Dr. Götz Alsmann 1957年7月12日ミュンスター生まれ。同地在住。 ミュージシャン。ミュンスター大学名誉教授。 Foto: ©WDR/Herby Sachs |
公共放送WDR で1996年から続くトーク番組「Zimmer frei!(空室/同居人募集)」の司会者として有名だが、本業はバンドを率いるピアノ・ミュージシャンだ。ミュンスター大学で音楽科学の博士号まで取得している。昨年秋、母校からその知名度と学識を請われて名誉教授に就任。「ドイツ軽音楽100年史」の講義で人気を集めている。
スーツにネクタイ。ポケットチーフを挿し、お堅い眼鏡をかけて前髪はリーゼント。教壇でもこのスタイルは変わらない。「なにせ15歳の時からリーゼントヘアだし、メモはもって手書き。IT技術はどうにも信用できないんだ」と、自分がいかに時代遅れであるかを嬉しそうに語る。
昨年リリースしたアルバム「In Paris」でも古いシャンソンをカバーした。しかし、意図的にドイツ語で歌い、「ドイツ人がドイツ語で歌って何が問題? アイラブユーとジュテームは言えても、イッヒリーベディッヒと歌えないのは笑える」と、ドイツ人の外国語歌謡曲へのコンプレックスを批判。
「原因は、世代間の対立がどの国よりも激しかったから」と分析するあたり、確かに音楽科学者である。アルバムには1938年の名曲「ラ・メール(海)」を入れた。フランスでは子どもがこれを聴いて育つと言うほど特別なシャンソンだからと。
さて今回の“歌う名誉教授”就任について大学側は「画期的な出来事」と興奮しているが、学生の反応は意外にクールとのこと。授業風景が古い白黒映画のように時代がかって見えるからかもしれない。
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