「日中、雲が晴れれば青い空が広がっている」という当たり前の事実を忘れてしまいそうになるくらい、今年の冬はどんよりとした天気が続くロストック。それに加えてのロックダウンに、元気が取り柄の私でもさすがに気が滅入ってきています。そこで今回は、私が最も待ち望んでいる「ロストックの港ライフ in 真夏」に思いを馳せ、元気に過ごすための「楽しみ」という糧を量産したいと思います。
ゆったりとした音楽が流れるビアガーデンからの眺め
いつまでも夕焼けが美しい空、川面を滑っていくヨット、心地よく肌をなでる風、それと共にどこからともなくバーベキューの香りが流れてきて、思わず鼻をクンクン。白い泡の帽子をかぶった生ビールで、大好きな人たちと満面の笑みで乾杯! ……夏のこの瞬間、いつだって「ロストックって最高だ!」と心から思います。ほら、もう夏のロストックに魅了されてきたでしょう?
真夏のロストックで忘れてはいけないのが、帆船の祭典「ハンゼセイル」(Hanse Sail)です。毎年8月第2週の木曜〜日曜に開かれるお祭りで、ロストックの港に所狭しと世界中から帆船が集結。さらに屋台やパフォーマンスステージ、移動遊園地が設置され、100万人近くの人々を引き寄せます。ちなみに、ロストックの人口は20万人ですから、どれだけ大規模なのかが想像できると思います。
大迫力の帆船
普段ではあり得ない密度の人混みのなか、川岸に停泊中のまるで海賊映画に出てくるような木製の帆船。それらにロマンを感じながら、まずはドイツではお馴染み、窓が無いオープンタイプの観覧車を目指しましょう。観覧車のてっぺんでは心躍る風景が待っていますが、高所恐怖症の方は絶対に乗らないでください。予想以上の速さに加え、てっぺんでしばらく停止しますし、1周では終わりません。しかしこの観覧車に乗れば、夏の爽やかな風を存分に味わいながら、あらゆる海を航海してきた帆船たち、その横をヨットやモーターボートが行き来する様子、そして少し遠くにはマリエン教会とペトリ教会の塔など、印象的なロストックのスカイラインを一望できます。「中世の船乗りたちはあの塔の並びを見て『ああ、やっとロストックに到着するんだ』なんて思ったのかしら」と想像するのも風情がありますね。
観覧車からの見るハンゼセイル
1991年に始まったこのハンゼセイルは、実は2020年に第30回を盛大にお祝いする予定でした。ところが、皆さんご存じの通り新型コロナウイルスにより、2021年に延期。現在の状況を鑑みるとそれすら雲行きが怪しいようにも思えてきますが、雲は流れるもの。ロストックの街にはいつだって海からの風が吹いています。分厚い雲が遠くへ流れて、再び青空に太陽が輝く夏の日、港にはきっと人々の笑顔が溢れることでしょう。それを「楽しみ」の一つに、心身ともに健康でいるのが大事なのだなと思いを新たにするのであります。
ロストック在住。ドイツ北東地方の案内人、そしてシュヴェリーン城公認ガイド。ツイッターで観光、街、大好きなビールについて、ほぼ毎日つぶやいています。
Twitter: @rostock_jp
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