ジャパンダイジェスト

歯科矯正治療とレントゲン写真

歯科矯正治療とレントゲン写真

今から20~30年ほど前までは矯正歯科医師が少なかったこともあり、一般的ではなかった歯科矯正治療ですが、近年では人工歯根(歯科インプラント)治療と並び、特別な治療という認識は低くなってきました。また、かつては「歯科矯正治療は子供がするもの」と思われていましたが、近年では年齢を問わず、多くの世代の方が歯科矯正治療を受けるようになりました。

しかし歯科矯正治療が広く普及してきたとはいっても、「虫歯を削って詰め物をする」「歯がない部分に人工歯を入れる」といった比較的分かりやすい治療とは違い、歯科矯正治療は使用する器具や治療方法に大きな違いがあるため、一般的に理解が難しいところがあるのも事実です。その中でも、歯科矯正が一般歯科治療と最も異なるところは、「頭蓋骨格の位置診断」を行うこと。歯科矯正治療では矯正装置を使って歯列を動かすのですが、歯の土台となる頭蓋骨や顎骨の位置を知ることが治療上とても重要なのです。顎骨の位置は歯型模型などである程度得られるのですが、頭蓋骨をすべて含めた形態や相対的な位置情報などを知るためには、「頭部X 線規格写真(セファログラム)」という特殊なレントゲン写真が必要になります。通常の歯科治療で使用されるレントゲンは、顎全体を撮影する「パノラマX線写真」と数本の歯を細かく診るための「デンタルX線写真」と呼ばれるもので、セファログラムが一般的に利用されることはそれほど多くありません。


 レントゲン撮影の様子
レントゲン撮影の様子

セファログラムは1931年、その当時歯科矯正学が発達していたアメリカの歯科医師によって開発され、その原理は現在に至るまで頭蓋骨格を診断するための世界標準となっています。開発当初はアメリカ人の頭蓋骨を中心に研究が進められていたセファログラムですが、10年以上遅れて日本の歯科大学にも導入され、1950 年代後半には欧米人とは異なる日本人の骨格の研究も大きく発展。同コラム1002号でもお伝えしましたが、欧米人と日本人では不正咬合の種類や頭蓋骨格が大きく異なるため、日本人独自の骨格分析値は臨床に重要な役割を果たしています。現在ではCT スキャンなどの三次元映像技術も発達してきましたが、世界中で膨大なデータが蓄積されたセファログラムの重要性は今も昔も変わりません。


 下顎前突のレントゲン写真
下顎前突のレントゲン写真

セファログラム分析から得られる情報

1. 平均的な顎や歯の位置・角度と比較した顎骨の大きさや位置(上顎が前に出すぎている、下顎が大きい等)
2. 歯の位置(出っ歯、受け口等)
3. 歯科矯正治療で歯をどのくらい動かすか目標値の設定
4. 顎骨の成長予測(子供の場合)
5. まだ生えてきていない歯の位置
6. 骨の発達異常や形成不全
7. 鼻から唇、顎にかけて横顔の輪郭(皮膚もレントゲンに写るため)

 

 
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