Hanacell

下を向いて歩こう?!バルト海の浜辺で琥珀探し

限りなく広がる青空を優雅に飛ぶカモメ、どこまでも続く水平線、そして穏やかな海。そんな美しい景色があるにもかかわらず、バルト海の浜辺では、ずっと下を向いて歩いている人を見かけます。なぜならば、海中の琥珀が嵐によって浜辺に打ち上げられるから。嵐の次の日には、琥珀を見つける大チャンスがやってくるのです。

3月末、風が強く吹くドイツ北東地方のダース半島。「これは琥珀が見つかるのでは」と、私の中で期待が高まり続けます。しかし風が強いだけでは、海の黄金はその姿を見せてくれません。強い「北東の風」でなければいけないのです。そのため、スマートフォンのアプリの風レーダーを使って、風向きをチェック。レーダー上には、北東から南西へ抜ける無数の矢印が見えます。時は満ちました……!

文字通り「藻くずの中」で見つかります文字通り「藻くずの中」で見つかります

嵐が去るのを待ってから、私たち家族は意気揚々と浜辺へ向かいました。本来は観光客が増え始める時期ですが、海にはコロナ禍でほとんど人がいない状態。ぷかぷか海に浮かぶカモメたちを尻目に、琥珀探し開始です。

琥珀はそれ単体でコロリと浜辺に落ちているわけではなく、大抵の場合は藻くずに絡まっています。そのためまずは、打ち上がっている藻くず探し。私はこれまで何度となく挑戦してきましたが、いつも空振りでした。今回もあまり期待をし過ぎずに、最初の藻くずを指で探ってみると、べっ甲飴のような米粒大の欠片が! まさかまさかと、私より琥珀に詳しい夫に聞くと「本物である」との判定が下りました。するとどうでしょう、周りの藻くずからも次々と琥珀が見つかるではありませんか。今回は小粒のものしか見つけられませんでしたが、それでもその美しさと見つけた時の感動といったらありません。

今回の収穫!今回の収穫!

1万年前から人類を魅了し、中世ハンザ同盟では重要な商品として、また魔除けとしても重宝されていた琥珀。今でもバルト海地域の名産品として人気が高く、バルト海のほとんどのリゾート地で琥珀のアクセサリーや加工品が売られています。ちなみに、ウズラの卵以上の大きさの加工に適したものは、琥珀漁師(Bernsteinfischer)や琥珀マニアが早朝に採っていってしまうので、大物を狙う場合は早起きが必要不可欠です。

嵐が過ぎ去ったバルト海の浜辺嵐が過ぎ去ったバルト海の浜辺

北東の風が吹かなくなって暖かくなると、もう琥珀を見つけるのは難しくなります。そうとは分かっていても、一度琥珀を見つけた感動を味わってしまうと下を向いて歩かずにはいられい、そんなバルト海の浜辺なのでした。

ハス エリコ
ロストック在住。ドイツ北東地方の案内人、そしてシュヴェリーン城公認ガイド。ツイッターで観光、街、大好きなビールについて、ほぼ毎日つぶやいています。
Twitter: @rostock_jp
griffin-guides.com
 
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