Prof. Dr. Gerhard Ertl 1936年10月10日シュトゥットガルト近郊バート・カンシュタット生まれ。マックスプランク協会フリッツ・ハーバー研究所の名誉教授。 |
71歳を迎えたその日に、スウェーデン王立科学アカデミーから電話でノーベル化学賞の授与を伝えられた。電話の相手に「涙があふれています」と告白。国内の学力低下を憂う教育界と、国際競争力の衰退を懸念する経済界への輝かしい朗報となった。
シュトゥットガルト工科大学で物理学修士、ミュンヘン工科大学で物理化学の博士、さらに「固体表面の化学反応過程」をテーマに大学教員資格を取得。その分野での開発と産業への貢献が、ノーベル賞へとつながった。基本的なしくみの解明に寄与した「化学反応を促進する触媒作用」は、化学肥料の製造や自動車の排ガス浄化など化学工業製品の約90%に活用され、地球に優しいエネルギー生産技術にも役立っている。
今年度は物理学でもペーター・グリュンベルク氏が選ばれ、メルケル首相やシュヴァーン文相は「ダブル受賞によって自然科学研究におけるドイツのレベルの高さが証明された」と絶賛。しかし、大学教育の水準とは関係ないと水を差す声も聞こえる。エアトゥル氏はマックスプランク協会、グリュンベルク氏はヘルムホルツ協会ユーリッヒ研究所に長年勤めて定年を迎えた科学者で、両人とも受賞の喜びをいっしょに精進した研究所のスタッフたちと分かち合っている。
「日常はフレンドリー。だが研究では非常にダイレクトで強烈な指導力を発揮する」とは、そのスタッフたちの評。さて、受賞でエアトゥル氏の生活は変わるだろうか。
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