Udo Lindenberg 1946年5月17日ノルトライン=ヴェストファーレン州グローナウ生まれ。ロック歌手。執筆家。画家。 ©Sven Sindt |
グレン・ミラー楽団のヒット曲をカバーした『Sonderzug nach Pankow(パンコウ行き臨時列車)』で、ホーネッカー東ドイツ国家評議会議長に名指しで同国への招待を求め、それを実現したのは1983年。歌は東西分断を象徴するイベントへと発展し、昨年7月には記念切手にもなった。
そして今年1月13日には公共放送ARDから、シュタージ(東独諜報機関)に監視された当時の舞台裏を見せるドキュメンタリー「Akte Lindenberg(リンデンベルク報告書)」が放送され、ベルリンの劇場ではリンデンベルク物語とも言えるミュージカル「Hinterm Horizont(地平のかなたに)」がスタート。統一から20年を経た今、“ウド・リンデンベルク現象”なるものが起こっているようだ。
16歳でドラムを叩き始め、まずフォークロック、ジャズのドラマーとして活動。73年に自作したシングル『Hoch im Norden(北に高気圧)』以降、注目されるようになった。横柄な口調でべらんめいに歌うが、そのスタイルはバックバンド、パニックオーケストラの手堅い演奏あってこそ。76年に『Rock'n Roll Arena in Jena』で「いつそっちでコンサートを開ける?」と歌った願望を、7年後に「パンコウ……」で叶え、さらに4年後の87年には、西ドイツ訪問中のホーネッカー議長にギターを直接プレゼント。
自称パニックロッカーにまつわるパフォーマンスは数え切れない。前述のミュージカルでも、観客はウドがベルリンの壁を壊したような気分で劇場を後にするとか。
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