ドイツ人は年間11キロのチョコを食べる!?チョコレート大国ドイツの愛とおいしさの秘密
季節ごとにさまざまなフレーバーが楽しめ、疲れた時の甘〜い一口がたまらないチョコレート。そんなチョコ好きにとってうれしいことに、ここドイツはチョコレート大国だ。年間1人当たり約11キロのチョコを消費するというドイツ人の「チョコ愛」を探るとともに、編集部スタッフがドイツチョコの食べ比べ調査を、別ページにて実施!大切な誰かやいつも頑張っている自分に贈りたい、絶品チョコが見つかるかも? (Text:編集部)
ドイツ人とチョコの愛の物語
中南米からドイツへの長い旅路
チョコレートの歴史の始まりは中南米。紀元前に繁栄したオルメカ文明にはチョコレートの原料である「カカオ」に似た言葉があり、最初にカカオを利用したといわれている。その後、マヤ文明(4~9世紀)ではカカオの栽培を開始し、上流階級の間で飲料として重宝された。またカカオは貨幣や神への捧げものとしても役割を果たしていたという。
16世紀初頭、アステカ王国(14~16世紀)はスペイン軍の征服によって植民地となった。それを機にスペイン人たちがカカオ飲料(チョコレート)に砂糖を入れて飲むようになり、欧州にチョコレートが到来。16世紀末には薬用効果もある高級品として、欧州各地の特権階級や聖職者の間で広まり、需要が高まったことで植民地でのカカオ生産が始まった。
産業革命によって大量生産が可能になると、安価なチョコレートが出回るようになり、1847年には英国で初めて固形チョコレートが生産された。その後、1875年にスイスでミルクチョコレートが誕生すると、ドイツでもミルクチョコレートの生産が盛んに。今日にも残るチョコレートメーカーが誕生したのもちょうどこの頃からで、ドイツの一般市民たちもチョコレートを楽しめるようになった。
戦争を経てチョコレート輸出大国に成長
第二次世界大戦中、ドイツではチョコレートのほとんどは軍向けに生産されていた。そのため、終戦後に米国の慈善団体から寄付されたチョコレートが、初めてのチョコレートだったという子どもも少なくなかったという。そして、戦後復興のなかでドイツのチョコレート生産は再び息を吹き返す。
現在ドイツは、チョコレートの輸出量で世界一を誇り、全体の16.9%を占めている。こうした背景には、戦後にチョコレートを生産し続けてきたドイツの中小企業による地道な努力があるという。人はチョコレートを食べると幸せな気持ちになるとしばしばいわれるが、チョコレート生産大国の国民がチョコ好きというのは、当たり前のことなのかもしれない。
フェアトレードでカカオ農家に愛を
チョコレート生産でたびたび話題に上がるのが、児童労働問題や森林破壊などの環境問題。ドイツでは、農家と公正な取引を行うフェアトレードや環境にも人にも優しい有機栽培に取り組む企業が存在する一方、大手メーカーも近年そういった問題に積極的な姿勢を見せている。
実際に、持続可能な方法で栽培されたカカオを含む菓子製品の割合は、2011年の3%から2019年には72%となり、ここ10年で大きく伸びている。しかし、フェアトレード協会によれば、公正に取引きされるカカオの市場全体のシェアは8%とまだ小さい。また、フェアトレード認証といっても、一部の製品に条件を満たした原料を使用しているだけなのか、児童労働を禁ずるような100% フェアな製品なのかなど、マークの種類によって幅があることも問題になっている。
とはいえ、ドイツのように大手メーカーもフェアトレードについて積極的という国は、そう多くはないのが現状だ。世界のカカオ生産量の10%以上をドイツが輸入しているため、チョコレートを愛する国としてこのような公正な取引きを行うことはある意味で「使命」。誰もが笑顔でチョコレートを食べられるように、ドイツは世界をリードしていくべきだろう。
参考:日本チョコレート・ココア協会ホームページ、CHOCION ホームページ、OroVerde – Die Tropenwaldstiftung ホームページ、WELTEXPORTE「Die international größten Exportländer von Schokolade」
ドイツでもバレンタインデーにチョコを贈る!?
日本では、バレンタインデーに女性が思いを寄せる男性にチョコレートを贈る……という伝統(?)があるが、職場の男性などに贈る「義理チョコ」をはじめ、友人同士で贈り合う「友チョコ」、自分へのご褒美として「マイチョコ」、男性が女性に贈る「逆チョコ」など、そのバリエーションは時代と共に増え続けている 。
ここドイツでは、男女関係なくパートナーにプレゼントを贈り合う。ソーシャルショッピングサイトmydealzが2020年2月に発表した調査報告によると、女性の44.4%、男性の45.1%がバレンタインデーにパートナーに何かを贈りたいと回答した。人気の贈り物は、男性は花(32.9%)が1位だったのに対し、女性はレストランでごちそう(19.2%)すること。ちなみに、女性から2番目に人気の贈り物として、チョコレートとプラリネ(16.7%)がランクイン(男性は4位で6.1%)。ドイツでも、チョコレートが特別なプレゼントとして認識されているようだ 。
一方で、愛が強すぎて(?)パートナーを困らせてしまう贈り物の例も。2020年2月のYouGovとStatistaが「バレンタインデーの最悪な贈り物」を調査したところ、1位は家具、2位は家電、3位は電子機器、4位はお金という結果となった。もし今年のパートナーへの贈り物に迷っていたら、やはりチョコレートを贈るのが間違いないのかもしれない 。
参考:Pepper「Umfrage zum Valentinstag: 15 Fragen, 15 Antworten」、Statista「VALENTINSTAG Die schlimmsten Geschenke zum Valentinstag」
数字で見るドイツ人のチョコ好き度
ドイツ人は一体どれほどチョコレートが好きなだろうか。さまざまな統計やアンケート調査からも、ドイツでチョコレートが愛されていることが裏付けられている。
チョコレート製品の消費量は堂々の1位!
欧州における年間1人当たりのチョコレート製品消費量(2017年)
参考:CAOBISCO
ドイツ人の好きなお菓子はやはりチョコレート!
少なくとも週に1度は食べるお菓子の種類(2019年10月~2020年3月)
参考:VuMA
ドイツで人気フレーバーは王道の「ミルクチョコ」!
ドイツ人が1番好きなチョコレートの種類(2018年)
参考:BDSI
食べ比べ調査報告書