歴史の裏にビールあり!文化の影にビールあり!人類の歴史を語るのにビールは欠かせません。
知れば知るほどに、楽しく美味しくビールを飲めるはず。
毎月ちょっと面白い、そしていつかは役に立つ(?)小話をご紹介します。
今年はバイエルンで「ビール純粋令(Reinheitsgebot)」が公布されて500年目の記念の年です。この法律は、現在まで有効な食品に関する法律としては世界最古。当時、バイエルン公国のヴィルヘルム4世によって1516年4月23日、南ドイツのインゴルシュタットで公布されたもので、ビールの原料を「麦芽、ホップ、水」(1551年にはこの原料に「酵母」が加えられます)に限定しています。
ビールは4つの原料しか使用していないにもかかわらず、その組み合わせや醸造の方法を変えることで、味わいは多種多様。ドイツには5000種類以上のビールの銘柄があるといいますから、毎日一本飲んだとしても13年以上かかる計算です。近年では品種改良が盛んでメロンや柑橘類などフルーティーな香りのホップも誕生しており、その味わいは無限大といっても過言ではないほど。一生かかっても飲みきれませんね。
「ビール純粋令」はドイツビールの伝統と文化、品質と味を守る重要な役割を果たしてきました
そもそもビール純粋令には、パンを焼くための小麦が不足しがちであったためビールに小麦を使わせないこと、当時人気であった小麦ビールの醸造権を独占するため、という狙いがありました。また、当時の一番の問題は、北ドイツのアインベックのビールが大変評判が良く、そのビールをバイエルンまで輸送するのにお金がかかっていたことです。今では想像がつきませんが、当時のバイエルンでは偽物や不純な添加物が入ったビールが横行していたのです。それらを一掃するために、厳しい品質検査をすることになりました。これにより品質は格段に向上し、バイエルンのビールのおいしさは広く知られるようになりました。現在でも人工香料や着色料、安定剤、保存料などは使用されていません。
第一次世界大戦後の1919年、バイエルンがドイツの前身であるワイマール共和国に参加する条件の一つとして、ドイツ全体で「純粋令」を採択することを挙げたことで、「純粋令」はドイツ国内で順守されることになりました。
欧州共同体(EC)、その後の欧州連合(EU)では、「ドイツだけがビールの原料を限定するのは非関税障害である 」という声が上がり、「純粋令」は非合法化されてしまいました。しかし、ビール純粋令に基づいて造られるビールは、ドイツ国内の醸造者からも消費者からも支持されています。
「ビール醸造業界が過去数年の食品スキャンダルから距離を置くことができたのは、原料を限定することで、継続的な残留農薬や有害物質の検査を可能としたからにほかならない」と語るのは、バイエルン醸造者組合会長。まさにその通りですよね。
500周年を記念し、ドイツ国内では様々な催し物が企画されています。純粋令が公布された街インゴルシュタットでは2016年4月22日~24日に、ミュンヘンでは7月22日~24日にビール純粋令500周年を記念するフェスティバルが開催されます。皆さんもご一緒に500年目のビール純粋令をお祝いしませんか?
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