ジャパンダイジェスト

世界的アーティスト オノ・ヨーコの体感するアート展

皆さん、こんにちは。今回からデュッセルドルフのレポートを担当させていただく神木桃子です。ドイツの商工業の中心都市であり、欧州屈指の日本人街を要するデュッセルドルフ。エネルギッシュで多様な文化が交差する街の魅力を、お伝えしていければと思います。どうぞよろしくお願いします。

K20州立美術館の外観。外壁に掲げられた「PEACE is POWER」もオノ・ヨーコの作品K20州立美術館の外観。外壁に掲げられた「PEACE is POWER」もオノ・ヨーコの作品

今回ご紹介するのは、デュッセルドルフのK20州立美術館で3月16日(日)まで開催中の展覧会「ヨーコ・オノ ミュージック・オブ・ザ・マインド」です。オノ・ヨーコといえば、ビートルズのメンバーだったジョン・レノンと結婚した女性としてあまりにも有名ですが、アーティストや活動家としての側面を知っている人はどれだけいるでしょうか。かく言う私も、知らなかった一人でした。会場であるK20州立美術館は、ピカソやシャガールなど、20世紀の名だたる芸術家の作品の所蔵で知られる、デュッセルドルフを代表する美術館。そうそうたる巨匠たちと肩を並べるオノ・ヨーコの魅力とは何だろう。そう強く興味を引かれ、展覧会に足を運んでみることにしました。

展覧会では、1950年代半ばから91歳となった現在に至るまで、70年にわたるオノ・ヨーコの活動を網羅したといいます。会場には、映像、音楽、写真、書面、インスタレーションなど200点以上の作品が展示され、その表現手法の多様さにまず驚かされます。「観るだけでなく参加する展覧会」と評されているように、来場者が見て、聞いて、触れて、五感で体感する作品が多いのが特徴です。例を挙げると、来場者の平和への願いが書かれた紙を七夕のように吊り下げる木があります。ほかにも、穴から手を通して来場者同士が握手できるパネル、ライトで投影した自身の影を鉛筆でなぞっていくキャンバスなど。前衛芸術集団「フルクサス」のメンバーや、参加型アートの先駆者であり、著名なミュージシャン、そして世界平和のための活動家でもあったというオノ・ヨーコのメッセージが、作品の端々から伝わってくるようです。

展覧会内部の様子。中央奥にチェスセットが置かれたテーブルが並ぶ展覧会内部の様子。中央奥にチェスセットが置かれたテーブルが並ぶ

なかでも印象的だったのが、「ホワイトチェスセット」という作品。オノ・ヨーコの反戦の姿勢を表しているそうで、白い駒と白いマスのチェスセットがテーブルの上に置かれ、「自分の駒がどこにあるか分かる限りプレイしましょう」とのメッセージが添えられています。通常、チェスの駒は2色に色分けされますが、これは白一色。駒を動かせば動かすほど、どれが自分の駒でどれが相手の駒なのか分からなくなってきます。世界には敵も味方もない、戦うことは無意味だ。そのようにチェス盤から言われているようでした。

「難民ボート」と名づけられた作品。来場者が青いペンで思い思いの言葉を白一色の空間に書き込んでいく「難民ボート」と名づけられた作品。来場者が青いペンで思い思いの言葉を白一色の空間に書き込んでいく

前知識なく訪れた展覧会でしたが、オノ・ヨーコの作品世界に触れられて大満足。アート作品に参加するという体験が思った以上に楽しく、連れていった子どもたちと一緒に、会場を何周もしてしまいました。

K20:www.kunstsammlung.de

神木 桃子 こうぎ ももこ
日本の食品小売業界で働いた後、2014年に渡独。ハレ、ハンブルク、ボーフムと移り住み、現在はデュッセルドルフに夫と2人の娘と暮らす。趣味はオーガニックスーパーめぐり。
Instagram:@momococo_relife
 
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