日本人に対して「チン・チャン・チョン」と発言
ハートヴィッヒ氏は同番組で、日本に敗れたドイツ代表が敗退した理由を分析。そのときに日本についてお辞儀をしているような素振りを見せ、アジア人を差別する用語「チン・チャン・チョン」という言葉を発言した。この差別発言をめぐって、ツイッター上でドイツに住む日本人を中心に問題視する声が広がった。現在は同番組のユーチューブチャンネルからは、動画が削除されている。
12月5日付けのt-onlineの報道によると、この動画は12月2日、「ヴェルト」のユーチューブにアップされ、39万回以上クリックされていたという。またハートヴィッヒ氏自身も人種差別を経験したと公言しており、t-onlineの記事では日本人と思われるツイッターユーザーの声も紹介している。「ジミー・ハートヴィッヒは自分の経験から差別に反対だと言っているが、『チン・チャン・チョン』でアジア人を差別することに躊躇(ちゅうちょ)しないのは非常に残念だ 」。
さらにハートヴィッヒ氏はドイツサッカー連盟にて「フェアプレー、尊重、多様性」を呼びかける「大使」として活躍中。ほかにも同連盟の社会的責任委員会のメンバーやバイエルンサッカー連盟(BFV)社会財団の評議員も務めているため、視聴者が釈然としないのは当然だ。
中国語の音韻を粗く模倣したといわれる「チン・チャン・チョン」という言葉は、もとは英語圏で中国系の人々を中傷する言葉として使われていたが、次第に広くアジア人に対して発せられるようになった。現在は、差別用語として認知されている。
謝罪があっても根本的な問題は解決されないまま
ベルリン在住のライターである河内秀子さんは、12月4日にヴェルトに抗議のメールを送付。その翌朝に動画は削除され謝罪の返事をもらったが、あくまで形式的な対応で、差別問題の根幹について触れるような回答は得られなかったという。ハートヴィッヒ氏は個人のインスタグラムに謝罪文を投稿したが、12月7日時点でヴェルトからは今回の発言に対する公式見解は発表されていない。
河内さんはドイツニュースダイジェストの取材に対し、今回の抗議を通じて「ドイツのメディアに関わる人たちですら、『チン・チャン・チョン』という言葉が差別的であるという意識が欠けていることが分かりました」と語った。さらに、自分も含めドイツに住む日本人が今回のような差別発言を受け、嫌な思いをすることも少なくないという。
なぜその発言が差別的か、相手にどのように説明したら伝わるのか。今回の出来事をこのまま終わらせるのではなく、今後は特に学校で考えてもらう機会をつくるなど、意識を高めていくことが重要だと河内さんは考えている。
参考:t-online「Bemerkungen nach DFB-Aus: "Ching, Chang, Chong": Jimmy Hartwig erntet Shitstorm」
※2022年12月8日最終更新
参考:t-online「Bemerkungen nach DFB-Aus: "Ching, Chang, Chong": Jimmy Hartwig erntet Shitstorm」
※2022年12月8日最終更新