世の甘党にとって、甘みと渋み、芳醇な香りが絶妙に絡み合うチョコレートを味わうのは、無上の喜びだろう。しかし、「チョコレートの香り」などというものは存在せず、600種類もの異なる揮発性の成分の組み合わせによって生じるという事実を、ミュンヘン工科大学の研究チームが明らかにした。研究ではカカオの豆の発酵から乾燥、焙煎までチョコレート製造の全過程において発生する香りの成分を分析。その結果、ポテトチップスやキュウリ、はちみつ、桃、汗、過熱した肉、キャベツなど実にさまざまな香り成分が確認された。同研究チームのリーダー、シーベーレ教授によれば、カカオ独特の味は発酵と焙煎の際の生化学反応と、チョコレートを口に含んだときに香り成分が嗅覚細胞と結合して起こる化学反応によって生まれるという。魅惑のチョコレートの謎が、これで1つ解明したもようだ。
7 März 1237号
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