日本映画100本がドイツにやってくる 第23回 ニッポン・コネクション
2023年6月6日(火)〜11日(日)
6月6日(火)〜11日(日)まで6日間にわたって、日本映画と日本文化の祭典「ニッポン・コネクション」がフランクフルトで開催される。コロナ禍でのオンライン開催を経て、昨年から市内の映画館に帰ってきた。1万7000人以上が来場する日本映画祭へと成長したニッポン・コネクションの見どころをピックアップしてお届けする。(文:ドイツニュースダイジェスト編集部)
日本の長編・短編映画100本以上を上映
第23回ニッポン・コネクション日本映画祭では、6日間の期間中に100本以上の日本の長編・短編映画が上映される。会場は、MousonturmとNAXOSをはじめとするフランクフルト市内の八つの劇場。ジャンルはドラマ、コメディ、アニメ、ドキュメンタリーと、幅広い興味に合わせて上映される。
また今年の映画祭は、「Cityscapes And Countryside」(都市風景と田園風景)がテーマ。近未来的な大都会と緩やかな時間流れる地方が共存する日本の姿を、さまざまな映画を通じて観客に伝える。そんな第23回ニッポン・コネクションのラインナップをご紹介しよう。
2023年のハイライト
まず注目すべきは、映画祭のメインゲストである俳優で歌手の三浦透子だ。昨年オスカーを受賞した「ドライブ・マイ・カー」(2021年)での見事な演技は、国内外から評価を受けた。三浦へは、その若き才能を讃えて、今年新たに設立された「ニッポン・ライジングスター・アワード」が授与される。
中江裕司監督の「土を喰らう十二ヵ月」(2022年)は、映画祭のテーマ「Cityscapes And Countryside」にもぴったりの作品だ。信州の山荘で暮らす作家の日々を、四季の移り変わりと美しい自然と共に描き出す。主演に沢田研二と松たか子、そして料理研究家の土井善晴が料理を初監修している。
阪本順治監督の「せかいのおきく」(2022年)の舞台は、1858年の江戸。のどを切られて声を失い、子どもに文字を教えているおきくと、下肥買いの二人の若い男が心を通わせながら、それぞれ懸命に生きる姿を描く。数々の賞を受賞してきた俳優・黒木華のセリフのない名演にご注目。
ドキュメンタリー作品では、コロナ禍の東京を記録した「東京自転車節」(2022年)が上映される。監督の青柳拓氏はコロナ禍で仕事がなくなり、山梨から東京へ。緊急事態宣言下の東京で、ウーバーイーツの自転車配達をすると同時に撮影を開始した。人がいない「ニュートーキョー」で、自転車配達員の視点から見えてきたものとは?
日本でも今年2月に公開されたばかりのクィア映画「エゴイスト」(2022年)が、松永大司監督と共にドイツへやってくる。主人公はファッション誌の編集者として働く浩輔(鈴木亮平)と、母を支えながら暮らすパーソナルトレーナーの龍太(宮沢氷魚)。愛し合うがゆえに生まれる葛藤を繊細に描き、東京国際映画祭でも高い評価を得ている。
アニメーション作品で見逃せないのは、マンガ原作ファン待望の「金の国 水の国」(2023年)。100年断絶している二つの国の王女と貧しい建築士が、国の思惑により偽りの夫婦を演じることに。それぞれの国を案じる二人の「優しい嘘」は未来を変えることができるのか……。アニメ制作会社マッドハウスの逸材・渡邉こと乃が監督を務めている。
日本を体験するニッポン・カルチャー部門
ニッポン・コネクションのもう一つの魅力といえば、体験や講演を通じて日本文化を理解するためのプログラム「ニッポン・カルチャー部門」。音楽プログラムでは、日本を代表するガールズロックバンド・つしまみれ(6月9日)、世界で活躍するヨーデル歌手・石井健雄(6月10日)などをはじめとするコンサートが予定されている。
人気のワークショップでは、木版画、マンガ、日本料理、茶道などの体験が可能。さらにメイン会場のMousonturmとNAXOSでは、30以上の屋台が日本料理、美術工芸品などを販売する。映画を観る前や観た後に、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。
日本を体験するニッポン・カルチャー部門
そのほか上映作品やニッポン・カルチャー部門のプログラム、チケット情報などは、映画祭ウェブサイトからチェックしよう。
ニッポン・コネクション Nippon Connection
開催期間:2023年6月6日(火)~11日(日)
メイン会場:Künstler*innenhaus Mousonturm Waldschmidtstr. 4, Frankfurt am Main
NAXOS Waldschmidtstr. 19, Frankfurt am Main
https://nipponconnection.com/ja