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日独交流を楽しむヒントが満載!ドイツの中の「日本」

160年以上の交流の歴史を持つ日本とドイツ。ドイツに住んでいても、歴史や伝統文化をはじめ、経済分野、ポップカルチャー、言語など、あらゆる分野で日本との深い結びつきを感じることができる。本特集では、そんな日独交流の歴史をおさらいするとともに、ドイツにいながら日本文化が味わえるイベントやスポットをご紹介する。(文:ドイツニュースダイジェスト編集部)

日独交流を楽しむヒントが満載!ドイツの中の「日本」

その歴史は160年以上!日独文化交流の歴史

参考:在ドイツ日本大使館「日独交流150周年/歴史」、nippon.com「日独修好160周年:日本の近代化にドイツが果たした役割」

日本とドイツの交流は、160年以上前にさかのぼる。江戸時代の鎖国政策下の日本には、ドイツ人のケンペル(1690年から3年間滞在)やシーボルト(1823〜28年、59〜62年に滞在)がオランダ商館付きの医師として長崎に滞在。日本に西洋の知識を伝え、帰国後にはドイツで日本についての知見を広めた。やがて1854年に日本の鎖国政策が解かれると、1861年1月24日、統一国家としてのドイツが成立する以前のプロイセン王国との間に日普修好通商条約を締結する。これにより日本との正式な関係が樹立された。

開国以来、日本は医学や法律、芸術などのさまざまな分野でドイツから知識を吸収し、近代国家としての礎を築いていった。一方で1914年に始まった第一次世界大戦では、日本はドイツに宣戦し、中国の山東半島に出兵して青島などのドイツの租借地を占領。その時に捕虜になったドイツ人兵士によって、日本にバウムクーヘンやソーセージがもたらされたといわれる。さらに徳島県鳴門市の板東俘虜 (ふりょ)収容所では、ドイツ人捕虜らによって日本で初めてベートーヴェンの交響曲第9番が演奏された。1930年代に入るとナチス・ドイツとの関係が強まり、1940年にはイタリアも含めた日独伊三国軍事同盟へと発展。それぞれが軍国主義、そして戦争へと突き進んでしまう結果となった。

戦後、敗戦国として一時的に連合国軍の支配下に置かれた日本とドイツだったが、1951年には日本とドイツ連邦共和国(旧西ドイツ)の国交が再開。その後、両国共に奇跡的な経済成長を遂げるに至った。またドイツ民主共和国(旧東ドイツ)との国交も1973年には再開し、一定の交流が行われていた。そして1990年のドイツの再統一に伴い、日本との交流も一本化された。

今日、ドイツは日本にとって欧州最大の貿易相手国であり、日本はドイツにとって中国に次ぐアジア第2位の貿易相手国。またドイツには、学術・経済・政治・文化など幅広い分野にわたる日独の知的交流拠点「ベルリン日独センター」(https://jdzb.de)、ドイツにおける日本文化の紹介などを行う「ケルン日本文化会館」(https://co.jpf.go.jp)が置かれており、文化面でも緊密な交流が行われている。

数字で見る「ドイツの中の日本」

ドイツに住んでいる日本人

(2022年10月1日現在、海外在留邦人調査統計) 4万2266人(前年比+0.3%)

ドイツに住んでいる日本人

ドイツに拠点をおく日系企業

(2021年10月1日現在、日本外務省) 1934社(前年比+2%)

ドイツの公立大学にある日本関連の研究施設

(2023年5月現在) 約17カ所

日独姉妹都市・友好都市の数

(2023年5月現在) 61都市

在ドイツ日本国大使館・総領事館

(2023年5月現在) ベルリン、デュッセルドルフ、ハンブルク、フランクフルト、ミュンヘン

ドイツでも日本を満喫!おすすめ 日本イベント

ハンブルク

Japan Film Fest Hamburgハンブルク日本映画祭

今年で24回目を迎える日本映画に特化した映画祭。アニメはもちろん、短編から長編映画まで、あらゆるジャンルの映画が5日間にわたって上映される。日本の若手監督の作品が多く出品されるのも特徴の一つ。

2023年6月14日(水)〜18日(日) https://jffh.de

デュッセルドルフ

DoKomiドコミ

ドイツ最大の日本・アニメコンベンションで、5月にデュッセルドルフで開催される「日本デー」と並ぶ一大日本イベント。日本のポップカルチャーを軸に、日本から著名なミュージシャン、バンド、漫画家などが招待され、アーティストと触れ合う機会を提供している。

2023年6月30日(金)〜7月2日(日) www.dokomi.de

ミュンヘン

Japandult日本ダルト

今年10周年を迎えるミュンヘンの日本ダルトは、日本のデザインやアートをはじめ、音楽やグルメが楽しめる。武道や日本舞踊のパフォーマンス、着付けやマンガのワークショップなどの文化プログラムも充実。11月19日(日)には、日本ダルトのクリスマスマーケットも開催されるので要チェック!

2023年7月9日(日) https://japandult.de

マンハイム

AnimagiCアニマジック

1999年からマンハイムで開催されている、欧州最大規模のアニメ・マンガのコンベンション。コンサートや上映会、コスプレイベントなど、幅広いプログラムに加え、日本からマンガ家やアニメ声優などの豪華ゲストも来独する。

2023年8月4日(金)〜6日(日) https://animagic.de

オッフェンバッハ

Main Matsuriマイン祭り

3日間かけてマイン川沿いで開催される日本祭り。今年はオッフェンバッハで初の開催となる。屋台では日本料理を堪能できるほか、雑貨販売や文化ブースも。野外ステージでは数多くのアーティストが技を披露し、日本文化にたっぷり浸ることができる。

2023年8月18日(金)〜20日(日) www.main-matsuri.com

ヴィースバーデン

Connichiコンニチ

日本のサブカルチャーフェスティバルで、アニメ、マンガ、ゲーム、コスプレなど幅広い分野を網羅し、日独の架け橋として2014年に外務大臣表彰を受賞。今年は開催地をこれまでのカッセルからヴィースバーデンへと移し、さらにパワーアップして帰ってくる。

2023年9月1日(金)〜3日(日) www.connichi.de

ドイツで日本文化に触れるおすすめ ミュージアム&日本庭園

ケルン

Museum für Ostasiatische Kunstケルン東アジア美術館

1913年に開館した同美術館では、「東アジアの芸術を偏りのない新しい視点で紹介する」ことを目指しており、日本画をはじめ、初動や木版画、また韓国の陶芸や漆芸などの豊富なコレクションを有する。施設の中には、美しい日本庭園が広がっている。

Universitätsstr. 100, 50674 Köln https://museum-fuer-ostasiatische-kunst.de

ベルリン

Samurai Art Museumサムライアートミュージアム

ベルリンにあるサムライアートミュージアムは、日本刀や甲冑 (かっちゅう)をはじめとした4000点以上のプライベートコレクションを誇る。2022年にリニューアルオープンし、マルチメディアを使ったインタラクティブな展示が魅力。日本から輸送した能楽堂と茶室もお見逃しなく。

Auguststr. 68, 10117 Berlin https://samuraimuseum.de

テュルコー

Schloss Mitsukoシュロス・ミツコ

メクレンブルク=フォアポンメルン州テュルコーにある日本文化と現代アートの美術館。日本の美術品や民芸品、陶磁器、織物などの大規模なコレクションと日本文庫を所蔵している。現代彫刻家の深田充夫氏のインスタレーション作品も展示されている。

Kastanienallee 21-23, 17168 Thürkow-Todendorf https://schloss-mitsuko.org

デュッセルドルフ

Japanischer Garten im Nordpark

デュッセルドルフのノルトパークの北西部には、現地の日本企業と日本人コミュニティーによって1975年に寄贈された庭園がある。本格的な日本庭園をのんびり散歩できるほか、コスプレイヤーたちによる撮影会が行われていることもしばしば。

Stockumer Kirchstr., 40474 Düsseldorf www.duesseldorf.de/stadtgruen/park/nordpark/japanischer-garten.html

ベルリン

Gärten der Welt

ベルリン中心部からSバーンとバスで40分ほど行ったところにある「Gärten der Welt」(世界の庭園)では、欧州やアラブ諸国、アジアなど、世界中の特色ある庭園を楽しむことができる。日本人の作庭家によって設計された日本庭園「融水苑」をはじめ、韓国式庭園や中国式庭園も見応えあり。

Blumberger Damm 44, 12685 Berlin www.gaertenderwelt.de

バート・ランゲンザルツァ

Japanischer Garten „Garten der Glückligkeit“

テューリンゲン州バート・ランゲンザルツァにある日本庭園「幸福の庭」。春には桜をはじめツツジやシャクナゲが咲き、6月からはハナショウブやスイレンが日本庭園の池を彩る。植物館で茶会に参加ができるほか、お花見や七夕などの季節行事も充実。

Kurpromenade 15, 99947 Bad Langensalza https://badlangensalza.de/erleben/parks-gaerten/japanischer-garten

冷戦下の旧東ドイツとの文化交流も日本の有田焼をお手本にしたマイセン

17世紀の欧州では、薄い磁器を作る技術がなく、中国の景徳鎮や、日本の白く艶やかな磁器が貴族の間で高い人気を誇っていた。なかでも佐賀県有田市で製造されていた有田焼は、オランダ東インド会社によって1660年以降に欧州にも輸出されるように。伊万里港から出荷されることから、伊万里焼とも呼ばれた。特にその魅力に取りつかれたザクセン王国のアウグスト強王は、錬金術師を城に幽閉して白磁器の研究を行わせ、世界的に有名な磁器「マイセン」を誕生させた。その中でも力を入れたのが、「柿右衛門様式」の有田焼の模倣製造だったという。

そんな「陶都」である有田市とマイセン市が姉妹都市であることは不思議ではないが、姉妹都市の提携が結ばれたのは、なんとまだベルリンの壁によって東西ドイツが隔てられていた時代。1970年、ドレスデンに膨大な有田磁器のコレクションがあると知った有田町の窯業界の代表らが、東ドイツを訪問したことが契機となった。彼らは冷戦下の東ドイツを訪問するために外務省と地道に交渉し、最終的には文化交流使節という形で実現した。ドイツで有田焼のコレクションとの邂逅 (かいこう)を遂げた有田町の代表らは、1975年に福岡大博覧会で「古伊万里里帰り展」を開催し、ドレスデン美術館秘蔵の有田磁器を公開することに成功。さらに1979年には有田町から申し入れがあり、マイセン市と姉妹都市提携が結ばれることになった。以来40年以上にもわたって、世界有数の名陶磁器を誇る両都市の交流が続いている。

参考:Arita Episode 2「1970年―冷戦期、東西の壁を越え有田マイセン交流の架け橋となった7人のサムライ」、外務省「磁器が結び付けた絆(佐賀県有田町とドイツ連邦共和国マイセン市の交流)」

(写真左)柿右衛門様式を模して絵付けされた、1730年ごろのマイセン磁器(右)1970年、有田町の窯業界の代表らはドレスデンやマイセンをはじめ、欧州各地の有名な窯業地を訪れた(写真左)柿右衛門様式を模して絵付けされた、1730年ごろのマイセン磁器(右)1970年、有田町の窯業界の代表らはドレスデンやマイセンをはじめ、欧州各地の有名な窯業地を訪れた

あの日本語がこんな意味に!?ドイツ語で使われている日本語

Sushi(すし)やManga(マンガ)、Emoji(絵文字)など、ドイツ語の中で当たり前のように使われている日本語が数多く存在する。しかし中には、元々の意味とは離れて独自の使われ方をしている、ちょっと不思議な日本語由来の言葉も。ここでは、そんな単語をいくつか紹介しよう。

Hokkaido ホッカイドウ

秋になるとスーパーにも並ぶ、オレンジ色のドイツ産カボチャ。1945年以降に、ドイツに初めて輸入され種子が北海道産であったころとから、シュトゥットガルト在住の日本人八百屋が「Hokkaidokürbis」(北海道カボチャ)という名前で販売したのが始まりだそう。

Mikado ミカド

色付けされた竹ひごのような棒を使った、欧州ではポピュラーなボードゲーム。棒にはいくつかの模様があり、それぞれミカド、ボウズ、サムライの名前が付いており、これらを集めて得点を競う。ちなみに日本でもおなじみのお菓子「ポッキー」は、欧州ではこのゲームの竹ひごに似ていることから「MIKADO」という名前で販売されている。

Kombucha コンブチャ

欧米をはじめドイツでも流行している健康飲料「コンブチャ」。これは日本語の「昆布茶」とは全くの別物。紅茶や緑茶などを発酵させたもので、日本では「紅茶キノコ」と呼ばれている。もともと中国やモンゴルからロシアに渡ったとされ、名前の理由は韓国語の「菌」(Kom)からきているとする説や、日本語の「酵母茶」が訛ったという説も。

 
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