Anna Maria Mühe 1985年7月23日、旧東ベルリン生まれ。女優。両親の離婚後まず父ウルリヒ・ミューエに引き取られ、ウィーン、ハンブルク、ベルリンで成長した。 ©Schwarz Weiss Filmverleih |
先頃封切られたドイツ映画『Novemberkind 』(クリスティアン・シュヴォホフ監督)で、死んだはずの母親を探し始める旧東ドイツ在住の女性インガと、実は壁の崩壊前に西へ逃げたその母親アネ(回想)の二役を熱演。成熟した演技に加え、実生活でも激動のドイツ史を自ら刻んで逝った両親を持つことで、大変な評判を呼んでいる。
父は名優ウルリヒ・ミューエ(『善き人のためのソナタ』)、母はテレビ俳優ジェニー・グレルマン。2人はかつて旧東ドイツの理想のカップルだった。しかし結婚は東西統一と同時に破綻し、母にシュタージ(旧東独の諜報機関)のIM(非公式協力者)だった疑いが浮上。父と、証拠を捏造されたと主張する母との間で、泥沼の法廷闘争が始まる。
その母は2006年8月に59歳で、父も07年7月に54歳の若さで帰らぬ人になった。マスコミが同情を装って元夫婦間の対立を話題にすると、「私は陪審員ではありません」と拒絶。「一切語りません。それが両方を愛する娘にできる唯一のマスコミ対策です」。
自身の映画デビューは01年。以来、“ミューエ”という名前に付いている旧東のイメージを避けるため、親からの支援を受けずに役を取ってきた。「西で育っているので東の思い出はないんです」。だから『Novemberkind』の二役を監督からどうしてもと乞われたとき、奇妙な感慨にとらわれると同時にとても光栄だと思った。異父・異母兄弟が合わせて6人。今は彼らとの交流に、家族がいる幸せをかみしめてい
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