Ernesto Bertarelli 1965年9月23日ローマ生まれ。スイス国籍。ジュネーブ在住。 |
1851年の英国万国博覧会に端を発するアメリカスカップ(America's Cup)は、現存するものとしては最古のスポーツイベント。6月末~7月初めに開催された32回バレンシア大会で、03年の31回大会からカップを保持するスイスのヨットチームAlinghi(アリンギ)に再び乗り組み、前回同様にニュージーランドを下して2連覇に輝いた。
実はアリンギのオーナーでもある。世界第3位のバイオ企業セロノ(Serono)社の創業ファミリーに属し、30歳で父親から経営を受け継いだ。経済誌フォーブスによると個人資産88億ドル。スイスで1位、世界で76位のスーパーリッチゆえ、レース用ヨットを造らせて天才的なスキッパー(操舵手)を雇う資金には困らな い。しかしボードで他のクルーと一緒に走り回るオーナーは珍しく、「現場に社長がいることが重要なのは会社と同じ」と答える。
レマン湖でヨットを繰りながら成長し、1998年にナビゲーターとしてサルジニアカップ、99年にはスキッパーとしてロレックスカップに優勝。そして03年、総額1億ドルをかけて造らせたハイテクヨット「アリンギ」に自らランナー(マスト係)として乗り組み、ヨーロッパに初めてのアメリカスカップをもたらした。
早朝2時間のパワートレーニングを欠かさず、会社の仕事を午後1時までに片付けて、午後はクルーと練習する。「企業とヨット、どちらのチームワークでも、選ばれた理由を部下 に明確に理解させるのがリーダーの務め」とか。カップ保持者の経営哲学である。
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