ジャパンダイジェスト

冷たいものが歯にしみる! 知覚過敏

冷たいものが歯にしみる!知覚過敏

一体いつまで続くのか……と、溜息交じりだったドイツの寒い季節がようやく終わり、待ちに待った夏の到来です。屋外では多くの人が爽やかな日光を浴びながらビールを飲み、週末にもなると人気アイス店の前には行列が。その光景を見ているだけでもワクワクします。この短い夏を楽しむために頑張って冬を越してきたのだ!と、ドイツ在住の皆さんの多くが思っているはず。

冷たいものが最高に美味しいときですが、アイスやジュースを口に含んだ瞬間、ピリッと顎に響く、鋭い痛みに気が付きやすい季節でもあります。今回は「冷たいもので感じる歯の痛み(冷痛)」についてのお話しです。冷たい食べ物を口に含んだときに歯がしみたり、痛みを感じたりした瞬間、誰もが「もしかして虫歯?」と、悪い予感が脳裏をよぎります。冷痛は、実は虫歯以外の原因によって起こる場合が多いのです。

一番多い冷痛の原因は、歯肉との境界付近に起こる「知覚過敏」。この知覚過敏という言葉は、テレビCMや広告で見られる「知覚過敏用歯磨き粉」などでご存じの方も多いと思います。知覚過敏が原因の冷痛は、歯肉が退縮(歯茎が痩せる)し、歯の過敏な部分である象牙質が露出することによって起こるもので、虫歯とは異なります。なぜ、歯肉の退縮が起こるのでしょうか?

その主な原因の1つが、「歯ぎしり(ブラキシズム)」です。一般的にギリギリという嫌な音を立てるのが歯ぎしりだと思われがちですが、音とは関係なく、主に睡眠時に無意識下で顎の筋肉が活動を行う現象のことを指します。その程度には個人差があり、人によっては弱い力で数分間の場合もあれば、50kgを超える力で1時間以上歯ぎしりする人もいます。ブラキシズムは、脳の活動と深い関係があり、ストレスの度合いや個人の性格に大きく左右されることが知られています。強い力でブラキシズムを行えば、当然のことながら歯のどこかに負担が掛かるわけですが、最も影響を受けるのが、構造的に弱い歯茎部分なのです。

歯ぎしりで歯茎が痩せた症例
歯ぎしりで歯茎が痩せた症例

また、歯周病(歯槽膿漏)も冷痛の原因となります。これは、増殖した歯周病菌が引き起こす炎症によって歯の周囲の骨が溶かされ、歯根が次第に露出することによるものです。そこに強いブラキシズムが加われば、歯周病の進行はさらに早くなります。

冷痛の原因が虫歯ではなく、ブラキシズムや歯周病によるものであれば、継続的な強い筋肉活動や歯周病菌の感染が根本的な問題です。冷痛があるからといって知覚過敏用歯磨き粉を使用しても、鎮痛効果はそれほど期待できません。

歯周病で歯茎が痩せた症例
歯周病で歯茎が痩せた症例

さて、多くの人が恐れる、冷痛の原因が虫歯にある場合ですが、原因が明確なため、実は処置としては比較的容易なことが多いのです。虫歯の痛みには冷痛のほか、温かい食べ物や飲み物によって歯が痛くなる「温痛」がありますが、虫歯の初期には冷痛が多く、進行して虫歯が深くなると温痛になる傾向があります。そのため、冷痛の虫歯を早期に処置した場合は軽い治療で済み、大抵は治療後の経過も良好です。

これから夏本番、冷たいものでピリッと来たら、治療方法は原因によって異なりますので、早めに歯科医院を受診しましょう。

 
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