ジャパンダイジェスト

Nr. 2 学校選び、3つの選択肢

子どもと一緒にドイツに滞在するご両親にとって、幼稚園や学校選びは悩みの1 つですね。とくに学校選びは子どもの将来に関わることなので、慎重になる方も多いと思います。

選択は大きく3 つに分けられます。

1. 日本人学校 
2. インターナショナルスクール
3. 現地校


イラスト: © Maki Shimizu

ドイツの日本人学校では、日本の小学校や中学校とあまり変わらない学習環境が整っているので、帰国してからもギャップをそれほど感じることなく、日本の学校生活に適応できるかと思います。

短期海外赴任のご家族は、帰国を念頭に置いて日本人学校を選ぶことが多いようです。入学手続きは日本語でできますし、ドイツ語に不慣れなご両親にとっても何かと安心ですね。

ところが日本人学校に通わせたくても、通学できる範囲に住んでいないご家族も多くいます。私たちも地方に住んでいるので、現地校しか選択肢がありませんでした。現地校やインターナショナルスクールへ通う子どもに、少しでも日本との接点を持ってほしいとき、日本語補習校へ通わせるという方法があります。

日本語補習校では、土曜日など週に1日だけ開校して教科授業を行っています。各校によってカラーがありますが、基本的には日本の社会に適応できるよう、基礎的な日本語能力や文化・生活習慣などが学べるようになっています。中には片道2時間以上かけて補習校へ通うお子さんもいます。同じような境遇(異国で学ぶ)の仲間や友達ができれば、子どもにとっても何かと心強いことでしょう。

最近では、「せっかく海外にいるのだから」とお子さんをわざわざ現地校へ通わせ、異文化体験をさせるご両親も増えています。

こんな話を聞いたことがあります。日本人学校にいた生徒は、帰国すれば“帰国子女”と呼ばれるわけですが、「帰国子女なのに、ドイツのことを何も話してくれない」などと言われるケースがあるのです。

例えば、ドイツの日本人学校に5年間通っていた男子生徒が、日本の中学校に転入したときのことです。クラスメイトや教師が、興味深げにドイツの友人、食べ物や音楽、ドイツ語などについて彼に質問するのですが、「分からない」というのが彼の答えなのです。長く海外で生活しながら、ドイツを肌身に触れないまま帰ってきてしまうというのは少し残念な話です。

ドイツの日本人学校では、カリキュラムにドイツ語の授業を取り入れたり、現地の人々と交流するイベントを企画したり、さまざまな工夫をしてドイツに触れる機会を生徒に与えようとしています。しかし、異国の文化を肌で感じ、自分自身を豊かにするためには、それだけでは不十分なのかもしれません。その国を“本当に知る”という経験は、どうすれば得られるのでしょうか?“ そこの国に住む人と友達になることから始まる”と私は考えます。ドイツ人と1 対1 で関われる生活空間が多くあれば、前述の男子生徒は日本人にドイツの何かを伝えることができたのではないかと思います。

しかし、何といってもドイツは異国。右も左も分からないことばかりで、その中で子育てとなると、親の不安はやはり大きくなります。「ドイツの小学校の様子についていろいろと知りたい」という読者からのメールが届いています。

そこで次回は「授業参観がない!?」日本とドイツの小学校の違いや、「受験はないけど落第がある!?」ドイツの学校システムなど、ドイツの学校生活の様子についてお話したいと思います。


イラスト: © Maki Shimizu

 
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