ビアソムリエ世界大会初代チャンピオンのカール・シフナー氏。彼はドイツの人気番組の出演をきっかけに注目を集め、現在は雑誌やテレビなどでビールの美味しい飲み方を紹介しています。
チャンピオンになるまでの経緯は。
私はオーストリアのオーバーエスタライヒに生まれ、ホテル観光専門学校を卒業後、ボヘミアの森などの活性化・観光化の仕事を経て、1987年から自身のビアレストランを経営しています。ビールをより美味しく提供するため、2004年にドイツのドゥーメンス醸造専門学校が開いたビアソムリエのディプロムを取得しました。09年に初開催されたビアソムリエ世界大会に出場し、筆記試験や官能試験、プレゼンテーションなどの挑戦を経て初代チャンピオンに選ばれました。オーストリアのビール事情を教えてください。
オーストリアというとワインのイメージが強いかもしれませんが、12年の国民1人当たりのビール消費量はドイツを抜いて2位。ビール醸造の歴史も古く、実は隠れたビール王国なのです。エンゲルッツェル修道院付属醸造所が世界で8番目のトラピストビール(国際トラピスト修道士会が定める厳格な規則に従って醸造されたビールで、公式に認定されなければ名乗れない)として認可されたことも話題になっています。一方で若い醸造所も多く、自由な発想でビールを造っていて面白いですよ。
ペッパーミルを片手に、ビールのマリアージュについて語るシフナー氏
ご自身のビアレストランについてお聞かせください。
ビアガストハウス・シフナー(Biergasthaus Schiffner)をアイゲン・シュレーグルで経営しています。世界各国の150種類のビールを扱い、料理に合わせてビールを紹介しています。04年にはベスト・ビア・スポットに選ばれたんですよ。宿泊もできます。帰りの心配をせずに楽しんでいただけるようにね。
ワインのマリアージュ(各ワインに合う料理を選ぶこと)はよく聞きますが、ビールではまだ浸透していません。
ビールはアルコール度数や味の幅が広いので、ワイン以上にマリアージュの幅は広がります。チーズプレートにはホップの効いたビール、しっかりとした肉料理にはそれに負けない強いストロングエールを。チョコレートケーキにはドイツのドッペルボックを合わせると良いでしょう。
変わったビールの飲み方も提案されていますね。
ご紹介したいのはラガービールにヨーグルト、砂糖、レモンを加えたカクテル。これは優しいからこっそり朝食に飲んでもOK。そして今お勧めなのは、アルコール度数が強い長期熟成タイプのビール(バーレイワイン)に黒こしょうを振ったもの。一度お試しあれ。スパイシーな食べ物を合わせて飲むという方法もあるけれど、ビールにいろいろなスパイスを添加してみるのも面白いと思います。
ビールのマリアージュは本当に無限大ですね。ありがとうございました。
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