特集


ドイツでサステナブル生活にスイッチ!

一人ひとりの行動で持続可能な社会へ ドイツで
サステナブル生活 にスイッチ!

最近、メディアでもたびたび耳にする「サステナブル」という言葉。「サステナブル(=持続可能)な社会」とは、地球の環境を守り、資源をセーブし、人間や動物が地球上でこれからも平和で豊かな生活を続けていける社会のことだ。その実現に向けて、今日世界中でさまざまな取り組みが行われる一方、人間の活動は地球温暖化や生態系の変化をもたらし、現在進行形で地球に負荷をかけ続けている。安全な地球上でこれからも生きていくために、私たち一人ひとりに何ができるだろう?「サステナブル」という言葉をヒントに、地球と私たちの新しい関係性を探る。(Text:編集部)

参考資料:「Sustainable Development Report 2019」(Sustainable Development Solutions Net work)「Climate Action in Figures(2019)」(Umweltbundesamt)「Deut sche Na chhaltigk eit sstra tegie Neuauflage 2016」(Die Bundesregierung)『小さな地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発』(丸善出版)『『みんなのごみ』副読本~ごみを減らすための80のアクション』(NPO法人 環境安全センター)

地球の限界はすぐそこに

私たちの暮らしは、経済発展や技術開発により、物理的にはとても便利で豊かになった。通信手段の発達によって、世界中の人と簡単に連絡を取り合えるようになり、飛行機に乗れば、次の日には地球の裏側にまで行くことができる。都市では電気や水道などのインフラが整備され、人々は何不自由ない生活を送っている。しかしこの豊かな生活の代償として、地球環境は今、限界を迎えつつあるのだ。

特に20世紀半ば以降、まるで人間の繁栄が永久であるかのように、考えなしに地球資源を消費してきた私たちの社会。しかし、産業開発によって急増した温室効果ガスは気候変動を引き起こし、途上国での人口急増や、さらなる豊かさの追求により、自然環境に深刻な影響が出ている。また、石油などのエネルギー資源を無計画に使用することは、環境破壊につながるだけでなく、時には奪い合いのために争いを引き起こしてきた。

このような消費型社会や経済を続けていけば、地球環境はまもなく壊滅的な状況に陥り、それと同時に私たちの幸せな未来も失われてしまう……。そんな危機意識から2015年に国連で採択されたのが、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、通称「SDGs」)」だ。

世界を変えるための17の目標

世界を変えるためのSDGs

SDGsとは、持続可能な世界の発展のために、2030年までに達成すべき国際社会共通の目標。貧困や飢餓、環境問題、生物多様性、経済成長、ジェンダー平等など、17のゴールと169のターゲットを設定した。SDGsの前身となる「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)」では途上国の貧困など限定された課題を対象としていたが、SDGsでは、先進国の暮らしが貧困や環境問題に与えてきた影響を反省し、すべての国や地域が目標達成に向けた政策を行うよう求める。

ドイツ連邦政府は2017年に、これらの目標を達成するための具体的な政策手段をまとめた「ドイツ持続可能性戦略2016年版」を承認。今後15年間で、水質および大気汚染の改善、持続可能な製品の供給促進、また政府の持続可能性政策と市民、ビジネス、科学界との連携を強化することを目指している。国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が毎年発表するSDGsの達成度ランキングでは、2019年には6位。しかし、「12.つくる責任使う責任」「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」の3項目では、いずれも大きな課題が残っているとの指摘を受けた。

「人間の社会や経済が発展すること」と「地球環境を守ること」は、相反することのように思われがちかもしれない。確かにこれまでは、経済や開発を優先することで自然保護は後回しとなり、環境汚染を悪化させてしまった。しかし、SDGsが目指す「サステナブルな社会」とは、「環境・社会・経済」の3つがバランスよく成り立っている状態のこと。大量生産、大量消費といった一方通行の経済をやめ、エネルギーシステム、食糧生産、リサイクルなどに関する技術革新や、環境に対する責任ある管理など、社会と私たち自身の変革が必要なのだ。

SDGs達成度ランキング2019

  スコア
1 デンマーク 85.2
2 スウェーデン 85.0
3 フィンランド 82.8
4 フランス 81.5
5 オーストリア 81.1
6 ドイツ 81.1
7 チェコ共和国 80.7
8 ノルウェー 80.7

出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2019

私たちにできることは?

世界の貧困の撲滅や、温室効果ガスの削減などは、日々進歩する技術によって成果が上がりつつある。一方で、SDGsの目標を達成するには、私たち一人ひとりが「環境や社会に負荷をかけない」行動を考え、実践していくことが重要だ。

ドイツでのサステナブル生活は、日々の目線を少し変えてみれば、実はそれほど難しくない。例えば日本語に「もったいない」という言葉があるように、ドイツでは「物を大切にする」文化が根付いている。ドイツには、この考え方を基盤にしたシステムや工夫が昔からたくさんあり、最近では科学技術とクリエイティブなアイデアを組み合わせた製品やサービスも増えている。また、再生可能エネルギーを使った電力会社と契約することや、農薬や化学物質を使わないビオ製品を買うことは、消費者としての私たちの意思表示にもなるのだ。

私たちが「本当に必要なこと」を常に考えて選択すれば、企業は「本当に必要なものとして選ばれること」を目指して生産を行うようになる。このように消費が変われば経済が変わり、経済が変われば政治も変えていくことができる。サステナブルな生活は、決して環境や社会のために自分が無理をすることではない。むしろ本当に気持ちよく生きられる方法を実践することで、心身ともに豊かになっていくことなのだ。そうした先にはどんな未来があるだろうか? 想像してみてワクワクしたなら、今こそサステナブル生活へスイッチするとき。

サステナブル生活のすすめ
REから始まる5つのアクション

サステナブルな社会を実現するために、一人ひとりはどんなことができるだろう? そんな疑問にお答えして、RETHINK / REFUS / REDUCE / REUSE / RECYCLEという5つのステップで、地球にも人にも優しいアクションやグッズを紹介する。ちょっとしたアイデアや工夫を生活に取り入れることで、環境に負荷をかけず、自分も無理せず、生活をもっと楽しく豊かに。より良い未来のために、今日から始めてみよう。

1消費のあり方について考え直す RETHINK サステナブル生活への第1ステップ

シェアリングエコノミーを利用してみる

シェアリングエコノミーとは、物・サービス・場所などを、人と共有・交換して利用する社会的な仕組み。作りすぎてしまった晩ご飯のおかずをはじめ、着なくなった洋服、使っていない空き家など、所有している人が、それを必要とする人に必要なタイミングでシェアするという考え方で、最近はインターネットを活用した個人間の貸し借りを仲介するシェアリングサービスも登場している。今回は「食べ物」と「物」のシェアに関する取り組みをご紹介。

ベルリン発!
フードシェアリングのスタートアップ「SirPlus」

SirPlus

2017年9月にベルリンでオープンしたのが、廃棄食品だけを売るお店「SirPlus」だ。賞味期限ギリギリのものだけでなく、製造ラインから外された食品、輸送時に傷がついた缶詰、規格外の野菜など、まだまだ食べられる食品が格安の値段で店頭に並ぶ。創業者の1人、ラファエル・フェルマーさんは、フードシェアリングの活動家としても有名。

Rettermarkt Berlin-Steglitz
月曜~土曜 9:00~20:30
Schloßstr. 94, 12163 Berlin
https://sirplus.de

Pumpipumpe のステッカーであらゆる物をシェア

Pumpipumpe

頻繁に使わないけれど、これがあったら便利なのに……。そんな時は、スイスとドイツで利用されている「Pumpipumpe」というシステムがおすすめ。ウェブサイトからステッカーセットを注文し、自分の家にある貸出可能なグッズが描かれたステッカーを郵便ポストに貼っておく。ステッカーの種類は、自転車の空気入れやミシン、ディスコのミラーボールなど多岐にわたり、ご近所同士の気軽な貸し借りを手助け。無駄を減らすことは、「人との交流」という新たな楽しみへと繋がっている。
https://www.pumpipumpe.ch/sticker/

「Grüne Knopf」マークの洋服を買ってみる

Grüne Knopf

「Grüne Knopf(緑のボタン)」は今年9月に使用開始されたドイツ政府公認の洋服タグで、2013年にバングラデシュの縫製工場で発生した崩落事故をきっかけに考案された。先進国で衣料品が驚くほど安価で購入できる裏には、その生産を行う途上国での劣悪な労働環境や、効率を上げるために必要以上に使用される化学物質の存在がある。「Grüne Knopf」のタグは、製造者が労働者の人権を守り、社会や環境に対して責任を負っていることの証明だ。これからの洋服選びの基準に、このマークをチェックしてみては。


2不要なものは買わない、もらわない REFUSE No ! の一言で資源をセーブ

Kauf-nix-Tag(無買日)に参加して、物を買わない日をつくってみる

Kauf-nix-Tag(無買日 むばいび)とは、カナダのアーティストらによって1992年に始められた活動で、1年に1度、不要なものを買わずに消費について考え、代わりに友人や家族と時間を分かち合おうという非公式の記念日。アメリカやカナダでは11月の感謝祭の翌日の金曜日、日本や欧州などでは11月の最終土曜日が開催日として設定されている。この日は、実はアメリカ発祥の「ブラックフライデー」と同日。感謝祭のプレゼントの売れ残り一掃セールとして大規模な安売りが行われる「ブラックフライデー」に抗議しようと、Kauf-nix-Tagの参加者たちはデモを行う。

国内での移動には、飛行機ではなく鉄道を使う

「Flugscham(飛び恥)」とは、飛行機よりも環境負荷の少ない鉄道での移動を呼びかけ、温室効果ガスの排出量を減らそうという運動のこと。環境保護のための学生ストライキ「Fridays For Future」がドイツでも広まったことにより、注目されている。この運動を始めたスウェーデンの環境保護活動家の少女グレタ・トゥンベリさんは、今年1月にスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム*に参加。出席者の多くが総計約1500機にも及ぶプライベートジェットで来場したのに対し、彼女は鉄道で32時間かけて到着したことが話題となった。

*ダボス会議とも。世界を代表する政治家や実業家が一堂に会し、世界情勢についての議論を行う

3環境負荷を最小限に REDUCE 代替品で無駄を減らす

使い捨てラップの代わりに蜜ろうラップを使ってみる

残り物を冷蔵庫にしまう時など、ついつい使ってしまう使い捨てラップ。その代替製品として注目されているのが、洗って何度も使用できる蜜ろうラップだ。蜜ろうラップとは、コットンに蜜ろうワックスや植物性オイル、天然樹脂を染み込ませたもので、抗菌効果があり、包んだものを紫外線からガードするというメリットも。使用目安は2年ほどだが、もう一度蜜ろうワックスを塗ったり、古くなったら雑巾にするなど、最後まで使い切れるのもうれしい。ただし、高温になると蜜ろうが溶けてしまうため、電子レンジでの使用は避けて。

Gaia

Gaia

ハンブルクで生まれた蜜ろうラップのメーカー。材料にフェアトレードのオーガニックコットン、ビオの蜜ろう、ホホバオイル、天然樹脂を使用。蜜ろうラップの販売のほか、ラップ作りやサステナビリティについて学ぶワークショップなども開催している。
www.gaiastore.de

歯ブラシや綿棒をプラスチック製から竹製に変えてみる

プラスチックに代わる優れた素材として注目されている「竹」。竹が優れている理由は3つある。1つ目はその成長スピードで、速いもので1日1.6メートルも伸びるため、大量に伐採できる。2つ目は切ってもまた生えてくるため、再生可能な資源であること。そして3つ目は、プラスチックと違って竹は100%生分解されるという点だ。森林伐採が問題となっている今日、竹は紙の原料としても利用され、森を守るという側面でも将来有望。まずは歯ブラシや綿棒など、毎日使うものを竹製に変えてみるのはいかがだろうか。

Pandoo

Pandoo

マレーシアの熱帯雨林を守りたいという思いから生まれた、コンスタンツを本拠地とする竹製品メーカー。歯ブラシや綿棒のほか、竹の繊維でつくられたキッチンペーパーやティッシュペーパーなどのオリジナル商品を販売する。
https://gopandoo.de

4そのままの形で再利用する REUSE 捨てる前にもう一度生かそう

アップサイクリングのグッズを贈り物に選んでみる

リサイクリングする前の段階として、使わなくなったものから新しいものを生み出すことを「アップサイクリング」という。近年、日本でも注目されているが、ドイツでは多種多様で魅力的なアップサイクリング商品が各地で販売されている。例えば、セメント袋から作られたポーチ、キッカーの人形でできた栓抜き……はっと驚くようなものや、くすっと笑えるものなど、思わず誰かにプレゼントしたくなるものが見つかるはず。贈り物選びに悩んだら、近くのアップサイクリングの専門店やネット通販を利用してみよう。

PLUP - Planet Upcycling

PLUP

デュッセルドルフのエコな通りAckerstr.にある工房付きのアップサイクリング専門店。オリジナルグッズのほか、厳選された商品が並ぶ。写真は、サッカー好きの友人にぴったりなキッカーの栓抜き。

火曜・水曜14:00~19:00 / 木曜・金曜11:00~19:00 / 土曜11:00~16:00
Ackerstr. 168b, 40233 Düsseldorf
https://www.planet-upcycling.de

5分別すれば再び資源に RECYCLE 循環利用で地球への負担を減らす

資源として使えるものは、きちんとリサイクルルートに乗せよう

RETHINKからREUSEまでの4段階を経て、最後に私たちができること。紙は紙、プラスチックはプラスチック、瓶は瓶の回収ボックスへ分別しよう。ゴミになるか、再び資源となって製品に生まれ変わるかは、私たち次第だ。

最終更新 Montag, 07 Oktober 2019 17:00
 

ドイツでサステナブル生活にスイッチ!アーティスト、ミキ・ユイさんインタビュー

一人ひとりの行動で持続可能な社会へ ドイツで
サステナブル生活 にスイッチ!

最近、メディアでもたびたび耳にする「サステナブル」という言葉。「サステナブル(=持続可能)な社会」とは、地球の環境を守り、資源をセーブし、人間や動物が地球上でこれからも平和で豊かな生活を続けていける社会のことだ。その実現に向けて、今日世界中でさまざまな取り組みが行われる一方、人間の活動は地球温暖化や生態系の変化をもたらし、現在進行形で地球に負荷をかけ続けている。安全な地球上でこれからも生きていくために、私たち一人ひとりに何ができるだろう?「 サステナブル」という言葉をヒントに、地球と私たちの新しい関係性を探る。(Text:編集部)

参考資料:「Sustainable Development Report 2019」(Sustainable De v elopment Solutions Net work) 「Climate Action in Figures( 2019)(」Umweltbundesamt) 「Deut sche Na chhaltigk eit sstra tegie Neuauflage 2016」(Die Bundesregierung) 『小さな地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な 開発』(丸善出版) 『『みんなのごみ』副読本~ごみを減らすための80のアクション』 (NPO法人 環境安全センター)

サステナブルなあの人
アーティスト、ミキ・ユイさんインタビュー

デュッセルドルフ在住のアーティスト、ミキ・ユイさん。最近取り組んだ「FLUX project」のテーマは、まさに「サステナビリティ」だ。普段の暮らしでも自分らしいサステナブルなアクションを実践している彼女に、持続可能な生活を送るヒントを聞いた。

ミキ・ユイ


1971年東京生まれ。1994年渡独、デュッセルドルフ在住の芸術家。日本とドイツで現代美術を学び、1998年より「スモールサウンズ」をテーマに音楽と美術の分野で活動。ヨーロッパ、アジアで数々のコンサートや展覧会を行い、ラジオ、舞台作品などで作曲。ソロアルバムもリリースしている。
mikiyui.com

持続可能にするコツは
自分がワクワクすること

ボゴタで行われたパーマカルチャーのワークショップの様子

サステナブルな生活は続けるからこそ意味がある

プラスチックフリー、ごみが出ないように……サステナブルな生活は何かと制約が多い、という印象があるかもしれない。しかし、ミキ・ユイさんのライフスタイルは、サステナビリティを基調としながらもどこか豊かさが感じられる。「基本的にサステナビリティって、続けられないと意味がないですよね。地球に優しい生活がしたい! と思って始めたことでも、実際にやってみると続かないことなんていっぱいあって……」

そんなミキ・ユイさんがサステナブルな暮らしを意識するようになったきっかけは、化粧品。乾燥肌に悩み、友人に泥洗顔をすすめられた。「モロッコのガスールという泥を使い始めて、そのうち化粧落としも不要になり、洗顔に必要なものは泥だけに。そこで気づいたのですが、化粧品や台所用品ってプラスチックボトル入りがほとんどなんです。私は魚が好きなので、やっぱり海で漂流する大量のプラスチックのことを考えるとげんなりしてしまって。だから、プラスチックボトルは避けたいという気持ちがありますね」

ほかにも固形シャンプーや固形歯磨き粉など、プラスチックフリーの製品を使用し、化粧水も手作りしてガラスのボトルに詰めている。ものを購入する頻度が減ったことで、かえって節約され、代わりにビオの野菜にお金を充てるという。「近所の市場で近郊の農家の野菜を購入すると、生産者と近く、何に対してお金を払っているのかが見える。信頼が生まれると同時に、何か特別なことをしているというワクワクが生活の中にある感じです」

Sauberkunstベルリン発のSauberkunstの固形シャンプーを愛用

自然に触れるとニュースがリアルになる

今夏も熱波の影響でドイツ各地で森林火災が発生。そういったニュースと自分の間に距離を感じることはないか、とミキ・ユイさんは続ける。「まずはちょっと自然に触れてみることが重要だと思っています。ドイツにはS バーンで行ける距離に森がたくさんある。森で過ごしてストレスや悩みがすーっと解けていく体験があれば、実際に森が燃えていると聞いた時、そのニュースをよりリアルに感じられると思います」

定期的に森に出かけるというミキ・ユイさんのおすすめは、街中の自然の定点観測。「普段通る道にお気に入りの木やスポットを定めて、日々の変化を眺める。すると、いつの間にか自然とのコミュニケーションが始まる。暑い時大変だったかな、でも緑が戻ってきたかな、なんて。まるで友だちのような感覚ですね」

アートプロジェクトで広がるサステナブルな輪

ミキ・ユイさんでも実感が沸きづらかった場所の1つが、アマゾンの熱帯雨林。気候変動や森林伐採が地球全体にどんな影響を及ぼすのかは、多くの人にとって想像しづらいことだろう。「福島原発事故の時と同じく、現地にいないので、いくらニュースを読んでも不安になるだけで実感できない。そんなとき、アマゾンに行った友人から、アマゾン熱帯雨林でアーティストが科学者とともに学び体験するプログラムがあると聞いて、応募してみたら受かったんです」

そうして昨年8月にブラジルに渡ったミキ・ユイさん。同じプログラムに参加していたブラジル人のナタリア・ファバロさんと意気投合した。「彼女はアマゾン川流域の人々に、私はドイツから参加していた気候学者にインタビューをして、ショートフィルムをつくることに。欧州や南米の都市で上映会を開き、サステナビリティについてディスカッションする場をつくることが目的でした」

「FLUX」と呼ばれるこのプロジェクトは、すでにコロンビアのボゴタやデュッセルドルフで実施。毎回その土地の専門家を招き、作品上映とともにレクチャーやワークショップを開催する。「例えばパーマカルチャー*をカードゲームで学んだり、ワイルドハーブの専門家にどんな野草が食べられるか教えてもらうことも。個人的にも、サステナビリティについて考えているさまざまな分野の人と知り合えてうれしいです」

それぞれできること、できないことがあるけれど、皆で集まればアイデアを出し合える、とミキ・ユイさんは言う。ワクワクして楽しく続けられること。まずはここを入り口にして、自分らしいサステナブルな生活を探ってみるといいのかもしれない。

*永続性(パーマネント)、農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた言葉で、人と自然が持続可能な関係を築いていくためのデザイン手法のこと

FLUX 映画上映と野生蜂についてのレクチャー
(入場無料、ドイツ語)

FLUX projectFLUX projectのショートフィルムより

ゲスト:Anja Eder(Wildbienenretterin)
日時:2019年11月22日(金)19:30
場所:Berger Kirche Wall Strasse 17, 40213 Düsseldorf
www.flux-project.net

最終更新 Montag, 07 Oktober 2019 15:33
 

2019年版 ドイツの秋祭りガイド - オクトーバーフェストなどテーマ別フェス

伝統的なお祭りからユニークなフェスまで ドイツの秋祭りガイド

食欲の秋、スポーツの秋、行楽の秋、芸術の秋……などの言葉があるように、秋はさまざまな風物詩が楽しめる豊かな季節。加えてドイツではビアフェストが始まり、「ビールの秋」が盛大に祝われる。今回の特集では、秋のドイツで開催される魅了いっぱいのお祭りをテーマ別にご紹介。長い冬が到来する前のこの時期に、ぜひ出かけてみては?(Text:編集部)

ドイツの秋はビールの季節! 三大ビアフェスト

秋といえば、ドイツにビールの季節がやってくる。ビールファンなら誰もが知っているミュンヘンのオクトーバーフェストをはじめ、ほかにも地方色が濃い個性豊かな各地のビール祭りをご紹介!

これぞ、ビール祭りの王様! Oktoberfest オクトーバーフェスト

Oktoberfest
Oktoberfest
Oktoberfest

ドイツビール好きが毎年待ち望んでいるのが、世界最大級のビール祭り「オクトーバーフェスト」。その起源は1810年10月12日、バイエルン皇太子ルートヴィヒとテレーゼ妃の結婚祝いにさかのぼる。当時は競馬や古代オリンピックのような競技会が催され、結婚祝いは大いに盛り上がった。その後、市民たちから毎年開催してほしいとの声が上がり、次第に世界最大のビールの祭典へと成長していった。オクトーバーフェストは、ミュンヘンっ子たちの間で親しみを込めて「Wiesnヴィーズン(野原)」と呼ばれている。およそ42ヘクタール(東京ドーム約9個分)の広大な会場は、テレーザ王妃にちなんで「Theresienwiese(テレージエンヴィーゼ)」と名付けられ、ミュンヘン市内の6つの醸造会社が運営する14の巨大ビールテントをはじめ、小さな屋台やアトラクションが並ぶ。華やかな民族衣装を身にまとった人々も、このお祭りのシンボル的存在だ。

2019年9月21日(土)~10月6日(日)
ミュンヘン(バイエルン州)
https://www.oktoberfest.de

オクトーバーフェストを紐解くキーワード

Reinheitsgebot ビール純粋令
1516年にバイエルン公ヴィルヘルム4世が制定した法令。「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」という内容で、ビールの品質を保証するために発布された。ドイツの醸造家は、現在でも純粋令に則った質の高いビールを造り続けている。

「O'zapft is!」樽が開いたぞ!
オクトーバーフェストの初日、開会式ではミュンヘン市長が「O'zapft is!(樽が開いたぞ!)」の掛け声とともに最初のビール樽を開栓。お祭りの始まりが高らかに宣言される。開会式の前に行われる、盛大なパレードも見どころの1つ。

オクトーバーフェストと並ぶ「ビールの祭典」 Cannstatter Volksfest カンシュタッター・フォルクスフェスト

Cannstatter Volksfest
Cannstatter Volksfest

ミュンヘンのオクトーバーフェストのおよそ1週間後から始まるのが、カンシュタッター・フォルクスフェスト。地元の人たちから「Wasenヴァーゼン(芝)」という愛称で呼ばれる会場に、毎年およそ400万人が集う。このお祭りは、1818年、のちに「農民の王」と呼ばれるヴュルテンベルク国王ヴィルヘルム1世によって、長い飢饉を乗り越えた感謝祭として開催されたのが始まり。翌年からも収穫祭として毎年開かれ、市民のためのビール祭りとして発展していった。

2019年9月27日(金)~10月13日(日)
シュトゥットガルト(バーデン=ヴュルテンベルク州)
https://www.cannstatter-volksfest.de/

ビアフェスト最古の歴史を誇る Freimarkt Bremen ブレーメン自由市場

Freimarkt Bremen
Freimarkt Bremen

北ドイツの「オクトーバーフェスト」と呼ばれることもあるが、その起源は1035年で、ビール祭りとしては最古。「フライマルクト(自由市場)」という名前は、当時の神聖ローマ皇帝コンラート2世がブレーメンに市場権を与え、この期間だけ市内・市外の人が関税なしの自由な商売を行っていたことに由来する。そのため郊外の商人や一般客が集まるようになり、商業の場から市民のお祭りへと姿を変えていった。この地方の名物「燻製うなぎ」は、ぜひお試しを!

2019年10月18日(金)~11月3日(日)
ブレーメン(ブレーメン州)
https://www.freimarkt.de

秋の夜長にタイムトラベル? 歴史を体感するお祭り

活気ある市場に商人や農民たちが集まり、騎士たちが通りを練り歩く……そんな歴史的なシーンを垣間見れる、タイムトラベルのような体験ができるお祭りはいかがだろうか。

街がまるごと中世時代に大変身 Freudenberger Mittelalter- und Herbstmarktフロイデンベルク中世秋祭り

フロイデンベルク中世秋祭り
フロイデンベルク中世秋祭り

白い壁に黒い木組みで造られた三角屋根の家屋が立ち並ぶ、フロイデンベルク。毎年開催される中世祭りでは、街の通りに中世商人の店が軒を連ね、騎士や農民の仮装をした人々や、大道芸人のパフォーマンスも楽しめる。フラスコ型の瓶に入った蜂蜜ワインや果実酒はお土産にもおすすめ。夜にはランタンで幻想的に街がライトアップされ、昼とは一味違う雰囲気が味わえる。

2019年10月19日(土)~20日(日)
フロイデンベルク(ノルトライン=ヴェストファーレン州) https://www.freudenberg-wirkt.de

300年続く伝統的パレード Die Tölzer Leonhardifahrtレオンハルト騎士行列

レオンハルト騎士行列
レオンハルト騎士行列

動物の守護聖人である聖人レオンハルトの聖名祝日である11月6日に、1718年から毎年開催され、バイエルンの無形文化遺産(P12)に登録されている。メインの聖レオンハルト礼拝堂への騎馬行列では、聖レオンハルトの聖像を描いた馬車が花で装飾され、伝統衣装を着た人々が華やかに行進。ブラスバンドの演奏や、男性たちの鞭を使った迫力あるパフォーマンスもお見逃しなく!

2019年11月6日(水)
バート・テルツ(バイエルン州)
http://www.toelzer-leonhardifahrt.bayern

芸術の秋を堪能! アートフェスティバル

芸術をゆったりと味わえるイベントが盛りだくさんのこの季節。期間中にさまざまなアートやパフォーマンスを街中で楽しめるのは、アートフェスティバルならではだ。

光のアートに包まれる魅惑の夜 Festival of Lights ベルリン光の祭典

ベルリン光の祭典
ベルリン光の祭典

今年で開催15年目を迎える、ベルリンの秋の風物詩。ランドマークであるブランデンブルク門やテレビ塔をはじめ、50棟以上の新旧の建築物やモニュメントが色鮮やかなプロジェクションマッピングに彩られ、いつもと違った顔を楽しませてくれる。本年のテーマは、ベルリンの壁崩壊30周年にちなみ「自由の光」。ベルリンらしいメッセージ性の強い祭典になりそうだ。

2019年10月11日(金)~20日(日)
ベルリン(ベルリン州)
https://festival-of-lights.de

あらゆる芸術が集結する22日間 Düsseldorf festival!デュッセルドルフ・フェスティバル!

デュッセルドルフ・フェスティバル!
デュッセルドルフ・フェスティバル!

芸術の街・デュッセルドルフで毎年開催される芸術祭。国内外からアーティストが集まり、音楽イベント、演劇、ダンスなどが、街のいたるところで繰り広げられる。今年は、ダンスと現代アートが色濃く表現されたモダンサーカスが見どころ。期間中は旧市街に特設ステージが入った巨大テントが登場し、入り口にはレトロなバーも。ほろ酔い気分で芸術の秋を楽しもう。

開催中~2019年9月30日(月)
デュッセルドルフ(ノルトライン=ヴェストファーレン州)
https://www.duesseldorf-festival.de

食いしん坊はご注目! 実りの秋を楽しむお祭り

どこからともなくやってくる食欲を満たしたい……そんな人におすすめなのは収穫祭。色鮮やかな収穫物を目と舌で存分に味わおう。今回は野菜の種類を限定したユニークなお祭りをピックアップ。

華やかな玉ねぎ飾りはインスタ映え必至 Zwiebelmarkt Weimarワイマール玉ねぎ市

ワイマール玉ねぎ市
ワイマール玉ねぎ市

ワイマールの人口がまだ5000人にも満たなかった1653年に始まった、テューリンゲン州最古のお祭り。ワイマールの住人や周辺地域の人々が玉ねぎや野菜を冬の備えとして買い置きすることを目的に始まり、現在は約30万人が集まる大規模なイベントへと発展した。お祭りのシンボルである2色の玉ねぎや花を編み込んだ飾り(Zwiebelrispen)を売る屋台がとても華やか。食用の玉ねぎも農家から直接購入することができ、この地方の名物である玉ねぎケーキ(Zwiebelkuchen)が販売されるなど、左も右も玉ねぎ尽くし!

2019年10月11日(金)~13日(日)
ワイマール(テューリンゲン州)
https://www.weimar.de/kultur/veranstaltungen/maerkte-und-feste/zwiebelmarkt/

ユニークすぎるかぼちゃのオブジェは必見! Kürbisausstellung Ludwigsburgルートヴィヒスブルクかぼちゃ展示会

ルートヴィヒスブルクかぼちゃ展示会
ルートヴィヒスブルクかぼちゃ展示会

2000年に始まった、世界最大級のかぼちゃのお祭り。2019年のテーマは「Wald(森)」。およそ6万個のかぼちゃを用いて、会場であるルートヴィヒスブルク宮殿の庭園に森や動物たちが表現される。食事メニューももちろん、かぼちゃスープ、かぼちゃとリンゴのシュトゥルーデル、かぼちゃのお酒など、かぼちゃ好きにはたまらないラインナップ。期間中のイベントも豊富で、かぼちゃの大きさを競う「かぼちゃ選手権大会」やかぼちゃ彫刻の実演、キッズ向けのプログラムなどがある。

開催中~2019年11月3日(日)
ルートヴィヒスブルク(バーデン=ヴュルテンベルク州)
http://www.kuerbisausstellung-ludwigsburg.de

ちょっと斜めから見るお祭り文化 地域のお祭りをどう守っていくか?

消えつつある地域文化

ドイツでは秋になると、みんな当たり前のように「ビールの季節が来た」と思い、「そろそろビアフェストが開催される時期だ」と、お祭りによって季節の変わり目を知らされる人もいるかもしれない。その土地と深く結びついているお祭りのことを、誰も「今年も開催されるかな?」と心配しないだろうし、人々はお祭りの存在を「当たり前にあるもの」として日々の生活を送る。その一方で、実は今、世界では地域文化の消滅が加速している。担い手不足や資金難、グローバル化など、地域によってさまざまな問題を抱えているが、その土地固有の文化が消えてしまうことは、この世界の多様性を失うことでもある。

形なき文化を守るユネスコの無形文化遺産

そのような危機感から、地域に根付く文化を保護するために2003年から始められたのが、ユネスコの「無形文化遺産」だ。ドイツの「ケルン大聖堂」や広島の「原爆ドーム」など、後世に伝えるべき自然・文化を登録する「世界遺産」は一般に知られているが、それに対して「無形文化遺産」の保護対象は、お祭りや伝統工芸の技術、言語や伝承など、文字通り「形のない文化」。日本では2013年に「和食」が登録されたことが話題になったが、ドイツではこれまで「協同組合の思想と実践」や「オルガン製作とその音楽」などが無形文化遺産に認定されてきた。

また、ドイツのユネスコ協会が作成する国内のリストには、「ライン川地方のカーニバル」や、本特集でも紹介した「レオンハルト騎士行列」など数多くの地域に根付いたお祭りをはじめ、「ドイツのパン文化」や「陶器の絵付け技術」、比較的歴史の新しいものでは「モダンダンス」などが取り上げられている。さらには、「ビール純粋令」の無形文化遺産への登録を目指そうという活動もある。

「無形文化遺産」の特徴は、それらが現在も生き続けている文化であるということだ。そして「生きている文化」とは、文化を支えるために人々が「コミュニティー」をつくり、その文化を共有し、伝統として引き継いでいくこと。世界遺産のように「卓越した価値のある物(不動産)」ではなく、無形文化遺産では「人の営み」そのものに価値を見出すのだ。このような考え方は、私たちが当たり前に存在すると思っている自分や他者の文化が、実は人々の長い努力や時間によって積み上げられてきた大切な遺産であることに、今一度気づかせてくれるだろう。

グローバルな社会でローカルな体験を

グローバル化が進み、私たちは世界各地のお祭りへ簡単にアクセスできるようになった。資本主義経済が発展し、世界が均一化されていくこの時代にこそ、訪れた土地でローカルな人々が織りなす文化を体験することは、自分や社会をこれまでとは違った視点で眺めるきっかけになるかもしれない。お祭りが開催される場所、お祭りを担う人々、そして文化のあり様に思いを馳せながら、ドイツで開催される秋のお祭りを楽しんでみて。

最終更新 Freitag, 20 September 2019 15:12
 

演出家 筒井潤さん 『釈迦ヶ池 -SHAKAGAIKE – Der Buddha-Teich』

演劇「釈迦ヶ池」 SHAKAGAIKE – Der Buddha-Teich 演出家・筒井潤さんインタビュー

9月25日からデュッセルドルフの劇場FFT(Forum Freies Theater)にて、大阪を拠点とする公演芸術集団dracom(ドラカン)の作品「釈迦ヶ池(Shakagaike) – Der Buddha-Teich」が初演される。1880年の大阪で実際に起きた日独間の外交問題をモチーフにした本作では、登場人物であるドイツ人と日本人の俳優がそれぞれの母語を話し、異なる言語同士によるコミュニケーションを試みる。言語・文化における「分かりあえなさ」、あるいは人間同士の対話の難しさは、異文化の中に暮らしたことがある人のみならず、誰しも経験があるかもしれない。演出家でありdracomのリーダーである筒井潤さんに、本作についてお話を伺った。(Text:編集部)

演劇「釈迦ヶ池」

筒井潤 Jun Tsutsui

筒井潤
Jun Tsutsui
演出家、劇作家。大阪を拠点とする公演芸術集団dracom(ドラカン)のリーダー。最近ではdracomとしてNippon Performance Night 2017(デュッセルドルフ)等に参加するほか、個人での演劇、ダンス、アートツーリズム作品等の演出多数。様式やジャンルを問わない活動を行っている。 www.dracom-pag.org

筒井潤さんとFFTによる本公演のプロジェクトは、すでに2年以上前から始まっている。2016年、筒井さんが大阪で上演した作品にFFTのキュレーターが来場していたことが最初の出会い。翌年には、筒井さん主宰の公演芸術集団 dracomが、毎年FFTで開催されているNippon Performance Night 2017に参加した。2018年、筒井さんは作品のリサーチのためにおよそ1カ月間デュッセルドルフに滞在し、そして今回の公演を迎える。

謝る日本人、謝らないドイツ人

2017年にFFTで公演をした時点から、「謝罪」という行為について何となく考えていました。日本人は、ちょっとしたことですぐに謝る、なんなら何もしてないのに謝る、なんてよく言われますよね。それに対して、ドイツ人はなかなか謝らない、という印象がありました。ふとそう思ってネットなどで調べてみたら、同じような意見も多くて。「すぐ謝る日本人と、なかなか謝らないドイツ人」、この違いはどこから生まれてくるんだろう、と。そのことが気になって、「謝罪」をテーマに作品をつくろうと思ったんです。

Nippon Performance Night 2017Nippon Performance Night 2017 ポストパフォーマンストークの様子、FFTにて

作品のタイトル「釈迦ヶ池」とは、大阪府吹田市に実在する池の名前。この池では、1880年に「釈迦ヶ池遊猟事件」が起きた。当時、ドイツから来日していたプロイセン王国の17歳の皇族ハインリヒが、「禁猟制札の場所」である釈迦ヶ池にてお忍びで鴨猟をし、それを発見した村人が彼を皇族と知らずに殴打。最終的には、ドイツと日本の間の国際問題にまで発展してしまった。この事件は、当時の日本とプロイセンとの国力の差を政府が考慮したこともあって、日本側からの一方的な謝罪という形で収められた。

この「謝罪」というテーマを足掛かりに、翌年ドイツでリサーチ滞在をしたのですが、思い返せばその期間、ドイツ語の勉強ばかりしていました(笑)。平日は語学学校に毎日通って、基礎のクラスを受講していたのですが、そんな生活を送るなかで「謝らないドイツ人」を実際に体感する場面もあって。その時すでに、釈迦ヶ池の事件についての情報を得ていたので、それについてFFTのスタッフに話してみたら、これは面白いテーマだ、となりました。

インターネット時代の
「他者とのコミュニケーション」

ハインリヒと村人、事件当時の2人のコミュニケーションは、ドイツ語と日本語という異なる言語によって分断されてしまっていた。しかし、彼らの間に起きていたコミュニケーションの齟齬は、単に「言語」だけが理由ではない、と筒井さんは考えている。

コミュニケーション能力においては、「自分がどういう空間で声を発しているか」をどれだけ意識できるか、が重要だと思っています。言い換えるならば、「公共」というイメージをどこに設定しているのか、ということです。個人の言動や行動は、自分とその周囲の小さな世界だけにとどまっているものではなく、必ず公共性をはらんでいる。本人が意図しようとしまいと、社会に対して何かしらの影響力を持ってしまうものなのです。釈迦ヶ池の事件で言えば、ハインリヒも村人も、それぞれの行為がどれだけのことを意味するのか、事件そのものが後々どういう広がりを持つかをお互いに想像できていなかったのでしょう。

釈迦ヶ池釈迦ヶ池は、吹田市内では最大にして最古のため池。最近では、周辺に桜の植樹が行われるなど、市民の憩いの場でもある

釈迦ヶ池の事件が起きたのは1880年だが、現代を生きる私たちにとっても「コミュニケーションの齟齬」は大きな課題である。近年、インターネットや翻訳機能の発達により、世界中の言語や文化へのアクセスが容易になる一方で、人間同士のコミュニケーションはより複雑化しているようにも思われる。

現代では、インターネット、特にツイッターなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を通して、考え方の分断がどんどん広がっているように感じます。SNSは気軽なツールであるが故に、ちょっとした感情の揺れやブレを、冷静さを失った状態でもパッと言葉にして投げられてしまう。自分の声がどこまで広がって、どういう影響力を持つかを予測せぬまま発信してしまうために、ディスコミュニケーションが生まれます。「公共」をどこまで想像できているか、ということが個人レベルですごく問われる時代ですね。

「字幕」は何を伝えるか?

「釈迦ヶ池」の登場人物は、ドイツ人と日本人、それぞれ1人ずつ。ドイツ語と日本語、異なる母国語を持つ2人の俳優は、それぞれの言語を使ってコミュニケーションを図る。そのため舞台に映し出される「字幕」は、観客にとってだけでなく、俳優にとっても重要な役割を果たす。

一般的に字幕には、言語の分からない人に内容を理解してもらう、表現を伝えるという機能がありますよね。今回はそれと絡めて、「俳優にとって字幕とはなんなのか」という問いも、作品の中に織り込んでいます。字幕があれば相手のことを理解できた気になるけど、本当に分かっているのか、実際のところ定かではない。そういう「相互理解ができているかのような状態」について、「字幕」という存在を通して考えられればと思います。

「すべての翻訳は誤訳である」とも言われるように、翻訳によって100%正確なニュアンスまで伝えることはほぼ不可能に等しい。「釈迦ヶ池」の観客たちもまた、その人がどの言語や文化をバックグラウンドに持っているかによって、作品に対してさまざまな感想を持つことになるだろう。

ドイツ語と日本語、両方とも流暢に会話できる人にとっては、あまり混乱は起きないかもしれませんが(笑)。釈迦ヶ池の事件は、そもそもは言葉が通じなかったことから起きたので、どちらかの言語しか分からない人には、事件当事者の2人が感じたであろう、意思疎通できないことのもどかしさを体感してもらえるといいなと思っています。字幕はあるけれど、劇場での体験ができるだけ実際の事件時と近いものになるように、創作においていろいろ試行錯誤しています。

鎌田菜都実さん(左)とナジャ・デュスターベルクさん(右)俳優の鎌田菜都実さん(左)とナジャ・デュスターベルクさん(右)が、村人とハインリヒをそれぞれ演じる

「分からない」ことへの戸惑いを楽しむ

「釈迦ヶ池」はFFTでの初演後、12月に日本の京都芸術センター*1で上演が予定されている。デュッセルドルフと京都、それぞれの場所で作品に対する異なった反応が得られそうだ。

*1 京都芸術センターでの公演は、2019年12月6日(金)〜8日(日)www.kac.or.jp

字幕は基本的に、日本人のセリフにドイツ語、ドイツ人のセリフに日本語、というふうについているのですが、途中で「そうじゃない時間」をわざとつくる予定です。ネタバレになってしまうので、何が「そうじゃない」か、ということは秘密にしておきますが……。とにかく、どちらかの言語しか分からない人にとっては、とても戸惑う時間を劇中に設定しています。なので、デュッセルドルフ公演と京都公演とで、お客さんのリアクションは変わってくるだろうな、と。一方で、作品に対する理解度は、できるだけ変わらないようにしたい。ここで言う「理解度」とは、「分かりやすい」という意味ではなくて、「分かりにくさ」の程度も同じくらいにならないだろうか、ということです。

「分からない」という感覚を、常に大事にしている筒井さん。それは観客にとってだけでなく、自分自身の創作の上でも、とても重要なことだと語る。

作品をつくっていると時々、自分で何をやっているのかよく分からなくなる瞬間があります。それがこの仕事をやっていて面白いところですね。演出家という立場は、もちろん上演においての責任者ですが、一方で、自分の手に及ばないことも想定しながらつくる。そうすると、途中で「演出家」という自分の存在が危うくなることがあるんですよ。

例えば、ドキュメンタリー演劇の演出をするときや、演者のアドリブシーンがある作品などの制作中に、スタッフとの会話の中で「この後のシーンは具体的にどうなりますか」や「こうするとお客さんはどう反応すると思いますか」などと聞かれることがありますが、たまに本当に「分からない」としか言いようがないことがあったりして。そういう時は「分かりません」って答え切っちゃう(笑)。結果的にすべてをコントロールしようとしないことで、作品が思いもよらない形に育ってくれたりするんです。

私たちの世界では一見、「分かる」ということを中心にコミュニケーションが進められている。「分かる」とは、出来事の原因や理由をすでに自分が知っている価値観や常識と結びつけて理解することでもあり、その思考の枠の中にいることで、私たちの安全と平穏は保たれるかもしれない。

対照的に、芸術が行われる空間・時間では「分からない」ことが表現として私たちに向かってくる。筒井さんも話すように、表現をする人、受け取る人にかかわらず、たとえ作品のすべてを頭で理解したつもりでいても、自分自身の身体がそれを裏切ることがあるのだ。そしてこの感覚は、私たちを楽しませ、悩ませ、さまざまに思考するきっかけを与えてくれるだろう。

FFTでの公演は9月25日(水)から。戸惑いの時間を味わいに、ぜひ劇場に足を運んでみてほしい。

公演情報

Nippon Performance Nights vol.7 招聘作品
『釈迦ヶ池(Shakagaike)- Der Buddha-Teich』
筒井潤 / dracom / FFT

日時:9月25日(水)、27日(金)、28日(土)20:00開演
会場:FFT Juta, Kasernenstraße 6, 40213 Düsseldorf

https://fft-duesseldorf.de/stueck/shakagaike-der-buddha-teich-3/
最終更新 Freitag, 06 September 2019 20:56
 

今注目すべきドイツのメッセ - ビジネス関係者から、一般来場者まで

ビジネス関係者から、一般来場者まで 今注目すべき
ドイツのメッセ

ドイツは言わずと知れた見本市大国。世界中の人々とさまざまな製品が集まり、古くから商談に利用されてきた見本市は、現代ドイツにおいてもビジネスには欠かせない重要な場だ。今回はその背景や理由を紐解くとともに、近年、特に日本企業からも注目されている見本市を中心にピックアップした。さらにビジネス関係者には見本市への参加を成功させるヒントを、一般来場者にはプライベートでも楽しめる見本市をご紹介。ビジネスチャンスをつかみに、そして自分の世界を広げに、見本市へ足を運んでみよう。 (Text:編集部、参考:ジェトロ「ドイツ展示会動向調査報告書2019年3月」)

メッセの歴史と現在 - 始まりはなんと850年前!

歴史上最も古いメッセ(見本市)とされるのが、ライプツィヒの見本市だ。1165年にマイセン辺境伯オットーがライプツィヒに都市権と市場権を与えたことが始まりで、当時は各地を旅する商人たちが物と情報を交換する場だったという。さらに、神聖ローマ皇帝のマクシミリアン1世が1497年と1507年にライプツィヒの市場に特権を与えたことで、国際見本市へと発展していった。

見本市が現代のように屋内会場で開催される形式になったのは、産業革命後の19世紀半ば以降のこと。鉄道が発達したことで、見本となる商品を持ってライプツィヒにやってくる出展者が徐々に増え、露店での開催が限界に達した。そして、1893年にライプツィヒは大きな展示ホールの建設を開始し、1901年に世界初の見本市会場が完成。現代見本市の基礎をつくったライプツィヒのアイデアは他都市にも波及し、その後ロンドンやフランクフルトでも同様の展示ホールが建設された。今日においても、ライプツィヒ・メッセはドイツの重要なメッセ会場の1つとなっている。

ドイツ見本市産業連盟(AUMA)によると、世界最大の見本市会場の8つのうち4つがドイツにあり、主要な国際見本市の3分の2がドイツで開催される。ちなみに、世界一の総面積を誇るのはハノーファー国際見本市会場(Hannover Messegelände)だ。2014〜2017年の直接的な経済支出の平均は年間約145億ユーロで、さらに全体的な経済効果も合わせると280億ユーロ、23万1000名分の雇用を生んでいるという。

また、ドイツで行われる国際見本市と全国見本市を合わせると、毎年出展者数は約18万社・団体、来場者数は1000万人で、国際見本市の約60%の出展者、約30%の来場者が海外から参加している。国別では1位が中国、それ以降はイタリア、フランス、オランダとドイツの隣国が続く。アジアからの来場者が増加傾向にある一方で、来場者数の約8割弱は欧州域内から参加するため、欧州への企業進出や事業拡大を図る上でドイツの見本市は重要な役割を担っていると言える。

参考:Leipziger Messe「Geschichte als Antrieb: 850 Jahre Leipziger Messen」、citytourist「Leipzig: Messestadt von Anfang an」

ドイツの10大見本市会場

ドイツの10大見本市会場❶ Deutsche Messe 
ドイチェメッセ・ハノーファー
展示総面積世界第1位 46万3165平米

❷ Messe Frankfurt 
メッセ・フランクフルト
展示総面積世界第3位 36万6637平米

❸ Koelnmesse 
ケルン・メッセ
展示総面積世界第7位 28万4000平米

❹ Messe Düsseldorf 
メッセ・デュッセルドルフ
展示総面積世界第9位 24万8580平米

❺ Messe München International 
メッセ・ミュンヘン
展示総面積世界第15位 20万平米

❻ Messe Berlin 
メッセ・ベルリン
18万平米

❼ NürnbergMesse 
ニュルンベルク・メッセ
18万平米

❽ Messe Stuttgart 
メッセ・シュトゥットガルト
12万平米

❾ Leipziger Messe 
ライプツィヒ・メッセ
11万1900平米

❿ Messe Hamburg 
メッセ・ハンブルク
9万7000平米

ビジネスチャンスがたくさん!
ドイツの見本市への参加を、
より充実させるには?

国際的にも重要視されているドイツの見本市には、多くのビジネスチャンスが転がっている。しかし、出展者や来場者が見本市への参加にメリットを感じられるには、ちょっとした秘訣があるよう。ここでは、日系企業の海外進出を支援するジェトロ(日本貿易振興機構)・デュッセルドルフ事務所の木場さんに教わった、ドイツの見本市の特徴やトレンドに加え、見本市への参加をより一層充実させるためのヒントを紹介する。

お話を聞いた人


木場亮さん
(ジェトロ・デュッセルドルフ事務所)
ジェトロの見本市データベース www.jetro.go.jp/j-messe

ドイツの見本市は「商談の場」

日本で見本市というと「ショー」のイメージが大きく、国内の既存のお客さんを相手にしていることがほとんどです。それに対して、ドイツの見本市は基本的に「商談の場」。1年分の商売をここで決める、という場なのです。たしかにドイツ国内からの出展者がメインですが、欧州最大や世界最大とうたわれる見本市がいくつもあり、外国からの出展者が多いことも特徴です。日本からドイツの見本市に参加すると、ドイツだけではなく、アジアやアフリカなど全く異なる地域のお客さんと出会うことも少なくありません。その一方で、会場内にドイツ語の表記しかなかったりするなど、完全に国際化できていない見本市もあります。

独企業も感じる見本市のメリット

ドイツの見本市に参加することのメリットは、なんと言っても、その場で商談ができること。というのも、ドイツの企業には、とりあえず話だけ聞いてみようという考え方がなく、メリットが感じられたり、人脈を通じてという場合でない限り、なかなか会ってくれません。そのため、日本企業にとってドイツで営業するというのは本当に難しいことなのです。しかし見本市は、誰でもブースを訪れることができる、というのが前提になっているので、基本的には話を聞いてくれます。そういった意味で、いろいろな企業の方と話ができることは見本市の大きなメリットではないでしょうか。

ちなみにこういったメリットは、多くのドイツ企業も実感しているようです。2019年1月にドイツ見本市産業連盟(AUMA)が発表したところによると、見本市参加のメリットについて、99%の企業が「担当者との直接的なコンタクトが取れること」と回答。さらに、82%の企業が「デジタルなコミュニケーションと比較し、見本市を活用することで自社製品をより信頼できる形で紹介できる」と答えています。

見本市でもスタートアップが熱い!

最近の見本市のトレンドで言うと、スタートアップゾーンを設けることが増えてきています。昨今、国や各連邦州レベルでも優秀なスタートアップの輩出のため、出展を支援するという動きも目立ってきました。見本市に出展すると、規模にもよるのですが、約100万円単位でお金がかかるんですね。しかし、スタートアップゾーンは出展料がかなり抑えられている上、ブースにパソコンとポスターさえ持っていけば、すぐに展示ができたり、プレゼンテーションの機会が与えられることもあります。ただし、スタートアップゾーンが入り口から遠い場所や会場の端っこに割り当てられているため、人の流れが少ないというケースも。ですので、見本市によってスタートアップゾーンの盛り上がり方には大きく差があるようです。

業界ごとのトレンドを知りたいという場合は、その年の見本市のテーマをウェブサイトなどで確認してみるといいでしょう。さらに会場にはそのテーマで特集されたゾーンがあるため、そういった場所でキーワードになっている言葉がその年のトレンドとも言えます。たとえば「省エネ」であれば、省エネにまつわる技術が特集されているといった具合です。また、ほとんどの見本市でツアーが組まれていて、無料で参加することができます。ツアーはドイツ語や英語ですが、注目すべきパビリオンを効率よくまわってくれるので、手っ取り早く業界のトレンドを知ることができますよ。

基本こそ大切!
見本市出展を成功させるヒント

1最低でも3回は出展しよう

1回目は赤字となるケースが多く、効果を実感できないことがほとんどです。しかし、1回目でどういったお客さんが来てどんな製品が注目されるのかが分かるので、回数を重ねていくことで、次はここをアピールしてみようなど出展者側のブラッシュアップが図れます。さらに連続出展すると、ブースを確保しやすくなるというメリットも。ですから、最低でも3回は出展することをおすすめしています。

2事前準備に力を入れて成果をあげよう

大きな見本市には数百という企業が出展するため、単にブースを構えるだけでは期待するような成果は得られません。そこで大事になってくるのが、どれだけ事前に準備したかということ。特に中小企業の場合は人手が足りないこともあると思うのですが、少なくとも英語、できればドイツ語で資料を作ったり、当日に英語で製品説明ができる人を手配するなど、できる限りの準備を心掛けましょう。

3積極的に声をかけてチャンスをつかもう

特に日本の方の場合、異業種のブースは自社の製品とは関係ないと考え、話しかけるのを躊躇する傾向にあります。でも、出展者側は基本的にいろいろな人が話を聞きに来るというスタンスでいるので、ブースで待つだけでなく、むしろ積極的に訪ねて会話してみてください。一通り概要を説明されて終わってしまうこともありますが、そこにチャンスが転がっていることも十分に考えられます。

一般的なメッセ出展スケジュール

日程 すること
9~12カ月前 見本市選定と出展・スペース申し込み
6~9カ月前 スペース確定
6~12カ月前 スペース確定後すぐ、ホテルの予約
出展商品、輸送会社、装飾・施工会社決定
主催者指定の期日まで 出展・スペース料の支払い
スペース確定~1カ月半前 広報内容の確定と制作(招待状、会社概要や製品紹介
パンフレットなど)、輸送会社への搬入
2、3日前~前日 会場への貨物搬入、出展者会場入り
2日前~前日 出品物の設置・装飾
終了前日~終了日 出品物の処分(売却/日本への返送/寄贈/廃棄)
貨物の搬出
帰国直後~1カ月 商談した企業のフォロー

ビジネス関係者向け
日本企業も注目のメッセはこれ!

特に日本企業が力を入れている見本市を中心に、それぞれの業界のトレンドも交えながら、引き続きジェトロの木場さんに教えていただいた。※チケットは業界関係者しか入手できない場合もあるため、各ウェブサイトで詳細をご確認ください。

日本の医療技術が生きる
MEDICA / COMPAMED メディカ / コンパメッド

MEDICA / COMPAMED医療技術の見本市 MEDICA / COMPAMED
MEDICA / COMPAMED医療技術の見本市 MEDICA / COMPAMED
MEDICA / COMPAMED医療技術の見本市 MEDICA / COMPAMED

次回会期:2019年11月18日(月) ~ 21日(木)
会場:メッセ・デュッセルドルフ
来場者数:12万116人 出展社数:5286社 ※2018年実績
MEDICA:medica.messe-dus.co.jp 
COMPAMED:compamed.messe-dus.co.jp

1969年にスタートした毎年11月に開かれる医療技術の見本市。完成品を展示するメディカと、医療機器を製造する材料や技術を紹介するコンパメッドの2つを同時開催。欧州最大規模であるため、医療系市場参入において、新規顧客の獲得や関係構築のための重要なプラットフォームになっている。

日本企業も注目!

日本とドイツは世界で最も少子高齢化が進んでおり、状況が似ているという背景からも、日本の最先端の技術は関心を集めています。特にコンパメッドでは、極細の注射針の製造など微細加工技術を得意とする地方の中小企業が多く出展しており、日本の技術がより生きると言えるでしょう。(木場さん)

日本から酒蔵が大規模出展
ProWein プロヴァイン

ProWeinワインを中心としたアルコール飲料の見本市
ProWeinワインを中心としたアルコール飲料の見本市
ProWeinワインを中心としたアルコール飲料の見本市

次回会期:2020年3月15日(日) ~17日(火)
会場:メッセ・デュッセルドルフ
来場者数:6万1500人 出展社数:6900社 ※2019年実績
prowein.messe-dus.co.jp

プロヴァインは、毎年3月に開催されるワインを中心としたアルコール飲料の見本市。世界各国のワインが集まり、試飲スペースが充実している。またドイツ見本市業者は近年経済成長の著しいアジア圏の開拓に力を入れており、同メッセはシンガポールや上海でも開催されている。

日本企業も注目!

昨年より日本酒造組合中央会がジャパン・パビリオンを出しているのですが、今年は日本から36社の酒蔵が出展しました。近年は日本食ブームも相まって、日本酒の人気が高まっており、ブースは大盛況。まだまだ市場が限られていますが、今後が楽しみです。(木場さん)

2年に1度の食メッセ
Anuga アヌーガ

Anuga アヌーガ食品業界最大規模の見本市

次回会期:2019年10月5日 (土)~ 9日(水)
会場:ケルン・メッセ
来場者数:16万5008人 出展社数:7405社 ※2017年実績
www.anuga.de

隔年で開催する食品業界最大規模の見本市で、100カ国以上からの出展、190カ国から来場がある。ジャパン・パビリオンでは約60社が出展し、特に日本産農水産物および食品の販路拡大を支援。日EU経済連合協定(EPA)の発効により、ほとんどの品目で関税が撤廃されたため、今後輸出が伸びることが期待される。

生活を彩るアイテムが大集合
Ambiente アンビエンテ

Ambienteインテリアの総合見本市

次回会期:2020年2月7日(金)~ 11日(火)
会場:メッセ・フランクフルト
来場者数:13万6081人 出展社数:4460社 ※2019年実績
https://ambiente.messefrankfurt.com

毎年開催されるインテリアの総合見本市。国外からの出展・来場が多く、今年は92カ国が参加。3つのジャンルに分かれ、Diningではキッチンウェア、Livingでは家具や装飾品、Givingでは贈り物をテーマに展示。最近では環境に優しい製品をリストアップしたガイドを制作し、「エシカルスタイル」がトレンドの1つに。

世界一のオーガニック見本市
BIOFACH ビオファ

BIOFACH世界有数のビオ(オーガニック)食品の見本市

次回会期:2020年2月12日(水)~ 15日(土)
会場:エキシビションセンター・ニュルンベルク
来場者数:5万1488人 出展社数:2982社 ※2019年実績 
www.biofach.de

1990年から毎年開催される世界有数のビオ(オーガニック)食品の見本市。2019年のジャパン・パビリオンでは、日本から14社・団体が出展。「日本の発酵と職人技術」をコンセプトに味噌、たまり醤油などの発酵食品を中心とするビオ製品をアピールした。和食ブームがある一方で、市場参入が難しい分野の1つでも。

最先端のロボット技術が見られる
Automatica オートマティカ

Automatica 世界有数のビオ(オーガニック)食品の見本市

次回会期:2020年6月16日(火) ~ 19日(金)
会場:メッセ・ミュンヘン
来場者数:4万6000人 出展社数:890社 ※2018年実績
https://automatica-munich.com

2004年から隔年で開催されるオートメーションとロボット業界の見本市。ドイツ政府が提唱する、製造業の自動化を目指す計画「インダストリー4.0」を見据え、デジタル化、ロボット、人工知能(AI)がこの見本市の大きな柱に。メッセ・ミュンヘン日本代表部の報告によると、2018年には30社以上の日本企業が出展した。

一般来場者向け
世界が広がるおもしろメッセ5選

見本市は基本的にビジネス関係者のために開催されるものだが、一般開放日を設けている見本市も少なくない。最後に、子どもから大人まで楽しめる5つの見本市をご紹介。まずは気になった見本市へ出かけてみよう!

メッセに馬場?まるでふれあい動物園
Grüne Woche 国際グリーンウィーク

Grüne Woche国際グリーンウィーク
Grüne Woche国際グリーンウィーク
Grüne Woche国際グリーンウィーク

次回会期:2020年1月17日(金)~26日(日)
会場:メッセ・ベルリン
www.gruenewoche.de

ベルリンの黄金の20年代と称された、1926年に始まった食品、農業、園芸のための国際見本市で10日間かけて開催される。世界中の国々やドイツの連邦州が各ブースで特産品の紹介や販売をするほか、ビオ製品のブースや大きな庭園が設置される展示場も。なかでも目を引くのは、馬や牛をはじめとした動物のパビリオン。屋内に作られた馬場でショーが行われたり、実際に動物たちと触れ合うことができ、親子連れの姿も多い。

新作ゲームのためならドイツ人も並ぶ!
Gamescom ゲームズコム

Gamescomさまざまな種類のゲームが紹介される見本市
Gamescomさまざまな種類のゲームが紹介される見本市

次回会期:2019年8月20日(火)~24日(土)
会場:ケルン・メッセ
www.gamescom.de

ゲーム機からスマートフォンまで、さまざまな種類のゲームが紹介される見本市。2018年で10回目を迎え、オンラインゲームやバーチャルリアリティー(VR)、e スポーツなどが近年のトレンドになっている。新作ゲームには列ができ、コスプレ姿の来場者も見られ、毎年会場は大盛況。イベントやブースの最新情報がゲットできるアプリも配信しているので、出かける前にダウンロードしよう。

世界中から本の虫たちが集う
Frankfurter Buchmesse フランクフルト・ブックフェア

Frankfurter Buchmesse世界最大級の書籍およびデジタルコンテンツの見本市
Frankfurter Buchmesse世界最大級の書籍およびデジタルコンテンツの見本市

次回会期:2019年10月16日(水)~20日(日)
会場:メッセ・フランクフルト
www.buchmesse.de

毎年開催される世界最大級の書籍およびデジタルコンテンツの見本市。小説や児童書、アートブック、専門書まであらゆる分野を取扱っており、世界中から出版業界者や読書家が集まる。また新人作家の発掘の場でも。マンガやアニメ専門の展示場もあり、多くのコスプレイヤーが来場。グルメギャラリーも人気で、料理や旅行と関連付けたコンテンツの展示やクッキングショーなどが催される。

ボートにも乗れるド迫力の見本市
Boot Düsseldorf ボート・デュッセルドルフ

Boot Düsseldorf世界最大のボートショー
Boot Düsseldorf世界最大のボートショー

次回会期:2020年1月18日( 土)~26日(日)
会場:メッセ・デュッセルドルフ
www.boot.de

毎年開催される世界最大のボートショー。小型から大型のボートやヨットおよそ1500台が9ホールにわたって並んだ風景は圧巻で、実際に船に乗り込むこともできる。近年マリンスポーツの人気がさらに高まっており、今年は25万人の来場者を記録した。サーフィン用のプールが設置されたホールでサーファーのパフォーマンスが行われ、90メートルのコースではパドリングなどが体験できる。

外まで続く展示会場には本物の電車
InnoTrans イノトランス

InnoTrans公共交通機関・鉄道技術の見本市
InnoTrans公共交通機関・鉄道技術の見本市

次回会期:2020年9月26日(土)~27日(日)※一般開放日
会場:メッセ・ベルリン
www.innotrans.de

1996年からベルリンで隔年で開かれる公共交通機関・鉄道技術の見本市。基本的にはビジネス関係者が来場するメッセだが、週末の2日間は鉄道のエリアが一般開放される。本物の電車が屋外の会場にもダイナミックに展示され、実際に車両の中にも入れるなど、鉄道マニアや乗り物好きの子どもたちには夢のようなイベントとなっている。一日券は3ユーロで、子どもは無料で入場可能。

最終更新 Montag, 19 August 2019 15:15
 

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