1953年12月29日ヴュルツブルク生まれ。有資格 法曹。元フェンシング選手。国際オリンピック委員会の9代目会長に選出された。
©AP/Press Association Images
ヴュルツブルク近郊の小さな町タウバービショップスハイム(バーデン=ヴュルテンベルク州)。9月11日に選出された国際オリンピック委員会(IOC)9代目の新会長は、この町のフェンシングクラブでスポーツを始めた。
同クラブは、アマチュアトレーナーのエミール・ベックによって1950年代中頃に設立され、70年代に世界のリーダーへと成長。これまでにオリンピックで38個、世界選手権・欧州選手権で298個のメダルを獲得している。
早くに父を亡くしたトーマス少年はこのクラブで心身を鍛え、ヴュルツブルク大学法学科の学生だった76年、モントリオール・オリンピックのフルール団体で金メダルを獲得。しかし、不参加となった80年モスクワ・オリンピックのボイコットには「やり場のない怒りを感じて」猛反発。ここから弁護士とスポーツ行政マンのダブルキャリアに踏み出した。
木材加工用機械の老舗ミヒャエル・ヴァイニヒの監査役、多国籍企業シーメンスの相談役を務める一方で、82年にドイツ・オリンピック委員会、91年にIOCへと進出。クウェートの元エネルギー相にしてアジア・オリンピック委員会会長でもあるシャイフ、アハマド・アル・サバーハ(1963年生まれ)と懇意になる。
今回のIOC会長選出は、このシャイフによる力添えがあったからと言われる。王侯貴族が名誉職として名を連ねるIOCで水を得た魚のように泳ぎ回るスタイルには、確かに敵も多い。今後はドーピング問題への取り組み姿勢が問われる。フライト中に睡眠をとる移動生活が、しばらく続くだろう。
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