Petra Reski 1958年ノルトライン=ヴェストファーレン州カーメン生まれ。ジャーナリスト。ヴェネツィア在住。 ©Paul Schirnhofer |
マフィアの調査を始めたのは20年前。大物ボスたちに直接インタビューし、犯罪と政治癒着の実態を公にしてきた。昨秋に発表した新書『Mafia』では、ドイツにある300店舗以上のイタリアン・レストランが、カラブリア地方のマフィアによってマネーロンダリングに利用されていると警告。さらには2007年8月にデュイスブルクで起きた殺人事件を引用し、ドイツがマフィア抗争の舞台になっていると指摘したため、名指されたイタリア人ら数人から訴えられ、11月には講演会に紛れ込んだマフィアから脅迫される立場になった。
トリア大学でロマン語文学と社会学を修め、ハンブルクでジャーナリズムの専門教育を受講。1988年にシュテルン誌に入社し、マフィア問題を担当したのが運のつきとなった。91年からはヴェネツィアに移り、フリーランスとして執筆を続けている。
話をしてくれる相手に敬意を表すため、フェミニンな正装で仕事に出る。“お馬鹿な”ブロンドであることもボス相手には利点だ。重要なのは、彼らの虚栄心を傷つけないこと。
マフィア社会では妻が夫の尻をたたき、子どもたちにボスへの服従を教え、組織に背を向けて殺された息子の墓につばを吐く。ここから、「マフィアの土台は母性社会」との結論に達した。信じやすいドイツ人にマフィアの実態を伝えることが自分の使命だとも感じる。イタリアはマフィアを撲滅できないと言いつつ、イタリア人が大好きであることに変わりはない。その1人を夫にしているのだ。
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