86新型コロナで旅行代は返金されるのか?

コロナ禍による旅行制限も、シェンゲン圏では緩和されようとしています。とはいえ、イベント中止などの理由で旅行をキャンセルしたい場合、費用は返金されるのでしょうか。 旅先が渡航禁止や宿泊ができない状態であれば、ドイツでは当然費用は還付されますが、現地の制度に従わなければならない場合もあります。例えばブッキング・ドットコムのようなウェブサイトでオンライン予約している場合には、そのポータルサイト間との契約とは別に、現地の宿泊施設などともう一つの契約があり、それが外国であればその国の法律に従います。そこで直接現地とのやり取りが必要になったり、支払った金額の還付はできず、別の日への予約変更かクーポンと引き換えとなる可能性があるのです。

● 航空チケット

ルフトハンザグループでは3月15日までに予約したチケットは、そのタリフにかかわらず2021年1月まで目的地の変更も含めて、無料で予約変更が可能となっています（変更後の料金が高くなる場合の差額は自己負担）。イージージェットでは、基本的にフライトの2時間前までは無料で予約が変更可能です。 航空会社がフライトをキャンセルした場合には料金は還付されるはずですが、ウェブサイトに予約変更やクーポンとの引き換えの案内はあっても、返金案内が載っていないことがあります。その場合は、サイトのImpressum欄にあるメールや住所宛てに、文面で14日の期限をつけて還付請求しましょう。連絡しても還付が受けられない場合は、さらに1週間の期限で催促、それでも駄目なら消費者センターや弁護士に相談することになります。

● 鉄道チケット

ドイツ鉄道（DB）では、新型コロナの影響により旅行を中止せざるを得ない場合、無料で予約の取り消しができます。3月13日までに予約したチケット（割引チケット含む）は10月31日までに変更可、またはクーポンに交換可能です。なお、バーンカード保持者はオンラインで手続きができます。

● パック旅行

ドイツは旅行業者の連続倒産を防ぐため、パック旅行と航空券に関しては返金ではなくクーポンを認めるように動きました。しかし、これは欧州連合（EU）からは却下され、パック旅行はコロナ禍によるやむを得えないキャンセルの場合に返金されることに。業者が返金ではなくクーポンへの交換のみを提示した際は、文面による請求が必要です。キャンセル料を払う必要もないので、要求された場合には消費者センターに届けます。このような場合は、必ず文面でのやりとりを保存しておきましょう。いつまで、どの行き先がやむを得ない (unvermeidbaren, außergewöhnlichenUmstände) キャンセルとして認められるかは、今後の行政の判断によっても変わってきます。

● イベント

イベントの返金規定はEU各国が独自に設定できるため、ドイツでは5月中旬にクーポンへの交換を認める法案が可決しました。これにより、3月8日以前に購入したチケット（スポーツ・文化イベント、プールや美術館・フィットネスクラブの年間チケットなど）は全て返金ではなくクーポンに交換可能となりました。ただし2021年末までにクーポンを使用しない場合は、現金での返金を要求できます。例外としてコロナ禍により家賃を払えない、生活費が足りないなどの場合（Härtefallklausel）は返金が認められます。