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「つわり いつまで」
ドイツ語単語
・Schwangerschaftsübelkeit:つわり・Akupressur-Armbänder:ドイツでは一般的なつわり対策グッズ。つわりを軽減させるツボを押すアームバンド
「Muppterpass(母親手帳)」を手に妊婦生活の始まりを喜ぶ気持ちと、しかし「まだ流産の危険性がある」という言葉が脳裏から離れない不安な気持ち、これらがひっちゃかめっちゃかに交差する妊娠初期。夫も同様に、「妊娠というニュースに喜び過ぎないように」と自分を律していたようで、よく険しい顔を作っていた。「子どもが生まれてきたら・・・」と、話し始めて手放しに盛り上がっては、はしゃぎ過ぎたことを二人で反省する。なんとももどかしい日々だ。
そして、妊娠発覚直後から感じ始めていた違和感や不調が、無視できないものとなり、徐々に日常生活を狂わせていく。疑いようもない、妊娠初期にやって来る最大の敵「つわり」の時期の到来だ。程度も期間も、個人差があるというが、私の場合は妊娠2~3カ月(週数でいうと、5~12週)の頃がピークだった。
ピーク時の症状
- 食べ物のにおい、他人の体臭、強い香り、刺激臭、すべて無理
- 台所に入ると、吐き気
- スーパーマーケットの前を通るだけで吐き気
- 公共の交通機関で吐き気
- 自転車通勤するも、信号中にガソリンの匂いが強くただよってくると、吐き気
- 空腹になると吐き気(でも、食欲はない)
- 味の濃いものは、だいたい吐き気
- ピーク時には、湯気の出る食事、冷たすぎる食感に吐き気
食べられたもの
- 納豆ご飯(冷ましたご飯に納豆、納豆の匂いは不思議とまったく嫌じゃなかった)
- 豆腐(湯豆腐か、冷奴で)
- 茹でた素麺を、ぬるま湯に入れたもの(味付けなし)
本来、食べることが大好きな食いしん坊の私が、食に対して苦痛を感じる日々。熱くも冷たくもない素麺を、注意深く、そーっとすすりながら、私は考えていた。「世界から拒絶されているようだ」と。空気を肺に取り込み、食べ物で胃を満たす・・・私とお腹の中の赤ちゃんが生きるために必要な、基本的な活動が制限されていることに恐怖すら感じていた。
本来は素晴らしいものであるはずの、人の営みや、自然の変化、家族が作る暖かい食事に、私の身体は拒否反応を示す。人生のあらゆる楽しみを奪われ、新しい命を与る身でありながら、いや、あるからこそ、絶望した。
-来ましたよ、これぞマタニティーブルー。
それでも、妊娠は病気ではないし、つわりが赤ちゃんに与える影響は限定的だと、お医者さんは言う(鉄分やビタミン補給はしっかりと!)。いつか来るはずのゴールが待ち遠しく、検索ワード「つわり いつまで」を繰り返す。まれに、つわりが妊娠後期まで続くという例もあり、愕然とする。
そんな日々をなんとかやり過ごしていると、ある日突然、パタッとつわりの症状が消えた。あんなにも望んでいたのに、昨日まであった不快感がなくなると不安になるもので、子どもに何かあったのかな? と心配になる。ちょうどすぐ後に定期検診があり、子どもの無事は確認できた。
ほっとしながら病院を出ると、灰色だった世界がキラキラ輝いて見えた。思いっきり深呼吸すると、パンの焼けた香ばしい匂いが鼻をくすぐり、食欲が沸いて来る。生きているって素晴らしい!! そう思えたのは、赤ちゃんのお陰。
次のお悩みは、つわりで食べられなかった分を取り戻そうとするかのように爆発する食欲・・・。体重制限の話は、また後ほど。