ジャパンダイジェスト

旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

世代を超えて受け継がれるアルトとカーニバル

デュッセルドルフにカーニバルの季節がやってきた。カーニバルのパレードやパーティーでは、誰かが「デュッセルドルフ!」と叫べば、皆で「ヘラウ!」と呼応するのが習わしだ。

カトリックではイースター前の46日間を断食期間とする風習があり、その前の時間を大いに楽しもうと始まったのがカーニバルの起源とされている。歴史は古く、デュッセルドルフでは1360年に中世騎士たちによる競技会や宮廷での仮装パーティーをしたという記録が残っている。徐々に庶民にも広まり、少なくとも1833年には市内の公道や広場で盛大に祝われていたようだ。カーニバル一番の目玉となる「バラの月曜日」の山車パレードは、今年は3月3日に開催される。山車は人気クラブチームのものや、社会情勢を風刺したものなど、かなり独創的。子どもからお年寄りまでが思い思いに仮装して祭りに加わり、世代を超えた祭りであることが伺える。

大人の楽しみはパレード後も続く。居酒屋やバーがぎっしりと並び「世界一長いバーカウンター」との異名を持つ旧市街地は大にぎわい。アルトビールの老舗シュリュッセル醸造所のレストランにも、多くの市民が集まってくる。歴史を感じる重厚な店内で、仮装したカラフルな人々が躍る光景はなかなか刺激的だ。

1850年にベーカリー兼ビール醸造所として創業したシュリュッセル(鍵の意味)は、当時旧市街の城門の鍵が近所の宿屋に保管されていたことから名付けられた。代々伝統的な手法で醸造され、木の樽から注がれるアルトビールは、ポン菓子のような麦芽の香ばしい甘味とホップの苦味が好バランス。心地良い余韻が長く残り、つい杯を重ねたくなる。

この生きた伝統を未来につなげていくため、シュリュッセルでは今夏から拡張工事が始まる予定。カーニバルもアルトも、代々受け継いでいきたいデュッセルドルフの財産だ。

www.zumschluessel.de

vol.98
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