然の尿意で我慢できない 骨盤底筋の緩み、前立腺肥大症
溢流性尿失禁 少しずつ尿が漏れ出てくる 前立腺肥大症
機能性尿失禁 排尿機能以外の原因 歩行障害など

● 腹圧が原因のタイプ(腹圧性尿失禁)

重いものを持ち上げたり、咳やくしゃみをしてお腹に力が入った時に尿が漏れてしまうのが、「腹圧性尿失禁(Belastungsinkontinenz)」です。40代の女性の尿漏れの多くがこのタイプです。

● 急に我慢できないタイプ(切迫性尿失禁)

急にトイレに行きたくなり(尿意切迫感)、間に合わずにトイレの手前で漏れてしまうのが「切迫性尿失禁(Dranginkontinenz)」です。膀胱が過敏になっている状態(過活動膀胱、Überaktive Blase、略はOAB、後述)が原因で、男性では前立腺肥大、女性では骨盤臓器脱が原因となります。40歳以上の男女の8人に1人にみられるといわれています。

● 少しずつ漏れるタイプ(溢流性尿失禁)

自分で尿を出したいのに尿が出にくくなる排尿障害に伴い、少しずつ尿が漏れてしまうのが「溢流性尿失禁(Überlaufinkontinez)」です。このような排尿障害の原因としては男性の前立腺肥大症があります。

● 排尿機能は正常なタイプ(機能性尿失禁)

排尿機能は正常なものの、例えば足が不自由でトイレまで間に合わない、認知症があって本来のトイレで用足しができないような場合を「機能性尿失禁」と呼びます。

女性の尿漏れ

● 男性より多い理由

① 解剖学的に女性の尿道は男性に比べ太く短い ② 経膣分娩で骨盤底の筋肉や付随する組織が引っ張られ生じた骨盤底筋の緩みが、尿漏れを起こしやすくしています。ドイツでの調査でも25〜35歳の出産後の女性の4人に1人に尿漏れがみられるということです。

● 女性の尿漏れには2つのタイプ

お腹に力が入った時にちょっと漏れる腹圧性尿失禁と、急に我慢し難い尿意を催して漏らしてしまう切迫性尿失禁の2つのタイプの尿漏れがみられます。女性の尿漏れ全体の約3割に両者が混在しています。

● 咳、くしゃみで

尿漏れは、咳(Husten)、くしゃみ(Niesen)の時に最も起きやすく、さらにスポーツの最中、大笑いなどお腹に急激な力が加わった時にもみられます。体が冷えてトイレが近くなる冬の時期も起こりやすくなります(2010年のユニ・チャームの調査より)。

● 骨盤底筋トレーニングが効果的

軽い腹圧性尿失禁は骨盤底筋トレーニング(Beckenboden-Training/-Übungen)によって改善が期待できます。骨盤底筋トレーニングは自分できますが、最初は理学療法科(Phisiotherapie)で指導してもらうことも可能です。

● 婦人科、泌尿器科に相談

「恥ずかしい」「何科を受診すれば良いのか」という人も、泌尿器科(Urologie)や、妊娠中にお世話になった婦人科(Gynäkologie)に相談してみましょう。分からなければまず家庭医(Hausarzt/-ärtin)に。

男性の尿漏れ

● 急に我慢できない尿意

例えば、水の流れる音を聞いた時だけでも急に我慢できない尿意を催し、トイレまで間に合わずに尿が漏れてしまうことがあります。このような症状は「過活動膀胱」とも呼ばれています(後述)。

● 多くは前立腺肥大症が関係

男性の尿漏れの多くは、前立腺肥大症(Prostatahypertrophie)に起因します。本症の50~70%に過活動膀胱がみられます。トイレが終わっても「切れ」が悪く、尿道内に貯まり残っていた尿がポタポタと垂れ出る排尿後尿滴下(しずく漏れ)も特徴的です。

● 症状の改善には?

排尿後のちょい漏れは尿道に残っている尿が原因。座ってのトイレでは排尿後に会陰部(睾丸と肛門の間)の皮ふを指で下から押し上げるように尿を絞り出すことである程度改善します。夜間のトイレや頻尿に対する膀胱機能や排尿機能の改善には、お尻の肛門の締めたり緩めたりする「肛門体操」や下半身強化の「スクワット体操」が効くこともあります。前立腺肥大の治療は、その程度と合併症状の有無により、薬物治療や手術療法が選択されます(詳しくは本誌839号「男性の前立腺の病気」を参照)。

● 泌尿器科に相談

似た症状をきたす前立腺がん(Prostatakarzinom)の除外も含め一度泌尿器科に診てもらいましょう。

「過活動膀胱」とは何?

● どのような症状が?

「尿意切迫感」を主症状とする膀胱状態の総称で、本来は単一の病気ではありません。時に「切迫性尿失禁」を伴い、多くは「尿回数が多い」「夜間のトイレ」を併せ持ちます。

● 原因は何?

前述の女性の骨盤底筋の緩み、男性の前立腺肥大、加齢化、膀胱と排尿機能を司る中枢神経系や末梢神経の障害などです。原因が分からない場合もあります。

● どのように診断を?

膀胱炎などの尿所見がなく、繰返し尿意切迫がある場合に診断されます。ほかの尿路の病気を除外するため、過活動膀胱問診票、国際前立腺症状スコア、トイレに行った時刻と尿量などを記した排尿日誌の評価、さらに排尿後の腹部超音波検査での膀胱の残尿量の測定などを行います。

● 治療方法は?

日常生活で改善できる点の改善、骨盤底筋トレーニング、膀胱訓練などの行動療法と膀胱機能を改善する薬物療法(男性では前立腺肥大症に対する治療も)が行われます。

● 長時間の外出はトイレの場所の確認を

ドイツの街中にトイレが少ないことも不安助長の要因。予めトイレの場所を確認しておくことが大きな安心に繋がります。いざという時の尿漏れ用の尿ケア用品も販売されています(Einmalschlüpfer mit enthaltener Vorlage 、日本のチャームナップ®に似ています)。

尿意切迫感(過活動膀胱)の日常生活での対策

● 水分をとる量を調節する
● 便秘対策も大切
● 下半身を冷やさないようにする
● 骨盤底筋トレーニング
● カフェイン、アルコールの摂取制限
● 少しずつトイレの間隔を延ばしていく
● 街のトイレの場所を確認しておく

最終更新 Dienstag, 05 Juni 2018 09:20
 

ドイツの花粉症(Heuschnupfen)

ドイツに来てから日本で苦しんでいたスギ花粉の症状が見られないので「良かった」と思っていたのですが、在独4年目となる今年3月半ばより、以前と同じような鼻水、目のかゆみ、くしゃみが止まらずに困っています。これはやはり花粉症なのでしょうか?

Point

  • ドイツにはスギ、ヒノキの花粉症はありません
  • 春先のシラカバ、夏のイネ科植物が主な原因
  • 抗ヒスタミン薬(薬局でも購入可)が治療の主体
  • 減感作療法は、効能と限界をよく理解してから
  • 洗面、鼻うがいなど、日常生活にも留意

花粉症とは

季節性アレルギー性鼻炎

草木の花粉が原因で、くしゃみ(Niesen)、鼻水(Nasenschleim)、涙(Träne)などのアレルギー症状を起こす病気です。花粉の飛ぶ季節だけにみられるので「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれます。

鼻と目の症状、全身症状

「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」の鼻の3 大症状に加え、「涙」「目のかゆみ」「充血」など目の症状を伴うことも多く、 さらに軽い風邪を引いたような熱感、だるさなどの全身症状が加わることもあります。

ドイツに来てから3〜4年で発症

日本では問題にならなかったシラカバやイネ科植物でも、ドイツで毎年繰り返して花粉に暴露されることにより、抗体(IgE抗体、Antikörper)が作られて花粉症になる人がいます。

スギ・ヒノキの花粉症はなし!

ドイツ(欧州)にはスギ、ヒノキの分布はありません。

花粉症のメカニズム

主役は即時型アレルギー反応

花粉症は、異物である花粉を除去するためにつくられた抗体との間で起こる即時型アレルギー反応です。抗原である花粉が鼻や目にある免疫細胞のIgE抗体と結合し、細胞から花粉症の症状を惹き起こすヒスタミンなどの化学物質を分泌することにより発症します。

症状は本来合目的

ヒスタミンは、血管を拡げたり(鼻づまり、目の充血)、血管壁の水分透過性を増したり(鼻水)、かゆみ(鼻のムズムズ感、くしゃみ)を生じる作用があります。これらは異物である花粉を体外に排泄しようとする作用です。

ドイツの花粉症

パンフレット

春先の花粉症

3月からはブナ科のハンノキ属(Erle)、3月下旬〜5 月はシラカバ(Birke)の花粉が猛威を振るいます。4月は市街地、郊外を問わず多くの花粉が飛散し、さらにトリネコ(Es che)、ポプラ(Pappel )、ニレ(Ul me)、ヤナギ(Weide)などの花粉が飛び交います。

初夏から夏の花粉症

5〜8月初旬にかけてはイネ科植物の花粉が主役です。代表はカモガヤ(単にGräserと呼ばれることも)、イネ科植物は違う種類でも花粉の共通抗原性が高く「イネ科花粉症」と総称されています。目鼻に加え、皮ふのかゆみなど全身症状が出やすいことが特徴。

夏から秋の花粉症

キク科のブタクサ(Beifuß)、アンボロシア(Ambrosia)も7月下旬〜8月にかけて、時には10月末頃まで飛び交います。

果物アレルギーと花粉症の関係

主な花粉症でみられる果物アレルギー

シラカバ花粉症 モモ、リンゴ、ナシ、サクランボ、キウイ
ブタクサ花粉症 メロン、 バナナ 、スイカ
カモガヤ花粉症 オレンジ、レモン

「 口腔アレルギー症候群」って何?

果物アレルギーは正式には「口腔アレルギー症候群(orale Allergiesyndrom)」と呼ばれています。リンゴ、サクランボ、モモ、メロン、キウイなどの果物を食べると、口の中がピリピリとむず痒くなるのが症状です。

花粉症があって生じる果物アレルギー

果物アレルギーは花粉症と密接な関係があります。花粉症を起こす草木と植物学的に同じ科に属する果物では、抗原が似ているためアレルギーを起こしやすくなります。 シラカバの花粉症ではサクランボ、リンゴ、モモ、ナシ、イチゴ、キウイ、ブタクサの花粉症の人にはメロンやスイカ、バナナ、カモガヤ花粉症はオレンジのアレルギーと関係します(詳しくは本誌937号を参照)。

花粉症の検査

季節と症状から判断

毎年ある季節になると特定の場所で、鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどの症状が現れるような場合には、花粉症を疑います。花粉飛来情報と症状の増悪が一致するようであれば、原因となる草木を推測できます。

血液中のIgE測定

IgEの総量でアレルギー性疾患の有無を推測できます。各々の花粉の特異的IgE値を測定すれば、その花粉に感作されているかを判断できます。測定値が高いほど花粉症の原因となっている可能性は高くなりますが、特異的IgE値と臨床症状がいつも相関するとは限らず、原因究明にも限界があります。

皮ふ試験

皮ふに花粉症の抗体がある場合には、即時型アレルギー反応により出されたヒスタミンによって皮膚の赤み、皮膚の盛り上がりがおこります。このテストは間接的に特異的IgE抗体の存在を示しているもので、前述の特異IgE抗体と同様に抗原による感作状況を調べる検査です。診断の参考になりますが、これだけで花粉症の原因を診断することはしません(日本アレルギー学会「一般の皆様へ」の説明より)。

花粉症の治療

抗ヒスタミン薬

花粉症の治療の中心となる薬です。特に、くしゃみ、鼻水が強い花粉症に有効です。花粉によるアレルギー反応によって出てくるヒスタミンという炎症物質の作用を抑える薬です。一般に効果が強いほど副作用である眠気が強くなる傾向があります。

抗ロイコトリエン薬

鼻詰まりの原因となるロイコトリエンという物質の作用を抑えます。数日服用して徐々に効果が高まります。

ステロイド製剤

いくつかの薬の組み合わせでも全く症状の改善が見込めない重症な場合には、一時的にステロイド製剤が用いられることがあります(鼻アレルギー診療ガイドライン 2016より)。ステロイドは血糖上昇などの副作用もあるので、使用の際には留意が必要です。

アレルゲン免疫療法

減感作療法とも呼ばれ、花粉症の原因である抗原(アレルゲン)を少量から皮下注射あるいは舌下投与することで、体を抗原に慣らしアレルギー症状を和らげる治療法です。治療の前に症状が減感作の対象となる抗原によるものかの確定診断が必要です。治療は3〜5年と長期間かかります。また、治療を受けたすべての人に効果が期待できるわけではないことへの理解も大切です(改善30%、少し改善19%、効果なし21%、治療中断30%、東京都福祉保健局の報告書)。

日常生活での留意点

鼻洗浄 Nasenspülung、Nasendusche

鼻腔内に付着した花粉を生理食塩水で洗い落とす方法です。ドイツでは廉価な専用器具が専用の食塩(Nasenspülungsalz)と共に薬局などで販売されています(EMSER Nasendusche®など)。最も安価で副作用のない鼻腔の花粉除去法といえます。

衣服

羊毛の服は綿素材に比べ約10倍も花粉付着率が高く、化繊は綿の衣服の約2倍、絹は1.5倍と報告されています(東邦大学の佐橋先生による平成10年の調査)。衣服を着替える浴室などでは屋内にも関わらず鼻水や咳が出るのは衣服に付着した花粉が原因のことも。

タバコ、アルコール

喫煙は粘膜を傷付け、アルコールは血管を拡張させて鼻づまりを酷くする可能性があるといわれています。

最終更新 Mittwoch, 09 Mai 2018 12:34
 

ドイツで薬を買うには

3月にドイツに来ました。日本では駅前の薬局チェーンで風邪薬を買っていたので、ドイツ語もできない現状では医師に相談するのも億劫です。ドイツでは薬はどこで買えば良いのでしょうか?

Point

  • ドイツ語で薬はMedikament
  • 風邪薬・熱冷ましは薬局で買えます
  • 処方せんが必要な薬は、まず医師を受診
  • ドロゲリーでは滋養、健康増進の薬品、ビタミン製剤が購入可能
  • 日本での薬の継続には一般名と規格が大切

薬局と薬店(ドロゲリー)

薬局 Apotheke

薬剤師(Apotheker/-rin)が常在し、処方せん(Rezept)で出される薬(Rezept-pflichtige Medikamente)と、薬局だけで販売が許可されている(Apothekenpflichtige Medikamente、「薬局販売医薬品」)処方せん不要の一般医薬品(OTC「= Over The Counter」医薬品、Pflichtfreie Medikamente)を扱っています。

ドイツの医薬品の分類と薬局

薬局 薬局 薬局とドロゲリー
処方せん必要 処方せん必要なし 処方せん必要なし
処方せん医薬品 薬局のみで販売 自由販売の医薬品
医師の指示が必要 副作用が少ない安全性が高い 強壮、健康改善、疾病の予防など
多くの治療薬品 •解熱鎮痛薬 •風邪薬 •胃腸薬
•植物製剤 など
•ビタミン誘導体
•ハーブティーなど

ドロゲリー(薬店) Drogerie

処方せんの必要がない一般医薬品(OTC医薬品)のうち、薬剤師を必要としない「自由販売医薬品」(Freiverkäufliche Medikamente)のみを扱っています。滋養強壮、健康増進に役立つサプリメント、ビタミン製剤、植物の入ったハーブティーのほか、石鹸、体温計、絆創膏なども置いてあります。DM、Rossmann、Müllerなどのドロゲリーのチェーン店が有名です。

扱われる医薬品の分類

処方せんが必要な薬

予防接種ワクチン、きちんとした服薬管理が大切な薬剤(糖尿病治療薬、心臓の治療薬など)、安易に飲むべきではない薬剤(抗菌薬、睡眠導入薬など)、作用の強い薬(大きな容量の解熱鎮痛薬など)、新薬(neue Medikamente)が当てはまります。

薬局で扱い、処方箋の必要ない薬

それほど作用が強くない、しかも短期間だけ用いるような薬剤、成分の安全性がよく知られている薬剤(風邪薬、低容量の解熱鎮痛薬、花粉症の薬の一部など)は、薬剤師に症状を話し、助言を得て購入することが可能になります。

滋養強壮、健康増進、ビタミン剤など

ドロゲリーと薬局では、具体的な効能や明白な治療効果がなく、強壮、健康状態の改善、内蔵器官の機能保全、疾病予防に役立つ医薬品も扱っています。植物由来の医薬品やビタミン誘導体なども含まれます。

薬代の支払い

公的疾病保険で、処方せんあり

公的疾病保険(義務疾病保険、gesetzliche Krankenversicherung、GKV ※詳細はドイツニュースダイジェスト1049号参照)では、処方せんのある場合の薬代は基本的に無料ですが、規定によって薬局で5〜10ユーロの追加料金(Zuzahlung)の支払いが必要な場合もあります。

公的疾病保険で、処方せんなし 

処方せんを必要としない薬剤は公的疾病保険の適応外です。12歳未満の子供、発達障害がある18歳までの青少年は例外で、薬代が保険でカバーされます。

プライベート疾病保険の加入者 

民間のプライベート疾病保険(privater Krankenversicherung ※詳細はドイツニュースダイジェスト1051号参照)では、薬剤代を薬局で一旦自分で支払い、それをプライベート保険会社に申請することによって、契約規定に則った金額が本人宛に払い戻されます。

大切なプライベート疾病保険加入時の申告義務 

加入時に申告し忘れた日本からの継続治療の薬、非常に高額の薬剤(例えば、肝炎ウイルス治療薬の開始)については、薬を購入する前に加入しているプライベート疾病保険会社に確認をとるようにしてください。

処方せん医薬品の薬局での追加料金(公的疾病保険)

  • 最大で10ユーロ
  • 18歳未満の患者は支払いなしを
  • 同一有効成分で最も安い製剤では追加料金なし
  • 例:医薬品10ユーロでは5ユーロ支払い
  • 75ユーロでが7.5ユーロ
  • 400ユーロでは10ユーロ
  • 4.75ユーロでは4.75ユーロ

(2018年1月のドイツの厚生省のパンフレットより)

薬は薬箱ごと保管を

N1、N2、N3 とは何?

ドイツで購入した薬箱に記されているN1、N2、N3のNは規格(Norm)の意味で、中に入っている錠剤(カプセル剤)のおよその数量を表しています(例えば、降圧薬のカンデサルタン8mgでは、N1が28錠、N2が56錠、N3が98錠入り)。

薬の説明書 Beipackzettel

購入した薬箱の中には、小さな文字で記された使用説明書が入っています。説明書の大きさ・形・レイアウトはまちまちですが、すべて次の6項目の内容が順に記載されています。薬の働きと適応される病気服用に注意を要する場合薬の飲み方生じうる副作用について保存方法成分・会社名。処方した医師か薬局の薬剤師に服用法を教えてもらうことが大切です。

ジェネリック医薬品(Generika)

75%以上の高い普及率

ジェネリック薬(後発医薬品)とは、新薬の特許が切れたあとに販売される同じ有効成分、同じ効き目の薬剤です。ドイツの公的疾病保険での処方薬全体の77%がジェネリック薬です(Pro Generika 2017年の資料より)。目にすることの多い1A、AL、CT、Ratiopharm、Hexalなどのは代表的なジェネリック医薬品メーカー。

薬局が処方せんの医薬品を選べる

公的疾病保険の処方せんの場合、薬局に同じ有効成分でより安価なジェネリック製剤があれば、薬局でそちらを調剤することができます。この仕組みは「代替調剤ルール(Aut-idem-Regel)」と呼ばれており、ドイツのジェネリック薬の普及と医療費節減に役立っています。

植物製剤の普及

薬用植物からの薬

薬用植物(薬草、Heilpflanzen)からつくられた「薬」を、病気の予防や治療に用いることを植物療法(フィトテラピー、Phytotherapie)と呼びます。ドイツでは薬事法(Arzneimittelgesetz、AMG)の基準に則って製造された植物製剤の錠剤やカプセル剤が広く用いられています。

効果はマイルド、でも安心の印象

薬用植物の効果は一般にマイルドで、効能として幅広いものが多く、風邪、消化器症状、不眠、メンタル症状、皮ふ病などの領域で好まれて用いられています(PASCOE研究のアンケート結果より)。代表的な植物の作用と治療領域については、ドイツニュースダイジェスト928号をご参照ください。

緑色の処方せん grünes Rezept

植物製剤の多くは本来は処方せんを必要としない一般医薬品として扱われるため、公的疾病保険の適応外です。しかし、医師が口頭で植物製剤をすすめても薬局では何の薬剤を示しているか分からないことが多く、その際に用いられるのが「緑色の処方せん」です(疾病保険適応となる通常の処方せんは赤色)。

日本からの治療薬を継続する

薬剤の「一般名」と「規格(mg)」が大切 

各々の薬には「商品名」と「一般名(有効成分名)」があります。世界的に販売されている薬でも国によって商品名が異なることも多いので、薬の検索には一般名が重要です。日欧では同じ薬剤でも1錠に含まれる容量が異なっていることも多く、日本での治療で用いられていた薬剤の規格(容量)も大切です。

同じ薬を入手できない時

日本の製薬企業が開発し国内だけで販売している新しい薬の中には、欧州市場では入手できないものも数多くあります。全く同じ有効成分の薬がドイツで入手できない場合には、作用と効果が非常に似ている代替の治療薬を探すことになります。

最終更新 Dienstag, 10 April 2018 11:09
 

ゲーム障害 (コンピューターゲーム依存)

中学生の子供が家に帰るとコンピューターゲームばかりして、夕食を一緒に食べないこともあります。最近ではインターネット依存やゲーム障害という言葉があると聞きましたが、その心配はないでしょうか?

Point

  • ゲームに没頭、プレイ時間を管理できず、止めるとイライラ感が
  • 心身の健康に支障が生じ、人間関係、社会生活にも影響が出ます
  • 嗜癖(しへき)行動の異常と考えられています
  • ゲームを行う際の自己ルール作りが大切です
  • 背景因子の改善も含め、専門家による対応が必要なことも

新しい病名「ゲーム障害」

WHOが追加予定

医療機関の診療記録の管理や、病気の頻度、死因を国際比較する時の世界共通の分類が国際疾病分類(通称ICD分類)です。「ゲーム障害」(原文でGaming disorder、ドイツ語でComputerspiel-Abhängigkeit、Computerspielesucht、Internetsucht、Videospielsuchtなど)という病名が2018年内に改定される疾病分類(ICD-11)に新たに加えられる予定です。

どのような病気?

「ゲーム障害」はコンピューターやスマートフォンのゲームに極端に没頭し、ゲームをしたい気持ちが最優先され、日常や社会生活にも影響が出てくる状態です。嗜癖(Abhängigkeit)による行動障害として、ギャンブル嗜癖(障害)と同様の疾患として加わることになります。

診断の基準は?

WHOの草案ではゲームを行う回数、時間、中止することを自分でコントロールできない状態ゲームがほかの日常的活動より優先される場合ゲームへの没頭が生活や周囲との関係に悪影響が出ていても止められず、さらに熱中するといった状況のいずれかが1年以上続いている場合を「ゲーム障害」と定義しています。

社会問題化が背景に

ゲームへの嗜癖行動は近年世界中(特にアジア諸国)で、「ゲーム依存症」「ネット廃人」「インターネット中毒」「インターネットゲーム障害」「オンラインゲーム依存症」などとして社会問題化してきました。ドイツでも同じで、ドイツ厚生省は「薬物と中毒(依存)に関する報告書(仮訳)」(2016年)の中でコンピュータゲーム障害やインターネット依存の問題を取り上げています。

ゲーム障害の頻度

診断の基準により異なりますが、リューベック大学によるインターネット依存の頻度調査では、14〜64歳の1.0〜1.5% (PINTA Studie 2011年の報告)、また先の「薬物と嗜癖の報告書」によると全年齢でみると約0.8%、中学3年生以下だけでは約1.2%がインターネット依存の状態にあると推測されています。

増大する子供のインターネット利用時間

2016年に12〜25歳のドイツの青少年を対象に調査を行ったDAK(公的疾病保険組合の一つ)の報告書「Game over」では、WHOの基準とは異なるものの、男子は12人に1人(8.4%)、女子の5.5%がコンピューターに依存した生活を送っているとされています。

パンフレット

ゲーム業界の反応

WHOの動きに対し、ゲーム業界の団体「エンタテイメント・ソフトウェア協会(EPA)」は「ビデオゲームに中毒作用はないと客観的に証明されている」と反対声明を出しています(朝日新聞1月5日)。しかし、最近のゲームソフトには難易度を次第に上げていったり、アイテムの購入などの付加要素を併せ持ったものも少なくなく、ゲーマーによっては嗜癖行動に繋がりやすくなっていると考えている人が多いのも事実です。

ゲーム障害への過程と兆候

段階的な幾つかの変化がみられます

コンピューターゲームに夢中になるゲームをしていないとイライラしたり、不安を感じる(この時点での注意が必要です)ゲームの興奮や達成感を求めて、刺激のある内容や難易度の高いゲームを求めるようにゲームから離れにくくなる以前の趣味や興味対象への興味がなくなるゲームを中断した方が良いと理解しつつも、さらに長い時間没頭するように実生活での不満をゲームをして回避するようになるゲームへの没頭が際限なくなるほかの人との関係、職場や学校などでの立場が脅かされるように(オーストリアの新聞、Der Standard 2017年12月の特集記事より抜粋意訳)。

ゲームを楽しむ人への助言

依存兆候の有無を振り返ってみましょう

ゲームに熱中しすぎて知らぬ間に自分や周囲の人の生活に支障をきたしていないか振り返ってみましょう。ゲームに費やす時間が長すぎないか、家庭での生活(食事の時間、役割分担、家族での外出など)に影響していないかを考えてみましょう。ドイツのカリタス(Caritas)が挙げている自己チェックポイントを下記に示します。

ゲームに没頭している人のための自己点検
ゲームの頻度

ゲーム時間を管理しましょう

欲求の赴くままに漠然とコンピュータゲームを続けるのではなく、自分でコンピューターを操作する時間を管理しましょう。タイマーやシャットダウンを用いるのも一案です。

背景も考えてみましょう

なぜ、ゲームにのめり込むようになったのか、経緯を考えてみましょう。そして生活の中や交友関係で何を変えれば良いのか考えてみましょう。自分で解決法が見出せない場合には、ドイツには専門家による相談の場が設けられていますので、掛かり付け医(Hausarzt/-ärztin )や臨床心理士(Psychotherapeut)に一度相談してみるのも良いでしょう。

Q&A

なぜゲームをすることに依存性があるのですか?

コンピューターゲームの依存者がゲームをする際は、薬物中毒の患者が薬物を摂った時と同じような神経学的影響があると考えられています。ゲーム中での勝利が達成感を生み、それが常習化することによりさらに強い刺激を必要とする状態にはまり込んでいくためと考えられています(ボーフム・ルール大学のBert te Wildt教授)。

皆がゲーム障害に陥りますか?

ゲームをする人全員でなく、一部の人だけに何らかの影響がみられています(統計調査では常にゲームをする人の100人に約1人、すなわち約1%です)。

インターネットで脳機能は低下しますか?

コンピュータで文章を書くようになってから手書きの漢字が書けなくなったという話をよく耳にします。実際、ドイツのマンフレッド・スピッツァーは、コンピュータ類の使い過ぎは脳機能を低下させるという内容の「デジタル痴呆」(Digitale Demenz)という本を書いています。しかし、脳科学者はデジタル機器によって実際に脳機能が衰退(痴呆化)するという証拠はないと反論しています(WELT 2013年1月2日のインタビュー記事)。

ゲーム障害で命を落とす危険は?

何よりもゲームへ集中することが優先されるため、心身の健康が損なわれることも。実際、寝食を忘れて50時間以上連続でゲームに没頭し心臓発作を起こして死亡した例などが相次いで報告されています。

ゲーム障害は精神疾患ですか?

米国では精神科学会がゲーム依存に取り組み、WHOは「精神障害・行動障害・神経発達障害」の一病名として追加(予定)、ドイツの厚生省は「薬物および中毒(依存)」の中で議論をしています。ゲーム障害でも耐性(より強い刺激、すなわち難易度の高いゲーム)離脱症状(ゲームを止めると心身症状が現れる)抑制喪失(自分の意思で止めることができない)などギャンブル依存などと同じ依存症患者の特徴がみられます。一方、ゲームに依存してしまう背景や原因を議論する研究者もいます。

強制シャットダウンという手段は?

韓国では、2011年にシャットダウン法という法律(16歳未満の子供が午前0時から午前6時までオンラインゲームを禁ずる法案)が成立しています。

最終更新 Dienstag, 06 März 2018 14:33
 

ドイツ国外への旅行・出張のための予防接種

10日間ほどドイツから中央アフリカへ出張を予定しています。その際に必要な予防接種を教えてください。また、1日ですべての予防接種を済ませることは可能でしょうか?

Point

  • 破傷風は10年に一度の追加接種が必要
  • 麻しん(はしか)の接種歴の確認を
  • A型肝炎、B型肝炎の接種は済んでいますか?
  • 狂犬病は野犬だけでなく、野生動物からも感染
  • 黄熱は1回の予防接種で生涯有効です
  • 日程に十分なゆとりを持って予防接種を

ドイツ国外での感染予防

日本人に多い未接種項目

邦人で未接種が多い予防接種

未接種 A型肝炎、B型肝炎、狂犬病
2回目が未接種 麻しん(はしか)
追加接種の忘れ 破傷風

ドイツを含む多くの国・地域で予防接種が推奨されているものの、日本人で未接種が多いのが、A型肝炎(Hepatitis A)、B型肝炎(Hepatitis B)、狂犬病(Tollwut、Rabies)です。2回接種が標準の麻しん(Masern)も1回だけの接種の人が多く、世界各地で感染リスクがある破傷風(Tetanus)も、10年に一度の追加予防接種がなされないと予防効果は消失してしまいます。

ドイツの予防接種、訪問国の予防接種

ドイツに暮らしながら、仕事や旅行で旧東欧、ロシア、中近東、アフリカに出かける機会も少なくありません。ドイツでの生活で必要な予防接種に加え、出張などでの滞在地域で必要とされる予防接種についても予め調べておきましょう。

注射したその日からは、予防効果がありません

予防接種は接種したその日から予防効果が得られるわけではありません。ワクチンによっては間隔を空けて2〜3回の接種を必要とするものもあります。出張や旅行が予想される場合には、十分な日程のゆとりを持って予防接種計画を立てることが大切です。

ドイツからの渡航先と予防接種

中東 /北アフリカ/
南アフリカ
中央アフリカ 旧東欧ロシア
短期滞在の
観光・出張
A型肝炎、麻しん 左記 + 黄熱 麻しん
長期滞在の
観光・出張
B型肝炎、狂犬病、破傷風、ポリオ 左記 + 黄熱 A型肝炎、B型肝炎、
狂犬病、
破傷風、ポリオ

中東、北アフリカ・南アフリカ

短期滞在では麻しんとA型肝炎、長期滞在ではさらにB型肝炎、狂犬病、破傷風とポリオが必要です。

中央アフリカ

前記に加えて、滞在期間に関わらず黄熱(Gelbfieber)の予防接種が必要となります(後述)。予防接種ワクチンはないものの、マラリア対策も大切です(詳しくは本誌Nr.676号を参照)。

旧東欧、ロシア

短期滞在では麻しん、長期滞在ではさらにA型肝炎、B型肝炎、狂犬病、破傷風とポリオが必要です。特にルーマニアの都市郊外には野犬も見かけられ、都市中心部以外を訪れる場合には狂犬病の予防接種が望ましいと考えられます。

予防接種ワクチンのABC

破傷風(Tetanus)

10年に一度の追加接種が必要です。以前の注射歴が不明な場合には、抗体価(Antikörpertiter)を一度確かめてみることも有用です。幼少時にだけ接種を受けたという人も多いかもしれません。

黄熱(Gelbfieber)

黄熱は、指定の医療機関(Gelbfieber-Impfstellen)のみで予防接種(1回のみ)を受けられます。黄熱予防接種証明(Gelbfieberimpfbescheinung)を通称「黄色い手帳」に記載してもらいます。黄熱は一度予防接種を受けると生涯有効です(2016年7月より)。接種後10日で90%、接種後30日で99%の人で免疫が確立されるので、渡航前の時間的なゆとりが必要です。生ワクチン(lebendes Vaccin)である黄熱ワクチン(gelbfieber Impfstoff)接種後4〜6週間は、ほかのワクチン接種を受けることはできません。そのため、渡航前に複数のワクチン接種を希望する人は、黄熱ワクチンの接種を一番最後にもってくるのが望ましいです。

A型肝炎(Hepatitis A)

大人の場合、1回の予防接種で有効ですが、6カ月〜1年後に1回の追加接種を受けることにより、10年以上(90〜99%の大多数で25〜40年)の予防効果が期待できます。接種して約2週間後から予防効果が得られます。

B型肝炎(Hepatitis B)

未接種の大人の場合、3回の接種(初回、1カ月後、6カ月後)を行います。約4週間後から予防効果が得られ、3〜10年の予防効果が期待できます。2016年に日本の定期接種に組み込まれる前の世代では予防接種を受けていない人がほとんどで、感染リスクに対し無防備な状態ともいえます。なお、国産(日本)のB型肝炎ワクチンでは抗体ができにくい人もいることが指摘されています。

狂犬病(Tollwut、Rabies)

3回の接種(初回、7日後、3~4週間後)が必要です。予防効果は3回目の接種が済んで1週間後から得られ、10年以上の予防効果が期待できます。ルーマニアでは野犬が少なくないため留意が必要。狂犬病はウイルスを保有している犬からだけではなく、欧州ではネコ、コウモリ、キツネ、アライグマなどからも感染します。

ポリオ(Poliomyelitis)

成人では3回の接種(初回、1~2カ月後、1年後)が必要です。2回目の接種後2週間で予防効果が得られます。3回接種で10年以上の予防効果が期待できます。ポリオウイルスに汚染された水、食物により感染します。アフリカのナイジェリア近辺が、高リスク地域とされています。

麻しん/はしか(Masern)

未接種の成人では2回の接種(初回、4週以上の間隔で2回目)が必要です。接種後1週間で予防効果が得られ、2回接種でほぼ生涯にわたる予防効果が期待できます。ドイツでは、1970年以降生まれで接種が不確か、もしくは1回接種しか受けていない人は、麻しんワクチンの接種を受けることがすすめられています(ロベルト・コッホ研究所のSTKIKO)(詳しくは本誌Nr.1057号を参照)。

推奨されている予防接種の概略

接種回数 効果までの日数 有効期間
破傷風 10年毎に追加接種 10年(以上)
黄熱 1回 10〜30日 生涯有効
A型肝炎 1回 + 追加接種 2週間 10年以上
B型肝炎 3回 4週間 3〜10年
狂犬病 3回 3回接種後1週間 10年以上
ポリオ 3回 2回接種後2週間 3回接種で10年以上
麻しん(はしか) 2回 約1週間 ほぼ生涯有効

* ドイツ国内で予防接種を受けた場合の目安

予防接種はどこで?

かかりつけ医などの医療施設で

かかりつけの家庭医(Hausarzt/-ärztin)で予防接種が受けられます。黄熱に関しては、旅行医学(Reisemedizin)や熱帯医学(Troponenmedizin)を専門とする黄熱予防接種の指定医療機関でのみ接種を受けることが可能です。

便利な「黄色い手帳」

世界保健機構(WHO)の推奨に則った予防接種記録を一冊の世界共通の小冊子にまとめたもので、ドイツを始め世界各国で用いられています。日本では母子手帳に乳幼児の予防接種記録が記載され、本人ではなく母親が所持・保管している場合がほとんどですが、海外生活が長い人やお子様は、「黄色い手帳」も活用してみると良いでしょう。

マラリア(Malaria)予防薬

蚊によって媒介される原虫症

マラリアは蚊(Mücke)によって媒介されるマラリア原虫の感染症です。感染リスクのある地域は広大で、2016年の世界の感染者数は約2億人、73万人が亡くなったと推定されています(2017年のWHOのマラリア報告書より)。

旅行中の抗マラリア薬

マラリア原虫に対しての予防接種はまだ確立されていません。そのため、流行地を旅行する人は、蚊にさされない予防処置と事前に抗マラリア薬(マロランなど)など薬剤による予防(Chemopraphlaxe)がなされます。詳しくはかかりつけ医もしくは旅行医学、熱帯医学の専門医に相談してください。

最終更新 Dienstag, 06 Februar 2018 15:14
 

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