世界最大の書籍見本市「フランクフルト・ブックフェア」の開催に先立つ8日夜、当地で毎年恒例の「ドイツ書籍賞」の授賞式が開かれ、ベルリン在住の詩人で作家のウルズラ・クレッヒェルさん(64)の小説『Landgericht(地方裁判所)』に大賞が贈られた。同小説は、亡命ユダヤ人が第2次世界大戦後、故郷ドイツへ帰還し、裁判官として新たな一歩を踏み出すも、周囲の人々からの反発に遭うという物語。審査員らは「連邦共和国創設期の様子を、建築から生活様式、家族形態にいたるまで、詩的で明瞭簡潔に描いた、クールでモダンな作品」と評価している。ほかの競合5作品を抑えて見事大賞を受賞し、賞金2万5000ユーロを手にしたクレッヒェルさんは自著について、「ナチスの犠牲者に対する個人的な補償です」とコメントした。
15 Nov. 2024 1230号
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