ドイツで楽しむ
アドベントカレンダー
\クリスマスまでの特別な24日間/
短い秋が過ぎるとやってくる、ドイツのクリスマス。今年はコロナ禍の不安もあるからこそ、家での時間を楽しみたい……。そんな気持ちにお応えすべく、今回はドイツの「アドベントカレンダー」の魅力をご紹介。12月1日から24日までの温かい毎日を、大切な人や自分に贈ろう。(Text:編集部)
アドベントカレンダーとは?
12月1日からクリスマスまでの日数を数えるためのカレンダー。一般的にアドベントカレンダーには24個の「窓」が付いており、毎日一つずつその窓を開けていく。窓の中にはチョコレートや小さなプレゼント、物語の一編、イラストや写真などが入っていることが多く、全ての窓を開け終えたらクリスマスを迎えたことになる。
アドベントカレンダーの物語
そもそも「アドベント」とは、イエス・キリストの降誕を待ち望む待降節のことであり、11月30日に最も近い日曜日からクリスマス・イブまでを指す。今から1500年ほど前にはすでにアドベントの慣習があったといわれ、この期間は断食や禁酒などが行われる厳かなものだった。
一方、アドベントカレンダーが生まれたのは19世紀初頭ごろ。クリスマス・イブまでの時間を子どもたちが楽しく過ごせるようにドイツのルター派の間で始まり、当初は24枚の宗教画を毎日1枚ずつ壁に掛けたり、チョークで書かれた24個のマークを毎日一つずつ拭き取ったりするものだったという。
現在のアドベントカレンダーの原型を作ったのは、バーデン=ヴュルテンベルク州出身のゲルハルト・ラング(1881-1974)の母親といわれている。彼の母は、番号を振った24個の小さな段ボール箱にタペストリーを縫い付け、息子のラングに毎日一つずつ箱を開けて中のキャンディーを食べさせたという。大人になったラングは、この母親のアイデアに着想を得て、1908年にリトグラフを使ったアドベントカレンダーの製造を開始した。その後ラングは、1926年には窓を開けてチョコレートを取り出すタイプのアドベントカレンダーを発明。1930年代後半には、ほかの企業も販売するようになるとともに、多くの親が子どものためにアドベントカレンダーを自作した。しかし第二次世界大戦中は、ナチス政府によって絵の入ったカレンダーの販売が禁止に。ラングが経営していた出版社も、1940年に閉鎖を余儀なくされた。
戦後にアドベントカレンダーの販売が復活すると、1950年代には再びチョコレート入りが登場し、世界中で大人気になった。そして現在でも、12月の朝になると、子どもたちは少しだけ早起きに。ワクワクしながらアドベントカレンダーを開ける姿は、クリスマスシーズンの風物詩となっている。
参考: Deutsches Weihnachtsmuseum「Adventskalender」、Richard Sellmer Verlag「Die Geschichtedes Adventskalenders」