1956年11月20日オッフェンバッハ・アム・マイン生まれ、ハンブルク育ち。コメディアン、ミュージシャン。
©Hannibal Hanschke/DPA/Press Association Images
7月のミュンヘン映画祭で初上映され、先頃一般公開が始まった新人監督作品『König von Deutschland』(ドイツの王様)で、まったくもって平均的なドイツ人男性“トーマス・ミュラー”を演じ、共感を集めている。
平均男トーマス・ミュラーは身長178センチ、体重82キロ。テラスハウスに妻ザビーネ(ヴェロニカ・フェレス)と息子と一緒に暮らし、愛車はVWのゴルフ。ある日この平均男は会社から解雇を言い渡され、橋から飛び降りようとしたところをスマートな男性に救われて仕事を紹介される。自分の一挙手一投足がマーケティング調査の対象になり、選挙運動にまで使われるとはつゆ知らず……。
バンビ賞、エコー賞、グリム賞などに輝くマルチタレントだが、芸人としての最初の20年は「“失敗学”の優等生だった」。ギターとドラムを習い、20歳で出したシングル「Ich bin 18(僕は18歳)」の販売数はたった8枚。劇場の舞台背景画家、梱包作業員、音楽マネージャーなどで食い繋いだ。転機が訪れたのは1993年。民放RTLのコメディーショーでボリス・ベッカーなど有名人のパロディーを演じて人気者になり、コメディーの同僚ヴィガルド・ボーニングと組んだデュオバンドDie Doofen(馬鹿組)からは2曲がヒットチャート入り。2001年から年1回のペースで6回続けたアンケ・エンゲルスとの2人芝居「Blind Date」には、今もファンコールが絶えない。
映画『König von Deutschland』はダヴィット・ディートゥル監督の大学卒業作品。ほぼノーギャラだが、「平均男へのご指名に預かり光栄です」と微笑んだ。
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