ジャパンダイジェスト

快適ITライフのために知っておきたい
初めての情報セキュリティー

PCのウイルス感染による個人情報の漏えい、インターネットを利用した犯罪などが急増する昨今、ITの専門家だけでなく、使う側のITリテラシーが問われている。ITコンサルタントのドクター・グンプ氏に、人類総インターネット時代の新常識を学ぶ。

Dr. Hermann GumppDr. Hermann Gumpp ミュンヘン在住の IT コンサルタント、起業家。日独産業協会における IT ワーキンググループを率い、ミュンヘン大学(LMU)や日本企業での技術導入アドバイザーならびにGDPR Toolbox というデータ保護のプラットフォームをEnobyte GmbH (enobyte.com) で共同開発中。東京の国立情報学研究所(NII)での研究開発経験もある。専門家チームとの共同研究を進めながら、あらゆるコンピューティング・プラットフォームにプロトタイプを導入している。

第11回 スパム(迷惑メール)とは?

スパム(SPAM)とはランチョンミートの缶詰の名前で、1970年にイギリスで放送されていたモンティ・パイソンのコントにより、その名が国際的に知られるようになった。このエピソードでは、大衆食堂にやってきた夫婦がメニューを尋ねたところ、ウェイトレスがスパムの入ったメニューを読み上げ、夫婦が「スパムは食べたくない」といってもウェイトレスはスパム入りの料理しかないといい張り「スパム」を連呼するという内容だ。

インターネットの「スパム」はこのエピソードが語源となっており、受信者が受け取りたくないメールのことを指す。全世界でやり取りされている電子メールの50%は、スパムだといわれている。

ちなみに1978年5月3日にDECの従業員が400人のユーザーに対しインターネットの起源であるアーパネットに接続し、ある広告を送信したのが最も古い迷惑メールだとされている。

迷惑メールにもいくつかの種類があるので、下記にその例をまとめよう。

➊ 商業目的のスパム

通常よくみられる商品の宣伝広告や購読した覚えのないメールマガジンがこれに当たる。2018年から適応される一般データ保護規則(GDPR)のおかげで、今後はこの種類の迷惑メールは減少すると考えられている。

➋ 勝手に送られてくるスパム

これは一見、宣伝目的とは分からないような内容だが、マルウェアやフィッシングメール、またはそのほか危険なウイルスを持っており、開封するとパソコン内にあるデータを危険に晒す可能性がある。

スパムによる被害を防ぐためには、メールの暗号化がおすすめ
スパムによる被害を防ぐためには、メールの暗号化がおすすめ

➌ 巻き添えスパム

個人のメールアドレスを使ってスパムを送信し、バウンスメールをスパムとして再利用する手法のこと。実在しないメールアカウントを宛先として送られたメールはメールサーバにより宛先不明と判定され、送信者のもとにエラーメッセージと共に返信される。このタイプのスパムは特に判別が難しく、対策も困難とされる。その理由としては、電子メールのプロトコルがデザインされてから40年以上も経過しており、その間セキュリティ面でのアップデートがされていないため、他人のメールアドレスを偽装するような事は簡単に出来てしまうからだ。


解決策としては、スパムフィルターを使用すること、そしてPGPやS/MIMEのような電子署名を使用してメールを暗号化することで、極力迷惑メールを防ぐことができる。

 
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