ジャパンダイジェスト

ドイツで手軽に始める「おうち緑化計画」初心者でも育てられる観葉植物&ハーブ8選

緑のある暮らしに憧れるけれど、忙しくて時間がないという人や、うまく育てる自信がないという方も多いかもしれない。ここではそんな方にぴったりな、育てやすい観葉植物&ハーブをご紹介。小さな緑があるだけで、おうちで過ごす時間もぐっと充実するはず!

室内で楽しむ観葉植物4選

お部屋にちょっとアクセントを加えたいなら、緑を添えてみてはいかがだろうか。観葉植物は育てるのが簡単で、リラックス効果や空気清浄効果があるものも。ドイツでも特に人気の高い4つの観葉植物を、その愛される理由とともに紹介する。
参考:fresh Ideen「Die beliebtesten Zimmerpflanzen Deutschlands」、mein-schöner-garten.de、Süddeutsche Zeitung「Schönes Grün, hässliche Geschichte」、kakteen-haage.de

Fensterblatt
モンステラ

Fensterblatt
日光 Fensterblatt-sun 水分 Fensterblatt-water

ドイツ語名が「窓の葉」という意味の通り、切れ込みが入った独特の葉が特徴。もとは中南米の植物だが、1832年にミュンヘンの植物学者が州立植物コレクションのためにメキシコを旅行した際、初めてドイツに持ち帰ったといわれる。第二次世界大戦後、奇跡的な経済復興を遂げたドイツでは、ブルジョワ家庭の豊かさの象徴としてモンステラがブームに。耐寒性・耐陰性が高いので室内の置き場所は基本的にはどこでもOKだが、たまに日光に当てると元気に育つ。大きいものでは2~3メートルの高さになる。

Glücksfeder
ザミオクルカス

Glücksfeder
日光 Glücksfeder-sun 水分 Glücksfeder-water

肉厚でつややかな葉が魅力的なザミオクルカスは、水や日光をそれほど必要としないため大変育てやすい。ドイツ語名は「幸福の羽」という意味で、8~12枚くらいの葉が閉じたままニョキニョキと茎が伸びていき、まるで花が咲くように一気に葉が開く。原産地は東アフリカやタンザニアのザンジバル諸島で、旺盛な生命力を感じさせるたたずまいから「ザンジバルの宝石」や「不滅の植物」といった名で愛されている。現地では痛み止めの湿布や、さまざまな病気の治療薬としても使用されたとか。

Chinesischer Geldbaum
ピレア・ペペロミオイデス

Chinesischer Geldbaum
日光 Chinesischer Geldbaum-sun 水分 Chinesischer Geldbaum-water

中国の雲南省西部が原産地で、標高1500~3000メートルの森林の日陰の岩で成長していたというピレア・ペペロミオイデス。初めて欧州に持ち込んだのは、1946年に中国からノルウェーに帰国した宣教師だといわれる。原産地が中国であることと、丸くてかわいらしい葉の形が硬貨を連想させることから、ドイツでは「中国のお金のなる木」という意味の名前で親しまれている。繁栄と幸福の象徴とされており、植木鉢にコインを入れておくとお金が増えるという噂もある、なんとも縁起の良い植物だ。

Kakteen
サボテン

Kakteen
日光 Kakteen-sun 水分 Kakteen-water

現存する世界最古のサボテン農園は、実はドイツ中部の都市エアフルトにある。サボテンは16世紀にスペインの航海者によってアメリカ大陸からドイツにも入ってきたといわれるが、このサボテン農園「KakteenHaage」が創業されたのは1685年。現在でも3500種類以上のサボテンを栽培しており、世界各地からもサボテンファンやバイヤーが買い付けに訪れる。サボテンは寒さと暑さに強く、水やりの頻度もそれほど多くない。種類も豊富なので、お気に入りのサボテンを寄せ植えするのも◎。

初心者のためのハーブ4選

ドイツの食卓に欠かせないハーブ。料理のアクセントになったり彩りを添えたり、時には身体の調子を整えるためにも活躍してくれる。そんなドイツ人にとって身近なハーブは、実は菜園初心者にぴったりな植物だ。特によく使われる四つのハーブの効用と共に、窓辺やバルコニーでの育て方をご紹介しよう。
※妊娠中の方や疾患のある方は使用できないハーブがありますのでご注意ください。
参考:Mein EigenHeim「Urban Gardening: Große Ernte auf kleinem Balkon」、Das Online Kräuterbuch、 SparBlog「Küchenkräuter für Menschen ohne grünen Daumen – So bleiben Basilikum & Co. frisch」、本誌1050号特集「摘みたてハーブのある暮らし」

Basilikum
バジル(シソ科メボウキ属 / 一年草)

Basilikum

イタリアンをはじめとするさまざまな料理に活用されるため、ぜひ常備しておきたいハーブの一つ。メディカルハーブとしても知られ、胃腸の働きを整えたり、風邪の症状を緩和させたりといった効果が期待できる。加熱すると香りが飛びやすくなるため、生に近いものを使おう。

育て方のコツ

温暖な地域から来たバジルは、暖かくて日当たりの良い場所が大好き。土が湿っている程度の量の水やりを1〜2日ごとに行おう。収穫はハサミを使って2〜4枚をカットする。プランターの場合は、バジルの成長を促進させてくれるローズマリーと一緒に育てると良い。

Schnittlauch
チャイブ(ヒガンバナ科ネギ属 / 多年草)

Schnittlauch

ネギを少しマイルドにしたような味のチャイブは、和洋中どの料理にも使えるハーブ。ドイツではサラダやスープ、ハーブバターに使われるほか、卵料理やジャガイモ料理にも合う万能選手。ビタミンCや鉄分が豊富で、食欲を増進させる効果が期待できる。高熱に弱いため、最後に添えるのがベスト。

育て方のコツ

部分的に日陰になり、風通しの良い場所を選ぼう。水やりは2〜3日ごと で、土の表面から2〜3センチ部分が乾燥している場合は水分が必要な目安。土から2センチほど残してハサミでカットして収穫する。プランターの場合は、害虫から守ってくれるディルとの相性が◎。

Minze
ミント(シソ科ハッカ属 / 多年草)

Minze

清涼感のある香りでお馴染みのミント。お茶やカクテルに入れるほか、デザートやフルーツサラダ、また中東料理にもよく登場する。家庭菜園向きのペパーミントはメディカルハーブとしても知られ、お茶などで飲用すると消化不良や緊張性頭痛を和らげる効果が期待できる。

育て方のコツ

完全に日が当たる場所ではなく、やや日陰がベスト。また、成長が早く1メートル近く伸びることもあるので、スペースに余裕を持たせてあげて。水やりは2〜3日ごとで、土の表面から2〜3センチ部分が湿っている状態にすること。収穫は上部から10〜20センチをハサミでカットする。

Rosmarin
ローズマリー(シソ科マンネンロウ属 / 多年草)

Rosmarin

抗菌作用があり食材の持ちを良くするため、肉や魚の香草焼きなどによく用いられる。葉の浸出液が強壮剤として処方されたり、外傷にも効果的として重宝されてきた。また、抗酸化作用が認められ「若返りのハーブ」との異名も。3月中旬〜5月は紫色の花が咲き、観賞用としてもおすすめ。

育て方のコツ

暖かく日当たりのいい場所を用意しよう。イベリア半島の乾燥した地帯の出身のため、水やりは3〜4日に1度が目安。葉っぱが乾燥していても、また水をやることで復活する。収穫は、太い茎を残して若い葉をハサミでカットする。

意外と奥深い!? 観葉植物のドイツ文化史!

観葉植物

古代エジプト人はプランターで植物を育て、古代ギリシャやローマ人は土の器で月桂樹を栽培するなど、観葉植物は数千年以上も昔から存在する。しかし一般市民レベルでは、欧州では17世紀ごろまで室内に植物を置く習慣はほぼなかったという。当時の庶民の生活環境は豊かでなく、植物を室内に置くと窓からの日差しが少なくなり、居住空間も狭くなるため、わざわざ飾ろうとは思わなかったのだ。

一方、17世紀後半~18世紀にかけて、植民地支配の過程で研究者や植物学者が南米やアフリカ、アジアなどに渡り、現地の植物を欧州に持ち帰って博物館などでコレクションするように。また産業革命による建築技法の発達で、個人宅にもより大きな窓を取り付けることが可能になったことと、工業化によって環境が悪化したことが相まって、次第に室内に観葉植物を置くようになった。さらに19世紀前半ごろのドイツは戦争によって疲弊し、市民は理想よりも日常的で簡素なものに目を向けるように。この時代の文学や家具、服装などはビーダーマイヤー様式と呼ばれ、この頃からサロンのテーブルに花や植物を飾る文化ができた。そして第二次世界大戦後、バウハウスから影響を受けたモダニズム建築や家具が一世を風ふうび靡。天井が高く大きな窓の付いたリビングや、鉄やアルミ、プラスチックなどを使ったモダン家具の人気とともに、その空間を彩るために観葉植物が一気に普及していった。

参考:Süddeutsche Zeitung「Das Comeback der Zimmerpflanze」、Gartentechnik.de「Geschichte der Zimmerpflanzen」、 Main Post「Gummibaum, Bogenhanf, Yuccapalme: Die Moden der Zimmerpflanzen」

おうち緑化でミツバチをレスキュー!

近年、ミツバチの数が減少していることが問題視されている。普段私たちが口にする野菜や果物などの3分の1は、ミツバチが活動することによって実を結んでおり、欧州では4000種類の野菜がそれに該当する。もしミツバチがいなくなれば、食糧生産量が大幅に減少。特にリンゴやトマトなどのビタミン豊富な食材の希少価値が上がり、価格も高騰するといわれている。

国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、世界全体の商業的なミツバチの巣の数は1961年から2014年にかけて45%増加したが、欧州では26.5%減少した。2002年と2003年の冬にはドイツで平均30%のミツバチが死滅し、最大80%に達したという。「ミツバチの大量死」がメディアでも取り上げられるようになったのは、この頃からだ。

ドイツでは、2010年から連邦政府の支援を受けて、専門家と養蜂家が協力して「ミツバチ観測プロジェクト」(DeBiMo)をスタート。その結果、いくつかの死因が特定された。その一つに、農薬や除草剤による影響が挙げられる。とりわけネオニコチノイド系農薬は毒性が強く、欧州連合(EU)では2018年にその使用が禁止されることが決まった。

国際環境NGO グリーンピースによれば、ミツバチを救うために必要なことは、持続可能な農業を促すことだという。それを実現するために一人ひとりができることとして、同団体は有機栽培を推奨する。もちろん、買い物をするときにビオの商品を選ぶだけでなく、化学肥料を使用せずに自分の庭やバルコニーで植物を育てることも選択肢の一つだ。ミツバチに優しい植物でおうちを緑化しながら、小さな働き者たちにぜひ思いを巡らせてみて。

参考:beegut「Faktencheck: Bienensterben wie schlimm steht es wirklich um die Honigbiene?」、www.greenpeace.de「BIENENSTERBEN: BYE BYE, BIENE?」

 
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