Heinz Buschkowsky 1948年7月31日、西ベルリンのノイケルン区ルードー生まれ。同区グロピウスシュタット育ち。SPD所属。同区の区長。©Bezirksamt Neukölln von Berlin |
区民30万人の出身国数が162に達するベルリン・ノイケルン区を、2001年から率いる。とりわけ区北部では移民の背景を持つ人口が過半数を超え、失業率、犯罪率ともに高い。その現場で苦戦する区長として、04年に「ムルティクルティ(マルチカルチャーを皮肉る表現)は失敗した」と発言。現在は、連邦政府が13年に導入を始める育児手当(子どもを3歳まで自宅で育てる親に月150ユーロを支給)案に強く反対し、メディアに登場している。
敗戦で旧東部ドイツ領から引き揚げてきた両親を持つ。家族4人が地下の1室で暮らす子ども時代を送った。専門大学で行政管理業務を学び、ベルリンの行政諸機関で働きながらSPDノイケルン区でキャリアアップ。統一直後の1991~92年に初めて区長を務めた。
かねてから、「各種の補助金で生きる当区の住民は貧困層ではない、問題は彼らがしつけも教育も経済的自立の道もない底辺層に属することなのだ」と歯に衣を着せない発言をしてきたが、ノイケルンが一躍有名になったのは06年。生徒の85%が移民系という同区リュトリ基幹学校の教員たちが、生徒のドイツ語力不足と暴力によって授業を続けられないため廃校を求める嘆願書をベルリン市庁に出したことがきっかけだった。
それを機に警備員を公立学校に配備する一方で、閉じこもるムスリム系移民の家庭を同族女性が訪れて社会参加を指導するシティーマザー訪問制度を導入。さらに、子ども手当は子どもを定期的に学校へ送り出す親にのみ支給すべきなどの持論を展開している。
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