Dr. Andreas Wagner 1974年4月8日マインツ生まれ。ラインヘッセン地方の醸造家。 作家。 ©Weingut Wagner |
リースリングワインで知られるラインヘッセン地方の醸造所を舞台に、パウル・ケンジァスキー警部が犯罪を解決する推理小説の6冊目『Hochzeitswein(結婚式のワイン)』をこのほど発表。公共放送ZDF の昼の番組でも“ワイン作家”として紹介された。
同地方エッセンハイムで300年続くワイナリーの家に生まれ、ライプツィヒ大学で歴史を専攻。2002年から兄と共同で家業を引き継ぎ、翌年に博士論文を書き終える。テーマはワイン産業とナチスとの関係にも触れるドイツ20世紀の葡萄栽培史。この知識が後に小説を書く上で役立つことに。
『Herbstblut(秋の血)』で作家デビューしたのは07年。ドルトムントからワインの産地ニーダー・オルムに転任してきた主人公ケンジァスキー警部は、醸造家だらけの新しい環境に馴染めない。ある日、エッセンハイムの醸造所でポーランド人季節労働者が死亡。事故か、それとも密輸との絡みか。ポーランド人を祖母に持つ警部は個人的に捜査を始めた。
こうして始まったケンジァスキー警部物は、08年に『Abgefüllt(瓶詰め)』、09年『Gebrannt(燃焼物)』、10年に『Auslesefeinherb(繊細な苦味のアウスレーゼ)』、『Letzter Abstich(最後の卸し)』と毎年登場。読者からは、「犯罪を追いながらワイン文化と生活の諸問題にも目が開かれる」と好評で、犯罪の舞台として登場する近隣の醸造所も好意的。「醸造の仕事は冬の間暇なので」始めたという執筆は、寒い季節の最高の楽しみになった。
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