デュッセルドルフ中央駅からオランダ方面に電車とバスを乗り継いで小1時間。ここコルシェンブロイヒで1266年からビール造りを行うボルテン醸造所は、世界最古のアルトビール醸造所とされています。ケルン在住かつケルシュを愛飲する身としてあまり大きな声では言えませんが、デュッセルドルフの誇るアルトビールのおいしさもまた格別。その歴史に触れるため、春が近づく休日、赤褐色のレンガ造りが美しいボルテン醸造所の施設見学に足を運びました。
アルトのほかにへレス、ラントビア、そして無ろ過のアルトビールも醸造
アルトビール(Altbier)のAltはドイツ語で「古い」という意味。15世紀南ドイツを発祥とするラガーのように、麦汁を低温で発酵貯蔵させる製法は、実は19世紀後半になって冷蔵技術の発展と共に急速に広まったもの。そこで、それ以前から続く高温・短時間発酵の伝統製法で造られていたこのビールが「アルト」と呼ばれるようになったそうです。
参加者全員が衛生キャップをかぶり、施設内の醸造棟に足を踏み入れいざ見学ツアー開始。独自ブレンドで焙煎されたダークモルトを使用した麦汁仕込み、ろ過や煮沸、熟成。そして敷地内での樽詰め・瓶詰め、出荷までの工程が1時間ほどかけて丁寧に案内されます。醸造所の中では45人の従業員が働き、年間700万リットル(!)ものビールを生産しているそう。施設敷地内で全てを完結させる小規模醸造でありながら、1日6万瓶の瓶詰めを行う専用の大型ベルトコンベアーや、5万リットルのビールを冷蔵かつ発酵させる巨大コンビタンクが立ち並びます。
5本の迫力ある発酵冷蔵タンクが並びます
ツアーの途中に実習生が語った「当醸造所のビール醸造過程で生まれる資源は全て再利用ができます」という言葉はとても印象的でした。例えば酵母のカスは地元の家畜の餌として再利用され、施設内の内庭には回収後のビール瓶が見渡す限り積まれています。回収されたビール瓶は、目視での危険物チェックを経て、敷地内の機械で殺菌され約50回にわたり再利用されます。コルシェンブロイヒ唯一のビール醸造所として、今日まで750年以上続くボルテン醸造所の歴史には、未来を見据えたサステナブルなビール造りの姿勢が欠かせないのかもしれません。
文化財保護にも指定されているボルテン醸造所
ツアーを終えて、醸造所向かいのレストランでいただくボルテン・アルトの香ばしさと軽やかさは、やっぱり格別。すぐ横にはピクニックができるビアガーデンがあり、また施設内の旧精麦棟は約3年後にビール美術館に生まれ変わるそうです。ボルテンの歴史と伝統がこの先も長く続くことを願いつつ、いつかまた再訪したいと思う醸造所でした。
1991年生まれ、ケルン在住3年目。映画とビールと音楽が大好き。最近はケルンの地ビールであるケルシュに合う和食レシピを研究中。



インベスト・イン・ババリア
スケッチブック






