ドイツの春のイベントといえば、イースター(Ostern)。近年は日本でも徐々に知られてきましたが、ドイツではクリスマスと並ぶ重要な行事です。十字架にかけられて亡くなったイエス・キリストが、3日後に復活したことを祝うお祭りで、春分の日の後の最初の満月から数えて最初の日曜日がイースター当日に当たります。2024年のイースターは3月31日で、その前後のKarfreitag( 聖金曜日)からOstermontag(イースターマンデー)までの土日を挟んで4日間が連休となり、ドイツでは家族や親戚が集まって食卓を囲み、普段よりちょっと豪華な食事をしたり、散歩をしたりして過ごすのが恒例です。
子どもたちの1番の楽しみ! エッグハンティング
さて、イースターには卵とウサギが欠かせませんね。卵は新しい命、ウサギは多産の象徴として、生命の復活と繁栄を祝うイースターのシンボルとなっています。例年カーニバルが終わる頃に、スーパーや小売店の特設コーナーには卵やウサギを摸したチョコレートや雑貨が並びはじめ、イースターに向けて庭や室内をデコレーションしたり、幼稚園や学校ではイースターエッグを作ったり準備をします。
娘のイースターエッグと工作を囲んで。家族みんなでティータイム
ドイツには野ウサギがイースターエッグを運んでくるという言い伝えがあり、子どもたちはイースター当日に庭や家の中に隠された卵を探す、エッグハンティングをするのが伝統。卵のほかにちょっとしたプレゼントもあり、子どもたちが心待ちにしているイベントです。今年は、わが家の3歳の娘もエッグハンティングに初挑戦! インターナショナルスクールで開催されていたイベントに参加し、校庭を走り回って宝探しならぬ、卵探しを楽しみました。
イースター限定! マルクトに並ぶ色とりどりのゆで卵
また、私の住むノルトライン=ヴェストファーレン州では、イースターファイヤー(Osterfeuer)と呼ばれ、イースター前の土曜日に盛大なたき火を行う習慣があります。これにはイースターと共に春の訪れを祝い、冬とその悪霊を追い払うためのもの。ほかにも、陶器や木彫りのイースターエッグ、チューリップなど春の花々が並ぶイースターマルクトやイースターキルメス(移動式遊園地)の開催など、イースターは宗教的な意味合いだけでなく、春の到来を祝う行事としても親しまれています。
例年イースター休暇は、旅行や一時帰国でドイツを離れている事が多かったのですが、今回は出産直後だったため、自宅でイースターを楽しむ事に。ゆで卵を色水につけてカラフルなイースターエッグを作ったり、イースターの飾り付けをして食卓を囲んだり……。新しい家族を迎え、日本からサポートに来てくれた両親と一緒ににぎやかに過ごした今年のイースターは、ドイツならではの幸せな時間となりました。
出版社勤務ののち、夫の駐在に伴い2019年7月に渡独。現在は、デュッセルドルフ生まれの3歳と0歳の娘の子育てに奮闘中。趣味はライン川での散歩と、パンやお菓子を焼くこと。