ジャパンダイジェスト

3年間の締めくくりに ロストックをダイジェスト!

2019年の10月に、ドイツ北東地方の港町ロストックの知名度を上げるべく「私の街のレポーター」として本誌に初登場しました。あれから3年、当初の目的を少しは達成できたかなということで、今号を持ちましてレポーターから卒業することになりました。締めくくりはロストックを「ダイジェスト」でお届けします。

ロストックの天文時計ロストックの天文時計

中世時代にはハンザ同盟都市として栄華を誇った港町ロストック。ハンブルクから東に180キロ、ベルリンから北に230キロに位置し、電車でどちらからも大体2〜2時間半くらい。到着すると必ずどこかで聞こえてくる「モイン!」(Moin!)は、ロストックをはじめとする北ドイツで一日中使えるあいさつです。

歴史上、スカンジナビア諸国とさまざまな関係があったことから、どこか北欧を感じる街並みのあるロストックの中心街。中世から街の玄関としてそびえ立つKröpeliner門が出迎えてくれます。所々に残る「中世」を探しながら散策するのはとても楽しいものです。

その集大成ともいえるのが、ロストック聖マリエン教会です。ハンザ同盟の盟主であったリューベックに建設された巨大ゴシック建築の聖マリエン教会に倣って、ほかの同盟都市でもこぞって聖マリエン教会が建設されたのです。その教会とまるでセットであるかのように、内部には「天文時計」も設置されました。他都市の天文時計は故障してしまっていたり、撤去されていたり、第二次世界大戦によって破壊されてしまっていたり、現存していても当時とは全く違うものだったりしますが、ロストックの天文時計は今でも1472年に造られた当時のまま、大事に手入れをされて動き続けています。

レンガ造りが美しいロストック聖マリエン教会レンガ造りが美しいロストック聖マリエン教会

フランスのストラスブール大聖堂やプラハの天文時計の方が一般的には有名ですが、私に言わせれば、ロストックの天文時計が最古にして最高! ぜひ、ロストックの天文時計と生で対峙していただきたいです。教会の入り口から心地よく時を刻み続ける音をたどっていき、目の前に高さ11メートルにもなる時計が目の前に現れたときの驚き、550年近くの年月を見つめ続けてきたその時計の荘厳さは格別です。コンピューターなどない時代に、全て人間の脳みそで緻密に計算されて造られた時計とカレンダー。そしてうっとりするほど美しい木彫の装飾。なぜこれが世界文化遺産に登録されていないのか不思議で仕方ありませんでしたが、ついに昨年、世界文化遺産登録に向けて登録リストへ推薦されることが決まりました。

この3年間、コロナ禍や戦争、そして思いもよらない事件や出来事がたくさんありました。550年の時を刻み続ける天文時計にはどのように今の世界が映っているのか……。そんなことを考えながら、私のレポートを締めくくりたいと思います。3年間、どうもありがとうございました。どうぞ皆さま、健康第一でお過ごしくださいね!

ハス エリコ
ロストック在住。ドイツ北東地方の案内人、そしてシュヴェリーン城公認ガイド。ツイッターで観光、街、大好きなビールについて、ほぼ毎日つぶやいています。
Twitter: @rostock_jp
griffin-guides.com
 
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