日独の歯科医院「何か違う!?」2
今回は先月のコラムに引き続き、日本人患者さんからよく質問される日本とドイツの歯医者さんの違いについてお伝えします。
❶ 完全予約制
日本でも近年は完全予約制の歯科診療所が増えました。これは、治療内容によって必要な時間やプロセスが異なるため、治療を計画的に行うことによって高い質の歯科医療を提供するのが目的です。しかし日本では未だに「歯科治療は保険でまかなうもの」という認識が強いため、風邪をひいて病院にかかる時と同じ感覚で、飛び込みで歯科医院を受診することが多いのが現状です。一方ドイツでは、保険でカバーされるものはごく最低限で、最終的な治療は自由診療(自費診療)になります。そのため、治療の質を求める要求度は非常に高く完全予約制が一般的です。
❷ 治療の見積書
ドイツでは、基本的に保険治療以外の自由診療については見積書が発行されます。
日本の歯科医院で自由診療の治療を受ける際は(セラミッククラウンやインプラント等)、ほとんどの場合は簡単な資料か口頭で「ちょうど10万円です」と金額を伝えられ、治療が終わった時に治療費を払って領収書をもらいます。一方ドイツでは、自由診療においても治療内容や使用される材料、またそれぞれについての価格を医療法の指針に沿って明確に表記することが義務付けられています。
そのため、初めてドイツで歯科治療を受ける日本人には、歯科治療の見積書に戸惑ってしまうことが多いのです。
❸ 週末に歯科診療所が開いていない
日本の歯科医院の多くは土曜日も診療を行っており、中には日曜日にも開業しているところがあります。「ドイツは日曜日も小売店が閉まってるから歯科医院も閉院してる」と思われるかも知れませんが、実はドイツでも週末に歯科医院を営業しても法律違反ではありません。実際に数は少ないですが、週末に診療をしている歯科医院も存在します。しかし週末はスタッフが仕事をしたがらない上、ドイツでは慢性的に歯科助手が不足しているという状況もあって、週末は閉院していることがほとんどです。
❹ 診療室内がすっきりしている
ドイツの歯科医院内は全体的にシンプル(少し殺風景)な印象を受けることもあるでしょう。日本の歯科医院では壁のいたるところに張り紙がしてあったり、棚の上には所狭しとモノが置かれ、植物もいろいろなところに配置されていることがよくあります。
しかしドイツでは衛生管理の基準が非常に厳しく、ほこりや細菌が溜まりやすい環境は極力排除しなければいけません。また観葉植物も配置できるのは受付や待合室だけで、診療室内には花一輪も飾ることはできません。
すっきりとした診療室のイメージ
❺ 女性の歯科医師が多い
「ドイツの若手の先生は女性が多いような気がする」と言われることがよくありますが、実際に最近の歯科医師は女性が圧倒的に多いのです。以前はドイツでも男性歯科医師が大勢を占めていたのですが、1990年頃の卒業生から女性の比率が高くなってきました。日本の歯科医師数も近年は女性が増加傾向がありますが、それでも30歳以下で男女比率は6:4。一方ドイツでは3:7と女性がかなり多く、この傾向はしばらく続くと予想されています。
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