海外で暮らす我が子に、日本の学校生活を体験させてみたいと思われるご両親は、皆さんの中にも結構いらっしゃるのではないでしょうか。今回は、ドイツ在住の方から日本の公立学校への体験入学方法についてご質問をいただきましたので、私自身の体験を基に、そのことについてお話ししたいと思います。
イラスト: © Maki Shimizu
ドイツで生活している我が子を日本の公立学校に短期間だけ通わせることは、私の場合は思ったよりも簡単に実現できました。実際、私の娘は小学1年生の時と中学1年生の時に、それぞれ日本の学校に“体験入学”をしています。ドイツの夏休みが始まったと同時に帰国し、日本の学校が夏休みに入る直前の3日間だけ体験入学をさせていただきました。最初の時、娘はドイツで言う小学校の1学年目を終了したばかりでした。
体験入学をさせていただいた私の実家の近くにある公立小学校は、1学年に3クラスあり、娘はその3組の教室に入れてもらうことになりました。「海外の学校では、日本よりも早く夏休みが始まるところが多くあるようですね。それを利用して、お子さんを日本の学校で学ばせてみたいという親御さんは多いのですよ」と話してくださったのは、この小学校の副校長先生。それはまさに私たちのことでした。ちなみに、先生自身のお孫さんは米国にいると、嬉しそうにお話しされていました。
イラスト: © Maki Shimizu
実のところ、体験入学のお願いをしに行った日は、もしかしたら断られるかもしれないと内心不安だったのですが、それはまったく杞憂でした。この機会を毎年のように利用するお子さんもいるそうで、それならば来年もまたお願いできるかなと、さらなる期待に胸を膨らませましたが、そうはなりませんでした。と言うのも、なんと我が娘はあまり感動もせず、その貴重な3日間を終えてしまったからです。そもそも娘は、日本の小学校にあまり関心がありませんでした。もしかしたら、私自身が日本の学校の様子を見たかったのかもしれません。
いずれにせよ、私たちの動機が何であれ、小学校の職員の方は、海外在住の日本人からのこのような体験入学の申し出に慣れているようでした。「この地域には、海外勤務のご両親が多いせいかもしれません」とは、体験入学初日にお会いした校長先生のお言葉です。この校長先生も異文化交流に前向きで、むしろ積極的に受け入れたいという感じでした。しかし、日本中のすべての学校がそうであるとは限りません。もし、お子さんに体験入学をさせてみたいとお考えならば、小学校へ出向く前に、まずは自治体や教育委員会などに問い合わせをして、受け入れ態勢の有無を確認することをお勧めします。
娘の体験入学を希望するに当たって私が実際に行ったことは、具体的には次の通りです。まずは、市の教育委員会に電話で問い合わせました。そこで事情を話すと、小学校に直接電話するよう指示を受け、小学校からはお子さんと一緒に面談に来るようにとのことで、訪問日を予約して伺いました。その際、前述の副校長先生との面談後は校内を案内してもらい、書類記入などの手続きもありませんでした。体験入学には、ランドセルも体育着も用意する必要はなく、上履きとノートだけを持たせました。教科書などもお借りすることになり、我が娘は本当に“お客さん”という形で通わせてもらったのでした。次回も引き続き、このテーマについてお話しします。
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