博物館・美術館は、脳みそへの太陽。博物館がこんなに頭をクリアにしてくれるとは思ってもみませんでした。2021年末からドイツ北東地方のメクレンブルク=フォアポンメルン州では、ほとんどの文化施設がコロナ規制の影響で閉鎖を余儀なくされていました。それに加えて、うんざりするほどの灰色の日々。しかし年が明けて1月末、やっと規制が緩和されることに。久しぶりにロストックの街のど真ん中にある「ロストック文化歴史博物館」を訪れて、知的欲求がものすごく満たされました。
この博物館は、もともと13世紀に創立された聖十字修道院(Kloster zum Heiligen Kreuz)が改装されたものです。そのため、まず博物館自体が展示物として楽しめます。天井にはものすごく年季の入った梁(はり)や、どこに続くのか気になる、しかし立入禁止の小さな階段や扉。そして、「ああ、ここは増築された箇所だな」とすぐ分かるような、つまずきそうになる段差など。ぐるぐると回っていると、自分が建物のどこにいるのか分からなくなってしまうことも。また、併設されている教会にも入れるのですが、少し分かりづらい扉の向こうにあります。いらっしゃる際はぜひ見つけてみてくださいね。
どこに続くのかワクワクする木製階段
文化歴史博物館という名前だけあって、ここではロストックの歴史、中世からの商人によって集められた美しい陶磁器や時計、硬貨、絵画などの美術品が所狭しと展示されています。絵画コーナーには、ロストック周辺の風景画が集められているのですが、その風景は私にとってもなじみがあるものばかり。それぞれの画家を通しての風景は、私が普段見ているそれとは少し違う雰囲気です。見えている景色というのもはこんなにも人それぞれなんだな、と感慨深くなってしまいました。
特におすすめしたいのが、博物館に入ってすぐのところにあるロストックの歴史コーナーです。2018年にロストック市制定800周年を迎えたときに特別展示されていたものが、2021年に常設展示となりました。ロストックがどのようにして繁栄していったのか、商人たちがどのような生活をしていたのかが、分かりやすく説明されています。
中世当時から残る装飾の美しい扉(博物館内)
中世の時代、ロストックの街のどこにどのような職業の人が住んでいたのかというデジタル展示があるのですが、これが最高に楽しいのです。ロストックの街に住んでいると、ある程度通りの名前を覚えていきますが、ここにはこの職業の人が住んでいたからこの名前だったのか、と一致したときに少しずつ頭の中が明るくなっていく感覚にやみつきになります。
この博物館はロストック市によって運営されているため、入場料は無料です。ロストックの街と博物館を行ったり来たりしながら、今年も足腰と脳みそを鍛えていこうと思っています。
ロストック在住。ドイツ北東地方の案内人、そしてシュヴェリーン城公認ガイド。ツイッターで観光、街、大好きなビールについて、ほぼ毎日つぶやいています。
Twitter: @rostock_jp
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