「Verboten(禁止)!」―― 規律を重んじるドイツで、この言葉に出くわす場面は多い。面と向かって言われるとドキッとしてしまうが、それがドイツ人の国民性なのだから仕方がない。先頃、世論調査機関アレンスバッハが公表した「ドイツ自由指標」で、国民が禁止を求めているのは薬物やクローン人間の精製にとどまらず、暴力的な映画やゲームからアルコール度数の高い酒類の販売、宝くじ、スピードカー、多重ローン、不健康な食品まで、実に多岐にわたることが明らかになった。中でも際立っているのが、政治的に不適切とされる発言。例えば、肉を食べる人が「肉食は虐殺だ」と聞けばこれを禁止せよと訴え、ベジタリアンは逆に「家畜の飼育は必要」などの表現が許せないと言う。ここまで来ると、政治的妥当性というより、異なる意見に対する寛容性の問題のような気もするが・・・・・・。
15 Nov. 2024 1230号
寒い季節を温かく彩る
ドイツのクリスマス飾り