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UNIQLO & MUJI 対談 - 欧州進出のノウハウ

欧州進出のノウハウ UNIQLO & MUJI 対談

UNIQLO、MUJI(無印良品)といえば、日本で知らない人はいないだろう。良質の商品を大衆的な価格で提供するという戦略で、日本全土に支店を展開。海外でもアメリカ本土を始め、アジア大陸へも進出している。そんな両雄の代表、UNIQLOフランスのマネージング・ディレクター、ポール・マイルズさんと、MUJIフランスの社長、大槻雅人さんによる、欧州進出の手応えと今後の展望についての対談が、モードの都パリで実現した。

(聞き手:フランスニュースダイジェスト編集部柳澤創)


MUJIの大槻雅人さん(左)とユニクロのポール・マイルズさん(右)

UNIQLOもMUJIもロンドンが欧州最初の店舗開拓ですが、ロンドン市場はどんな感じですか?

大槻:ロンドン子ってトレンドに敏感なんですよ。ちょっと店舗が古くなるともう来なくなる。だから、常に商品も回転させないといけません。あと、値段は関係なく、人が入っていない店には来店しませんね。

マイルズ:価格はそんなに響かないものですか?

大槻:ある程度は価格も関係します。そういった意味では、トップショップはメチャクチャ上手ですね。

マイルズ:オックスフォード通りのトップショップは、どの国の、どの業界の、どんな人でも行きますね。

大槻:プレゼンがうまいんです。あのうまさがトップショップをオックスフォード・ストリートに存続させているんです。価格も幅が広いので特別安いわけではありませんが、ちゃんと分けていますよ「見せどころ」と「売りどころ」を。

マイルズ:行くと何か「お得感」のようなものを感じます。

大槻:フランスで企画モノといえば、H&Mがうまいですね。

マイルズ:例えばラガーフェルドやカヴァリなどの限定デザイン。特にカヴァリの時はお客さんが並びましたね。アメリカでは、数分で売り切れてしまったそうです。「え~、数分で売り切れるんだ、うらやましい」って思いましたよ。

大槻:米国ではアバクロ(Abercrombie&Fitch)も人気がありますね。今やギャップ(GAP)を抜く勢いのブランドで、今度フランスにも進出するみたいですよ。

マイルズ:アバクロはもともと狩猟関連のアウトドア中心で、エディバウアーに似てました。それが、今や方針をガラッと変えて、セクシャル路線の完全なリブランディングです。PRの仕方も独特です。男性モデルは上半身裸でムキムキ。女性は美人をそろえてますし、店内のプレゼンも面白いですよ。真っ暗なんです。

大槻:そうそう、スポットライトがポッと当たっているだけ。あまりにも暗いから、手に取っても品質の良さとかはよく分からないんだけど、でも、あのカッコ良さでついつい買っちゃうんだよね。

ユニクロ
ユニクロ、欧州進出1号店。
フランス、パリ近郊新凱旋門近くのラデフォンス店
UNIQLO France

日本、アメリカ、欧州、それぞれの特徴は?

大槻:サービスに関して言えば、やはり世界一は日本です。「いらっしゃいませ」から始まって、全てのサービスがそろっている。一番ダメなのがフランス。でも、逆に言えばチャンスですよ。カスタマーサービスを良くすれば、お客さんはすぐに喜んでくれますから。

マイルズ:全く同感です。

大槻:フランスは設立してからもう10年になるので、ある程度慣れてきましたが、最初の頃は、社員教育でも「なんだこの国は!?」みたいな感じがありましたね。

マイルズ:僕も、フランスで初めて店員を見たときはびっくりしました。「これは違うだろ」って。日本では、商品がなくなる前に在庫を出して陳列させる、商品は気が付いたらすぐに畳み直すのが当たり前。けれど、それがこの国には全くない。決してフランスの店員が劣っているわけではないです。「気付き」なんですよ。日本では、当たり前に行われているようなサービスに気が付いてくれれば、フランスのスタッフも伸びると思います。

大槻::MUJIも最初は大変でした。僕は商品を畳ませるところから教えたのですが、「タタメ!」って言っても畳まないんですよ。「俺はこの会社の社長だぞ」と言っても、「私はあなたと面識がない」って。今でこそ笑い話ですが、最初は相当苦労しました。今僕が社員教育で必ず行うのは、商品知識を教えることです。普段の会話は雑談が多いのですが、新商品などが入荷すると、まず商品知識をしっかり覚えてもらう。日本のサービスを無理に教えるのではなく、商品を覚えてくれると、自然とその子たちもしっかり成長してくれるんですよ。

マイルズ:まさにその通り!フランス人は興味のあることは一生懸命にやってくれます。ですから、教える時に興味を持ってくれるように教えるよう努力しています。フランス人も、好きな事をやっているときは残業するんですよ。

MUJI
パリのシャンゼリゼ通り近く、テルン大通りにあるMUJIテルン店
Muji France / Hajime YANAGISAWA

日本人と欧米人の違いを一番感じるのは?

マイルズ:日本とアメリカの都会では、トレンドに興味を持っている人が多い。例えば、日本人がニューヨークに旅行したときに「アバクロ~」って買い求める人がたくさんいます。でも、フランスは特殊です。彼らは自分の消費バスケットを認識しているんです。靴にこれだけお金を掛けられる、カバンにはこれだけという具合に、いろんなブランドを持っています。しかも、この考え方は若い人だけでなく全ての年齢層に合てはまります。

大槻:ロンドンも似たような面がありますね、パーツ、パーツで買うというか。でもアメリカで一番特徴的なのがメディアとのコミュニケーションのうまさ。店舗での演出、メディアでのPR、我々が考えつかないような事をやってきますから。テレビを見てても「ウワァ~やられた」という感じ。消費意欲を刺激するうまさは断然アメリカです。

マイルズ:けれど日本進出を考えている企業があるなら、PRのうまさだけではだめです。瞬間風速はすごいかもしれませんが、日本だとそれだけではやっていけない。やはり日本では「信頼感」が一番。顧客サービスでどれだけ信用を得られるかということに尽きますね。

大槻さん大槻:僕が面白いなと思うブランドはZARAです。あそこは宣伝を一切しないんです。彼らが何に集中しているかというと「商品の回転」。10日に1回は、店の内容が全く変わりますから。お客さんにしてみれば「あ、いいな」と思っても、次に来たときにはその商品は無いんです。するとどうなるかというと「う~ん、買っちゃえ」てな具合になるんですよ。僕なんか、普段あまり物を買う方ではないのですが、ZARAでは、次に来たときには無いのが分かってるから買っちゃうんです。でも、家に帰って冷静に見てみたら「う~ん、イマイチ」なんて事もあるんですけどね。あの、価格戦略と商品の回転率、「もう無くなる」という恐怖感。うまい戦略です。

マイルズ:確かにZARAさんの「売り切れ御免」も戦略としてすごいと思いますが、弊社などは、お客さんがいらした時に商品がもう無いという状態は逆に恥ずかしい。常にお客さんのニーズに答えていくというのが弊社の考え方ですから。そういう事を考えると、やっぱりカルチャーの違いを感じますね。

大槻:MUJIはまさにZARAの対局ですから、ベーシックな部分をいかに維持していくかです。良質な商品とサービスを提供してお客さんの信頼を得て、固定客を少しずつ増やしていく。非常に日本的な考えなので、気の長い地道な作業ですが、それが実を結ぶと強みになっていくのです。MUJIフランスは、現在11万人以上の顧客リストを持っています。これはどういう事かというと、売り上げが落ちないんです。

マイルズさんマイルズ:他にフランスでびっくりしたのは、日本では一般的に小売業は、オープン後、新規のお客さんに割引クーポン券などを配ってもリターン率は1~2%程でとても低いのですが、フランスでは、そのブランドに対しての信頼と理解があればリターン率がすごいんです。

大槻:確かに欧州ではこのリターン率が高い。特にフランスとイタリアですね。ドイツはというと、けっこう特殊で「へらぶな釣り」に似てます。ずうっと待ってから、ようやく釣り上げる感じです。その代わり、一度釣ったらもう大丈夫という、ひとつの必勝パターンみたいなものがあるんですけどね。だから、ZARAのようにトレンドを追いかけて回転率の早い店舗は、ドイツでは今ひとつうまくいきません。逆にH&Mは売れてるんです。もともと北欧系のブランドですから大きいサイズの商品がたくさんあるので、体格の大きなドイツ人の間でもヒットしたのです。

マイルズ:今回、UNIQLOがフランスに進出してからの課題のひとつに「サイジング」がありました。フランス国内だけでも北と南で体型が違うのに、観光地パリにはドイツやスペイン、北欧、東欧といろんな所から人が集まるじゃないですか。

大槻:以前一度だけ、うちの店舗全体でお客さんの比率調査を行いました。一番観光客が多かったのは4区のマレ店です。リストを見てびっくり、ほぼ世界中の国籍がありましたね。そのリストでどの国の人がどのサイズのものを購入したかを見てみると、フランス国外から来た人の方が大き目のサイズを買うことが多かった。これは我々の勝手な解釈ですが、フランスに遊びに来られるだけの人なので、それなりの財力がある。つまり、あまりスリムな人がいないのかなという結論です。サイズとしてM(日本のL)以上。逆にフランスはS(日本のM)サイズが圧倒的に多いです。

マイルズ:特にパンツだと違いがあからさまに出ますね。股下の長さ、ウェスト、ヒップの大きさなど。弊社では、アジア型と欧米型の2種類の他、少し価格の高い商品ではさらに細かく設定しますが、「どのように生産コストを抑えつつ、良質の商品を提供できるのか」という部分が難しいところです。

大槻:今から13年前、ロンドンに最初のMUJIを立ち上げた時、我々はジョイント・ベンチャーでしたので、商品は全て日本からの輸入でスタートしました。でも、お客さんがフィッティング・ルームから出てくると、シャツは胸元が窮屈そうでしかも丈が短い、パンツはもうパツンパツン。日本サイズが欧州人に全く合っていないということを痛感しましたね。いったん日本からの輸入をストップし、東欧などを飛び回りながら日本から持ってきたパターンを基に、サイズ直しの日々が続きました。そして1997年、商品の30%分だけ欧州サイズのものを作って販売したところ、あっという間に売れたんです。その時の教訓から、現在MUJIで販売しているものは、全て欧州で制作した欧州サイズのものです。現在は次のステップとして、日本のデザイナーに欧州サイズのものをデザインしてもらい、日本、欧州共通のMUJIブランドの販売を考えています。

マイルズ:アパレル業界で、最終的に皆、一体どこに持っていきたいのかと考えると「世界規格」なんですよね。そこに到達すれば、まさに金山を見つけたみたいな感じです。UNIQLOも日本のデザインスタジオをニューヨークに移して、デザインを変えてみたり試行錯誤しています。ZARA、H&Mなどは、回転が早いので対応も早い。アパレル業界の2強です。

大槻:あの2社は、もうすでに「世界規格」に近いところまで来ていますね。この先の彼らの視野はおそらく、現在の客層の上下の層をターゲットに入れることです。その他にも生活雑貨の販売を始めたりと、戦略や動きは異常に早いですよ。ですから、今後我々は「世界規格」「世界標準」という地点に早く到達し、彼らの動きについて行かなければ負けてしまいます。フェデックス(FedEx)並のスピードで製造してるんですよ。いかに相手が巨大になって力を付けてきたかというのが分かります。

流行や限定品が好きな日本の客層に、逆輸入のような形でフランスや英国のMUJIやUNIQLOの商品を販売することは考えられますか?

マイルズ:実はUNIQLOでは、すでにそういった動きは始まっています。デザイン・インビテーション・プロジェクトなどで、欧米のデザイナーとタイアップで特別なラインを販売しています。「フランス」という部分を強調するわけではありませんが、明らかにスタイルも作りも違うというのが商品を見れば分かります。しかし、日本では都会と地方では人気商品も違いますし、そこをどのように調整していくかというのが難しい。ベーシックという軸が同じでも、東京で売れる商品と地方で売れる商品は全く違いますから。

大槻:都会と地方の違いという点では、フランスも一緒です。ZARAはパリだけでなく、パリ郊外から地方までたくさんの店舗を持っていますが、地方のZARAはパリの店舗とは商品構成が違うんですよ。トレンドを追って回転を速くするパリとは違い、地方ではベーシックをベースにして、商品の回転はそれほどさせないんです。

フランスでの宣伝戦略について

大槻:僕の今までの経験を基に、欧州店舗設立後、あらゆる媒体に宣伝を打ちましたが、全てだめでした。他のブランドは、どうやってブランディングを行っているのかというのが僕の最初の疑問でした。答えは「店舗」です。どこに店舗を出すかが、ブランディングの一番重要な所なんです。ここの住人がどこで、どのような消費行動を取っているのかを調べる。そして、良い場所を見つけたら、そこに店舗を開店させるということです。

マイルズ:ブランドの知名度が無いと、100人が広告を見ても、5人しかその広告に気付かない。そのうち来店してくださるお客様は1~2人ぐらい。非常に打率が低いのです。ブランディングが出来ていない間に、宣伝をいくら打っても効果は全く期待出来ません。

日本では当たり前の2000~3000㎡クラスの大型店舗は、将来的にフランスで可能ですか?

大槻:もちろん可能ですし、是非将来は大型店舗をオープンしたいと思っています。けれど、大きな問題が1つあります。どういった商品を売っていくかということです。電化製品ひとつを取ってみても、日本とフランスでは規格も安全基準も全く違うんですよ。ですから、一つひとつ許可を取っていかなければなりません。また、仮に商品基準が承諾されたとしても、それらの商品にニーズがあるかはまた別問題です。単に日本から商品を持ってくるだけでは、大型店舗を構えてもただの器になってしまうのです。それを防ぐためには、日本からのバックアップが必要不可欠です。商品開発も欧州のニーズに合ったものが必要ですし、何よりもマンパワーですね。とても、僕ひとりでは出来ません。

マイルズ:あと、フランスで大型店舗を出すときに一番難しいのが営業許可です。この許可が非常に難しく、時間もかかる問題なのです。例えば大きな店舗をオープンさせれば、目立つしインパクトもあります。でも市や区によっては「インパクトのあるものはダメ」と言われる。これは、「街の景観に合わないから」という理由の時もありますし、既存の小商人たちを守るということで大型店舗進出が無理な場合もあります。パリでの身近な例ですと、H&Mのシャ ンゼリゼ通り進出です。フランス国はH&Mのシャンゼリゼ進出を許可したのに、パリ市の回答は「ノン」。シャンゼリゼはパリの顔でもあるので、シャンゼリゼ通り組合の力は強いんですよ。この場合、大変なのは店舗を構える場所はすでに確保しているのに、オープン許可が下りないので家賃だけ毎月発生している。出費だけがかさんでしまうのです。

大槻:でもシャンゼリゼに関して言えば、あの場所はひとつのマーケティング・ツールですよ。儲けよりも、ネームバリューが大事な場所ですから。一番良い広告は「シャンゼリゼ店」ということになります。どんなに広告を打つよりも、あそこにポコッと店舗を押し込むだけで、誰でもそのブランドを知っているというような錯覚が生まれますからね。ZARAはその良い例です。初めてのパリ出店が、シャンゼリゼだったんです。もちろん、ZARA自身も出店には大きな障害があったと思うのですが、世界進出で力を付けてきたブランドだけあって、弁護士や相談役などそうそうたるメンバーをそろえていますから違いますよ。

ユーロ高騰で、商品の価格帯に問題は出ましたか?

マイルズ:価格設定は、その国の市場に合わせているのでユーロが高いから商品が売れないという事にはなりませんね。確かに日本から来たお客様は、円換算すると高く感じてしまうかもしれませんが、ターゲットはあくまでローカル・マーケットなので障害にはなっていません。欧州ローカル市場の他社の価格設定よりもお手頃感があることが、設定基準になっています。ですから、パリジェンヌから見れば弊社の価格帯は標準的、もしくは他社よりもお手頃価格、といったところだと思います。

大槻:フランスの消費税は19.6%ですし、関税も日本より高い。人件費も高い。必然と日本と同じ商品でも、日本人から見れば高いとなってしまうのはしょうがないことです。

マイルズ:分かりやすい例で言うと、ワイン付きのディナーを食べて50ユーロぐらい。これはフランスでは標準的な値段です。でもこれを円換算すると「8000円!こんな料理が」となります。ユーロが高いので円換算にすると高く感じますけど、もし1ユーロ=100円換算と計算すれば納得価格ですよね。だから、フランスでは円換算しないで現地の価格帯で判断するのが一番です。

大槻:給料もそうですよ。現在のレートで換算すると高いように思われがちですが、こちらの人に自分の給料金額を言うと「それしかもらっていないのですか?」と疑われます。

マイルズ:ソルド(バーゲンセール)の時に、日本からお客さんが来たので案内したのですが、「なんか日本とあんまり値段が変わらない」とガッカリされましたね。もちろん、ソルド終了間際の格安の時期に来れば、割安感を感じてもらえたかもしれません。時期によっては、日本の方が安かったりしますからね。

「フランスでの成功」の意味合いは?

マイルズ:アパレルやファッション業界では、パリでの成功は重要です。日本市場やアメリカ市場にも影響しますし、欧州内でもモスクワや東欧、中東など、グローバルな意味で見れば非常に重要です。

大槻:フランスでの成功の意味合いは、ZARAの成功がそれを物語っています。92年にシャンジェリゼ通りに海外初の直営1号店(ポルトガルを除く)を出店したZARAは、連日大行列が出来るほど成功を収め、それを機に一気呵成に海外出店して行き、そのユニークな商品戦略と出店スピードは世界を席捲し、それから15年後には世界一のアパレル(SPA)企業となりました。恐らく、シャンジェリゼ1号店の成功がなかったら、「ZARAブランド」の認知は今ほどではなかったでしょう。H&Mと同じような位置付けだったことを鑑みる、フとランス、殊にパリでの成功の意味合いが理解して頂けるのではないでしょうか。

最終更新 Donnerstag, 29 August 2019 17:25
 

もっと欧州生活を楽しく 欧州ジョーク集

欧州ジョーク集

外国生活を楽しむのなら、まずは現地のジョークを覚えるにかぎる。笑いのツボさえ判れば自然と現地人の性格もわかるし、トラブルも笑いでごまかせるかもしれない。いわば、笑いは世界の共通語だ。それでは欧州の主要3カ国をテーマにしたジョークのお披露目会、始まりはじまり。(ニュースダイジェスト3国編集部)


ドイツ

生活編

トイレ生活ジョーク① 病院にて
患者:先生、先生! 私は毎朝7時に大便が出ます!
医者:おぉ。それは大変結構なことじゃないですか。
患者:でも、先生。私の起床時間は7時半なんですよ!

生活ジョーク② 朝市にて
リンゴ買い物客: おばちゃん、これはドイツのリンゴ?あれも本当にドイツのリンゴ?
店のおばちゃん:あんたリンゴを食べたいのかい。それともリンゴと会話でもする気かい。

解説ドイツ人は皮肉屋。日常生活でもニヒルな笑いを浮かべたドイツ人の皮肉な発言が飛び交っている。そして、ドイツ人というと真面目なイメージが強い。真面目すぎる面があることはドイツ人も自覚しているので笑いのツボになる。一方、自分に興味のないことにはあっさり「どうでもいいよ」という態度をとるのもドイツ人。リンゴのジョークでも、産地にこだわる真面目なお客さんと、味が良ければ産地は関係ないと考えるいいかげんなドイツ人の二面性がかいま見られる。

飲み屋編

ビール・ジョーク① パブにて
ビールケルシュ派、アルトビア派、そしてピルスナー派の3人がキツーイ仕事の後、一杯やろうと飲み屋で会う。ケルシュ派は冷たい「ドーム・ケルシュ(Dom-Kölsch)」を、アルトビア派は、なにやらデュッセルドルフのまずい酒を(アルト・ビールのこと)、そしてピルスナー派はただの水を注文した。
ビールを注文した2人:君はなぜビールを注文しなかったのかね?
ピルスナー派:君らが本物のビールを飲まないなら、私も飲まないよ。

ビール・ジョーク② 自宅にて
ハンス君は宿題に追われている。
ハンス:パパ、ここの文章ってどういう意味?
──『家の中にビールはありません』
するとお父さんは急に「う~ん」と苦しげに唸って言った。
父親:これは勉強どころじゃない。これは……一大事だぁ!!!

解説ケルシュはケルン、アルトビアはデュッセルドルフ、ピルスナーはブレーメンの地ビール。ドイツは5000種類以上のビールが生産されるビール王国だ。それゆえにビールに対するこだわり、愛着は相当のものである。

スポーツ編

サッカー・ジョーク① 小学校にて
ビール先生:頭文字がBから始まる有名な人を3人挙げましょう。
生徒:バラック、バスラー、ベッケンバウアー!!
先生:あなたは今までに、バッハとか、ベートーベン、ブラームスという名前を聞いたことがあるかしら?
生徒:補欠選手に興味はありません!

サッカー・ジョーク② 小学校にて
新学期の初日、先生は生徒達と早く仲良くなりたくて、それぞれに自己紹介をさせました。
生徒1:私の名前はナタリーです。私は11歳で、パパは郵便屋さんです。
生徒2:僕の名前はペーター。10歳と6カ月。僕のお父さんはエンジニア。
生徒3:僕はヤンです。11歳です。僕のパパはゲイ・バーのストリップダンサーです。
ヤン君の自己紹介にびっくりした先生は休憩時間にヤンを呼び出し、お父さんの職業が本当かどうかと聞いてみると、ヤンは顔を赤くして答えます。
ヤン: 僕のパパはサッカー選手で、オランダ代表として試合に出てるんだ。でもそんなこと、恥ずかしすぎて言えないよ。

解説ケルシュはケルン、アルトビアはデュッセルドルフ、ピルスナーはブレーメンの地ビール。ドイツは5000種類以上のビールが生産されるビール王国だ。それゆえにビールに対するこだわり、愛着は相当のものである。

フランス

生活編

サウナ生活ジョーク① サウナにて
米国人と日本人とフランス人の3人がサウナに入っていた。すると突然、米国人の体の中から電子音が響いてきた。
米国人:実は、私の体には小型のポケベルが内蔵されています。
今度は、日本人から電子音が聞こえてくるので見てみると、彼が手のひらを耳に当てて電話をしている。
日本人:私の手の中には、小型の携帯電話が埋め込まれています。
そんな2人を見ていたフランス人は、あわててトイレに行って、おしりにトイレットペーパーの切れ端を付けて戻ってきた。
フランス人:今、僕もファックスを受け取った所です。

生活ジョーク② 日系企業にて
電球事務所の電球が切れたので、会社の社長はフランス人従業員に帰宅前に電球を交換するように通達した。しかし、翌朝になっても電球は取り代えられていなかった。
社長:なぜ電球を代えなかったのかね?
フランス人従業員: 誰が交換すべきか話し合いになったのですが、誰も、電球を交換するための賃金はもらっていないことが分かったので、交換しませんでした。

解説技術大国の日本と比べて、フランスの技術水準は3年分日本に遅れていると言われている。日本では既におなじみの、光ファイバーによるインターネット高速接続も2008年から始まったほど。そのわりに、フランス人は見栄っ張りなので仲間はずれになることを極端に嫌う傾向がある。しかも、ケチなくせに権利の主張が激しいので、ストライキもよく起こす。

政治編

政治ジョーク:フランス・ベルギー電話会見にて
ミッテランミッテラン大統領時代。当時のベルギー国王は、フランスにはびこるベルギー人をバカにしたジョークに嫌気がさして、ミッテラン大統領に提案をした。
ベルギー国王:ミッテランさん、たまにはおバカなことをやってベルギー人を楽しませてくれませんか?
ミッテラン:分かりました、やってみましょう。
そう言って、ミッテランは砂漠のど真ん中に巨大な橋を建設しました。このおバカぶりにベルギー国王は喜び、早速ミッテラン大統領に電話する。
ベルギー国王:いや~楽しませてもらいました。もう橋は壊してもいいですよ。
ミッテラン:それはなによりです。でも橋は釣りをしに来たベルギー人が帰ってくれるまで壊せません。

解説フランスでは、政治家などの有名人の顔に似せたマペット(操り人形)を使ったニュース番組「Les Guignols de l' info(レ・ギニョル・ドゥ・ランフォ)」が有名だ。フランスの現大統領はサルコジ氏だが、12年も大統領を務めたシラク氏やミッテラン氏は、いまだにこのギニョルによく登場する程の人気者。フランスには、英国や日本のような芸能やスポーツを中心としたタブロイド紙が少なく、どちらかというと政治家などを皮肉った風刺新聞の方が好まれている。だから、フランス人のジョークにはよく政治家の名前が登場する。

民族編

ブロンドブロンド・ジョーク5連発

①ブロンドが使ったパソコンの判別方法は?
パソコン画面に修正液の後がある

②月曜日の朝、会社でブロンドを笑わす方法は?
金曜日の夕方にジョークを言う

③ブロンドの才女と宇宙人の共通点は?
噂は良く聞くけど、誰も見たことがない

④戦争でブロンドから手榴弾を投げられたらどうするか?
安全ピンを抜いて、投げ返す

⑤なぜ、ブロンドのおでこは青いのか?
「私ってばかね」っておでこをいつも叩くから

ベルギー人ジョーク
好きなモノを叫んで飛び込むと、それでいっぱいになるという魔法のプールがあった。ドイツ人が「ビール」と叫んで飛び込むと、プールはビールでいっぱいになった。フランス人が「ワイン」と叫んで飛び込むと、プールはワインでいっぱいになった。日本人が「サケ」と叫んで飛び込むと、プールは日本酒でいっぱいになった。そして、ベルギー人はあれこれ考えてから、勢いよく走り出したが、石につまずいてしまい「クソ!」と叫びながらプールに飛び込んだ。

解説北欧や米国に比べてフランスには、ブロンド女性が少ないので、フランス人男性にとってのブロンドのイメージは、ハリウッド映画やポルノ雑誌に出てくるグラマラスな女性。だから「ブロンド=尻軽女=おつむが弱い」となるのだ。またフランスには外国人を小バカにしたジョークが多く、ベルギー人はその対象になることが多い。そんなことから、このブロンド・ジョークもベルギー人に置き換えて使われることもある。

イギリス

生活編

生活ジョーク:紅茶のマナー
サウナ日本人の駐在員が英国人貴族の家庭に招待された。まだ渡英したばかりのその駐在員は、英国式のテーブル・マナーを知らないことを大変気にしていた。そこで彼は、席の隣に座った英国人の仕草をとりあえず真似することでこの場を乗り切ろうと考えた。
招待された家では、まず紅茶が出された。彼の隣に座った英国人はその紅茶が入ったカップを少し傾けて、ソーサーの上に数滴こぼした。そこで日本人も、全く同じようにソーサーの上に紅茶を数滴こぼした。
次に、その英国人は独特の優雅な仕草でソーサーに今度はミルクをこぼした。これも日本人は真似して、優雅な仕草でソーサーにミルクをこぼした。
続いて英国人は、砂糖をソーサーに振り掛けた。日本人もこの動作を完璧に真似た。
最後に、英国人はそのソーサーを床に置いた。そのすぐ近くには、猫が横たわっていた。

解説英国人は、世界的にジェントルマンと認識されており、ここでも英国人独特の上品な作法がテーマとして扱われている。さらに何事においても真面目で真似上手と評判の日本人が登場することで、喜劇性に花を添えている。ちなみに、英国のジョークの中では、「R」と「L」の発音の区別がつかない日本人も頻繁に取り上げられる。例えばElection(選挙)とErection(ペニスの勃起)の違いなど恰好のネタとなるのだ。

飲み屋編

美しい女性とのスキンシップ
バーでロンドンの高級バーに、とても美しい女性が現れた。既にひどく酔っ払っていた彼女はカウンターにいた店員に近付き彼のヒゲを片手でなでながら聞いた。
女性:あなたがこの店の店長なの?
店員:違います。私はバイトとして働いているだけです。
その美しい女性は、今度は両手で彼のヒゲを優しくさすりながら次の質問を投げ掛けた。
女性:では店長に会わせてもらえるかしら?
美しい女性を前にして興奮した店員は、しどろもどろの口調になりながら答えた。
店員:ほ、ほ、本日、店長は休暇をいただいております。
女性:それでは伝言をお願いできるかしら。
店員:も、もちろんです。
トイレットペーパー女性は、店員の頬を艶かしい動きでなで出しながら甘い声でそっとささやいた。
女性:女子トイレにトイレットペーパーが切れているから補充しといてって言っといて。もう二度と手で拭きたくないから。

解説近年の英国では、若い女性の飲酒問題が取り沙汰されている。パブやバーなどで限度を超えてお酒を飲んだ挙句、救急車で運ばれたり、性病にかかったり、暴力事件や強姦事件に巻き込まれるといった事件が後を絶たないため、国会でも議題に挙げられているほどだ。また現地の日本人女性の証言によると、英国人女性の多くがトイレで用を足した後も手を洗わないのだという。

英国王室編

皇太子と魔女
魔女チャールズ皇太子が家の車庫に車を入れようとしていたら、誤って女王の愛犬をひいてしまった。彼は既に英国民全体を敵に回しているというのに、この事件が発覚して女王にまで嫌われてしまったらもう生きていけない、と思った。そこで彼はその犬の遺体を持って、願いを何でも叶えることができるという魔女のところへ赴いた。
チャールズ皇太子:この犬の命を取り戻すことはできますでしょうか?
魔女:さすがの私でも、死んだ者を生き返らすことはできない。ほかの願いであれば、何でも叶えてあげましょう。
チャールズ皇太子:私はかつて英国でもっとも美しい女性といわれたダイアナと結婚していました。でも間もなく離婚しまして、その後彼女は事故で死にました。そして今はカミラという女性と再婚して幸せに暮らしています。ただ、彼女の顔はとても醜いのです。カミラを、ダイアナと同じくらい美しい女性に変えることはできますでしょうか。
魔女:それはいくらなんでも無理でしょう。犬の命を取り戻す方がまだ簡単だと思います。

解説国民的な人気を誇ったダイアナ妃という美しい女性を妻として持ちながら、カミラという女性と不倫を続けていたチャールズ皇太子。やがてダイアナ妃と離婚し、さらには彼女が不運の事故死を遂げたことで、チャールズ皇太子は国民全体を敵に回すことになった。その後、彼は不倫相手だったカミラと正式に結婚するに至るのだが、カミラにはダイアナ妃ほどの華やかさはない。国民はどうしても、ダイアナ妃の残像を消すことが出来ないのだ。だからカミラはいつも損な役回りを受け持つことになる。ちなみに、英国人は王室をネタにしたジョークが大好き。日本では考えられないが、女王や皇太子が風刺画に描かれたり、お笑い番組のネタに使われたりする。

欧州ジョークを作るためのキーワード

ジョークとは、普段の生活の中で生まれてくる。それは、政治や経済であったり、民族問題だったり、芸能やスポーツの話題だったりと色々である。外国生活で語学に慣れてきたら、下記のステレオタイプを使って自分だけのジョークを作って活用してみよう。

英国 ジェントルメン、貴族、スマート、英国王室、女王、料理がまずい
フランス 仕事をしない、芸術、浮気、ワイン、料理がうまい、天の邪鬼
イタリア シエスタ、身振り手振りが大げさ、パスタ、美人、女たらし、サッカー
スペイン お祭り好き、闘牛、フラメンコ、酒好き、情熱的、ラテン
ドイツ 几帳面、真面目、ソーセージ、ビール、ナチス、ユダヤ人、法律を遵守する
ロシア 旧ソビエト、社会主義、国への忠誠心、堅物、ウォッカ、極寒
中国 共産主義、歴史がやたら長い、世界最大の人口、模倣商品、中華街、世界中にいる、迷信を信じる
インド マハラジャ、ターバン、紅茶、すぐ踊る、カレー、映画配給
日本 技術大国、残業大国、マンガ・アニメ、名刺、カメラ、お金持ち、集団主義
米国 世界の警察、英雄、裁判大国、合衆国大統領、ハリウッド、派手好き

[例]
タイタニック豪華客船タイタニックが沈没し始め、船長はまずは女子供を救命ボートに乗せられるように、各国の男性客に指示しに回った。
英国人へ:あなたが英国人なら、レディー・ファーストですよね。
米国人へ:あなたが、救命ボートを譲れば英雄になれます。
フランス人へ:早く救命ボートに乗ってください。
イタリア人へ:救命ボートを女性に譲れば、もてますよ。
ドイツ人へ:救命ボートを譲るのが、この船のルールです。
日本人へ:みんな救命ボートを待ってますので。
中国人へ:中国のことわざで「待てば幸ある」と聞きました。


海外在住だからこそ見えてくる日本人像

第二次世界大戦以降、日本は急成長を遂げ、技術大国、経済大国と世界から一目置かれる存在となった。しかし、その陰には日本人の勤勉さと忍耐強さがあるのだが、時によってかっこうのジョークのネタとなる。海外にいればこそ、見えてくる日本人像を基に欧米人を笑わせてみよう。

日本企業で休暇を取るには
東京の企業に勤めるフランス人のフランソワが、上司に休暇届を出した。
休暇届フランソワ:明日1日お休みをください。
課長:まず、後々問題にならないように以下のことを確認しておこう。1年間は365日で52週ある。週休2日制なので、それを差し引くと261日(=365-(52×2))となる。1日の労働時間は8時間なので、24時間のうち16時間は仕事をしていないことになる(261×(16/24)=174)。つまり87日(=261-174)になるわけだ。お昼休みは1日1時間なのでさらに46日(=365×1/8)分引くと41日(=87-46)。君は毎日30分はコーヒーブレイクをするので23日(=365×0.5/8)分引く、そうすると残りは18日(=41-23)。1年に2日は病欠しているから、残り16日(=18-2)。1年の祭日は7日あるので、残り9日(=16-7)。我が社は、有給が8日あるので、残りは1日しかない。君はその貴重な1日を休むと言うのかね?

日本人を怒らせる方法とは?:サミットにて
中国:「日本人を怒らせたいのだが、良い案を思いつかない。潜水艦で日本の領海を侵犯しても怒らないし」
韓国:「我が国は、竹島を占領しているが、W杯日韓共催は実現した」
ロシア:「北方領土を返さなくても怒らない」
北朝鮮:「では、我々が核ミサイルをぶち込んでみましょう」
米国:「いや、それはすでに実践済みだ」
5カ国:「一体どうすれば……」
テレビのニュース:「愛知万博で、入園者の弁当の持ち込みを禁止したところ、日本国民は大激怒、小泉首相まで出てくる騒ぎとなりました」
5カ国:「えーーーーー!」

解説このジョークは、中公新書ラクレから出版されている「世界の日本人ジョーク集」で紹介されているジョークを少しアレンジしたもの。日本式休暇計算式のジョークは、注意深く見てみると、お昼休みとコーヒーブレイクの計算が少し強引なのだが、日本人が寝る間も惜しんで仕事をしているという考えに違いはない。一時期、欧米で日本のオーバーワークぶりが大々的に報道され「カロウシ(過労死)」という言葉は、現在外国語の辞書にも外来語として収録されているという。
最終更新 Donnerstag, 29 August 2019 17:48
 

指揮者 角田鋼亮さんインタビュー

角田鋼亮さん角田鋼亮さんインタビュー

「のだめカンタービレ」をご存知だろうか。2006年のテレビドラマ化で大ブレークした、二ノ宮知子著作のコメディ漫画だ。クラシック音楽をテーマに、音大生の野田恵を中心とする個性あふれるキャラクターが繰り広げる青春もので、今春にはスペシャル版「のだめカンタービレ・新春スペシャル IN ヨーロッパ」も放送され話題となった。指揮者を目指す千秋真一の迫力ある指揮シーンに、目が釘づけになった人も多いと思うが、なんとその指揮指導をしたのが、今回ご紹介する角田鋼亮さんだ。現在、ベルリン音楽大学「ハンス・アイスラー」(Hochschule für Musik Hanns Eisler Berlin)に在学。今月27日に迫ったコンサートの準備で多忙な角田さんに、指揮の魅力、今後の夢などを語っていただいた。(編集部)

角田鋼亮(つのだこうすけ)
1980年、名古屋市生まれ。3歳よりピアノ、8歳から作曲を学び、中学・高校時代には母校のオーケストラ部で指揮を担当する。東京藝術大学音楽学部指揮科で指揮法を松尾葉子、佐藤功太郎各氏に師事。卒業後、進学した同大学大学院で2004年、クルト・マズア氏によるマスタークラスの受講生に選ばれる。05年4月、同大学院を休学し、渡独。同9月にベルリン音楽大学「ハンス・アイスラー」に入学、指揮をクリスティアン・エーヴァルト、合唱指揮をエバーハート・フリードリヒ各氏に師事する。

指揮を始めたきっかけを教えてください。

通った中学校、高校にオーケストラ部があり、顧問の先生が指揮者として誘ってくれたのがきっかけです。

指揮の楽しさとはどんなところでしょうか?

目に見えないモノ(音)を、身振りや手振りで形にしていくところがおもしろいですね。一つの曲は、作曲家の意志やその時代背景などを表すものです。曲、作曲家が大前提にあり、彼らのメッセージを聴衆に伝える。そして、その中間地点に立っているのが指揮者とオーケストラなんです。オーケストラを動かし、聴衆に音楽を伝えるのは難しいですが、やりがいがあります。

好きな作曲家は?

僕はドイツの音楽が好きで、作曲家ではモーツァルト、シューマン、メンデルスゾーン、マーラーがいいですね。感覚的、感情的なものを直接、音に表すフランス音楽と違って、ドイツ音楽は基本的に、思想的、哲学的、宗教的なものを形にしていると思うんです。そのプロセスや背景をたどっていくのが好きです。どういう考えを基に音楽をつくったのか、思いを巡らすのはとても楽しいですね。

現在はベルリン音楽大学「ハンス・アイスラー」で学んでいらっしゃいますが、ベルリンの街の印象は? また、角田さんにとってベルリンとは?

音楽的な刺激を受ける場所、自分のスタイルを確認できる場所、でしょうか。自分がこうありたいというものが詰まっていますね。さまざまな芸術の交流地点で、新旧が混ざり合い、都市と自然が共存している。その中で、いまの音楽が生まれていくのを見ることができる所だと思います。それから街中で、演奏会のポスターや、指揮者の大きなポスターが貼ってあるのを見かけると、音楽が身近にあるんだなと感じます。地下鉄でジプシーが演奏しているのも新鮮ですね。

留学中の「ハンス・アイスラー」と日本の大学との違いはありますか?

実践練習の回数が違います。断然多い。日本だと大体年1回のペースでオーケストラと対面して練習しますが、こちらでは月1回のペースです。指揮者を育てる環境がより整っているのは、ドイツだと思います。

角田さん
大学主催の「DirigentenWerkstatt INTERAKTION」にて

ドイツに来て今年で3年。ドイツ語は上達されましたか?

まだまだベルリン訛りは出ませんが(笑)、何とかなってきています。ちなみに、指揮を振る際は音楽用語があるので、普段の言葉とは違うんですよ。だから、その際は、「フォルテ」「ピアノ」などのイタリア語に逃げる場合がありますね。指揮をしているときには、一生懸命なのであまり意識しませんが、後になって、伝わらなかったもどかしさを感じることもあります。でも、口で説明するより体で表現しているので、ドイツ語ができなくてもいいのかも(笑)。

ベルリンがとても気に入っていらっしゃる様子の角田さん、ほかに好きな街はありますか?

街中に水のある風景が好きなので、ハンブルクやドレスデンは気に入っています。

好きなドイツの食べ物は?

ソーセージも好きですが、特にマウルタッシェンが大好きです。スープに入れるバージョンがいちばん好きで、スーパーで買ってきては自分でスープに入れています。ケバブも好きで、よく食べますね。

ところで、あの大ヒットTVドラマのスペシャル版「のだめカンタービレ・新春スペシャル IN ヨーロッパ」で、指揮者を夢みる音大生、千秋真一の指揮指導をされました。どういうご縁だったんですか?また、役を演じた玉木宏さんとの交流は?

知り合いに紹介されたのがきっかけです。玉木さんとは歳も近く、背格好も似ていたからでしょうか。彼は僕の指導をとても熱心に聞いてくれ、最後は役者としてではなく、一人の指揮者として彼と接しているような気分でした。彼が本番の時は、僕まで緊張してしまいましたね。

東京藝大在学中には、「モーツァルト・オーケストラ」を結成されました。現在は「クラング・フォーラム」と名前を変え、活動されています。

音楽を美術、建築、演劇とコラボレーションさせていきたいんです。音楽は基本的に、現代音楽以外は再現技術で、作曲家の意志があるので、あまり演奏を変えることはできません。なので、他の芸術と組み合わせることによって、別の視点から音楽を捉え、音楽の幅を広げていければと思っています。

今月27日には、ブランデンブルク交響楽団とのコンサートが行われます。意気込みを聞かせてください。

僕が指揮を務めるのは、カロル・シマノフスキ作曲「ヴァイオリン協奏曲第1番op.35」です。シマノフスキはあまり演奏されない作曲家ですが、この曲は神秘的かつ官能的で、オリエンタリズムに溢れた曲です。その部分を上手く表現できたらいいですね。

読者のみなさんがオーケストラのコンサートをより楽しめるように、指揮者の立場からアドバイスをいただけますか?

指揮者は、オーケストラよりも1拍前に音楽の情報を出しています。オーケストラを先導しているわけです。音が出る時点で情報を出すのでは遅くなってしまいます。その点を鑑賞していただけると、どう音楽が流れていくのか、方向性やキャラクターがわかって楽しめるのではないでしょうか。指揮者によって、作りたいバランス、音響構造が変わってくるので、違う指揮者で同じ曲を聞いて比べてみるのも一興かもしれません。また最近は、古典派の音楽は昔の弓を使って演奏するなど、演奏に幅が出てきています。昔は「語る音楽」でしたが、いまは「歌う音楽」です。音色も、流麗で均等に出されるようになっていて、そこを敢えて、昔に戻る試みをしているオーケストラもあります。気をつけて聴いてみると、音の違いに気がつくこともできるはずです。

27歳という若さで、すでに数多くの功績を上げている角田さん。音楽に対する情熱や意気込みに溢れ、かつ、とても謙虚なお人柄で、時折見せるあどけなさに、親しみやすさも感じさせてくれる方でした。今後の益々のご活躍が楽しみです。

「Podium Jugend Künstler Klassik-Sonderkonzert」

ベルリン音楽大学ハンス・アイスラー修了生たちの修了コンサート。ブランデンブルク交響楽団共演。

会場 Brandenburgertheater Großes Haus,
Grabenstrasse 14, 14776 Brandenburg/Havel
(Tel. 03381-5110)
日時 4月27日(日)15:00
曲目 Richard Strauss, Don Juan/Karl-Amadeus Hartmann, Kammerkonzert für Klarinette, Streichquartett und Streichorchester/ Karol Szymanowski, Konzert für Violine und Orchester Nr.1 op.35
チケット 8ユーロ(割引5ユーロ)
ウェブ www.brandenburgertheater.de
最終更新 Freitag, 30 August 2019 10:57
 

未来が見えるハノーバー・メッセ2008

未来が見えるハノーバー・メッセ2008

ロボット二足歩行するロボットや排気ガスを出さない車の開発など、夢のまた夢と思われていた時代があった。ところがいまや両者とも商品として一般市民にまで浸透し、最先端の科学技術はすでにずっと先の段階へと進んでいる。そういった夢が実現する、まさにその瞬間を見ることができる場所が21日に開幕するハノーバー・メッセ。今年は日本がパートナー国として参加していることもあって、絶対に見逃すことの出来ないイベントとなっている。(情報協力:JETRO Düsseldorf)

ハノーバー・メッセ2008とは?

世界の夢を叶える場所

「テクノロジーの複合見本市」と呼ばれるハノーバー・メッセの規模は、とにかくケタ外れ。世界60カ国から5000社以上の企業が出展し、最先端の科学技術をこの目で見ようと24万人もの観客が集まる。それだけの注目が集まる理由は、何といってもハノーバー・メッセが私たちの未来を映す場所だから。子どもが目を輝かすような独創性溢れる展示ばかりが集結するので、まるでテーマパークの中みたいに至る所に刺激が転がっている。さらに企業にとっては、これらの夢を使って新たなビジネス・チャンスを生み出す絶好の場所でもある。

メッセ

飛行機工場跡にできた見本市

ドイツでは戦前から様々な種類の見本市が各地で盛んに行われており、特にライプツィヒはそのメッカとなっていた。第二次大戦後、戦勝国の英国がドイツの経済復興を促すために大規模な輸出見本市を開催することを要請したが、旧東ドイツに位置するライプツィヒはすでに東欧圏入りしていたため、代わってハノーバーが開催地として選ばれた。同地には戦禍を逃れた飛行機のエンジン工場が残っており、世界中から人を集めるだけの巨大スペースとして最適と判断されたのだという。こうして1947年8月18日、世界最大級の輸出見本市が誕生した。

今年は日本がパートナー国に

毎年来場者を驚かせてくれるハノーバー・メッセだが、今年は特に要注目。というのも、日本がパートナー国として参加しているからだ。ジェトロがジャパン・パビリオンを設けるほか、参加を予定する約150社の日本企業による展示だけでも約3500平方メートルという膨大な敷地が埋めつくされることになる。また福田康夫首相の特使として、安倍晋三前首相もハノーバーを訪問予定。こうした政治家や各界のリーダーたちが一同に会する会議も多く用意されていることからも、まさに世界中が注目するイベントであることがわかるだろう。

メッセ

ハノーバー・メッセ2008の展示を一部紹介

未来の世界のロボットがここに
ファクトリーオートメーション

まず目を引かれるのが、いわゆる「未来型ロボット」が展示されるこの部門だろう。今年は日本の安川電機が開発した「双腕ロボット」による太鼓演奏も予定されている。またホール25で行われる、ロボットの機能を争う恒例の競技大会「ロボカップ」も必見。

世界が注目する環境問題でリードする
エネルギー

地球温暖化などで近年注目を集めるエネルギー問題。実はこの分野の技術開発において、ハノーバー・メッセはこれまで世界をリードしてきた。ここではシャープ、トヨタ自動車といった日系企業が、太陽電池や燃料電池自動車を使った最先端技術を発表する。

日系企業の発展が著しい
研究開発およびテクノロジー

新素材や超伝導技術などを扱う分野。ハイブリッド・カーや太陽電池など、この分野でも日本企業による技術開発が目覚しい発展を遂げている。世界初の青色LED製品化で話題をさらった日亜化学工業(株)による新構想の発表も予定されている。

日本ブースが設置される 主な専門見本市
ホール2 研究開発およびテクノロジー
ホール5 産業用部品
ホール6 マイクロテクノロジー
ホール7 INTERKAMA+
ホール11 ファクトリーオートメーション
ホール17 ファクトリーオートメーション
ホール27 エネルギー

マップ

ハノーバー・メッセ

日時: 4月21日(月)~25日(金)
開場時間: 9:00-18:00

入場料 前売券21ユーロ、当日券26ユーロ(1日有効)
前売券48ユーロ、当日券57ユーロ(期間中有効)
学生割引11.50ユーロ
住所 Deutsche Messe Messegelände 30521 Hannover
アクセス 入り口「Nord1」および「Nord2」
ハノーバー中央駅からUバーン8または18で約18分、「Messe/Nord」駅下車。
入り口「Ost3」
ハノーバー中央駅からUバーン8 または18で「Aegidientorplatz」駅まで行き、Uバーン 6または16に乗り換え、「Messe-Ost」駅下車。
入り口「Süd」および「West1」
340か341番のバス 利用、「Gutenbergstrasse」または「Messe/ Laatzen」下車。
期間中は、DBのREが「Hannover Messe/Laatzen」に臨時停車。入り口「West1へ」。
Tel 0511-890
Fax 0511-8932292
Web www.messe.de

メッセに関するお問い合わせ

ジェトロ・デュッセルドルフ(担当: 中川、中村)
住所 Königsallee 58 40212 Düsseldorf
Tel 0211-136020
Fax 0211-326411
e-mail このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
Web www.jetro.go.jp
最終更新 Dienstag, 03 September 2019 12:45
 

ジミー・ツトム・ミリキタニと「ミリキタニの猫」

ジミー・ツトム・ミリキタニと「ミリキタニの猫」

「The Cats of Mrikitani(ミリキタニの猫)」という映画をご存知だろうか?ニューヨークの路上に暮らす日系人画家を追ったドキュメンタリーだ。アメリカで生を受けながら日系人という理由で強制収容所に送られ、人生を奪われた男。あまりにも悲しい過去を背負いながら、彼は現在も誇り高く生きている。2006年、トライベッカ映画祭での上映を皮切りに、本作は世界の人たちにほほ笑みと痛み、そして希望を与えている。本作のプロデューサーを務めるマサ・ヨシカワ氏に執筆いただいた。

マサ・ヨシカワ
ニューヨークを拠点に、プロデュース、執筆、コーディネイト、ジャーナリズムなど多岐にわたり、日米の映画・テレビに携わる。

ミリキタニ

第二次世界大戦中にアメリカで日系人が強制収容所に送られた事実はあまり知られていない。日系人が多く住む西海岸を除けば、アメリカの歴史にそんな過去があったことを知るアメリカ人は少ない。でも日本人でも知る人は多くないでしょうね。特に若い人たちは……。

アメリカ生まれのアメリカ国民である日系二世も強制収容された。そのひとりがこの映画の主人公ジミー・ミリキタニ。彼の波乱の人生はそれだけにとどまらない。いや、一個人でこんな多くのテーマを人生に背負った人も珍しい。「ミリキタニの猫」で彼を通して描かれた問題は戦争、原爆、平和、人権・人種差別、社会保障、ホームレス、高齢者、日系人強制収容、9.11、アートによるトラウマの癒し(そして猫!)……。そんなテーマのドキュメンタリーなんていうと、暗い、あるいはシリアスだと思われて敬遠されそうだな。けれどその点、この映画はとてもユニークだ。戦争を始めいくつもの社会問題と向き合いながらも、悲惨なだけの話にならず、「面白く」(?)見られるんだから。アメリカの上映では所々のシーンで笑い声がよく聞こえた。それはミリキタニのエキセントリックなキャラクターに負うところが大きい。そして監督が日系人ではないことからくるいい意味での距離感があったからだろう。偶然の出会いから始まり、いくつもの予期せぬ展開を経た偶然の産物でもある。狙ってこんな話作れるものじゃない。なんとドラマチックな話になったことか。

2001年1月、ニューヨークのソーホーで路上生活をしながら画を描いている当時80歳の老人(ミリキタニ)のもとを、近所に住むこの作品の監督ハッテンドーフが通りかかったのがきっかけだ。猫の画に惹かれて声をかけたところ「写真を撮ってくれ」とミリキタニに言われて撮った映像が、結果的にこの作品の初撮影となる。もちろん9.11が起こるなんて予想できるわけないし、その後もどんどん思いがけない展開を見せていく。実際、ぼくがこの映画に関わるようになったのも監督と偶然同じエレベーターに乗り合わせたことからなんだから……。

映画のラストではよく笑っていたお客さんからすすり泣きが聞こえた。アメリカの観客が日系人のおじいさんに対してこんな反応をするのかと驚いたものだけど、純粋にミリキタニの人生に反応してくれていたんだ。涙することはあっても、暗い気持ちにならずに希望の光を見いだすような、見終わって「元気の出る」映画だったから多くの人の心に強くアピールしたんだろう。

1年余りの撮影期間と、さらに4年の歳月を経て完成した作品は2006年4月のトライベッカ映画祭で初上映され、観客賞を受賞した。日本では2007年秋に封切り。今でも上映されている所がある。また現在は、ドイツ全国で劇場公開中。ドイツ人は一体、どんな反応を見せるんでしょうか。すごく興味深いなあ。

現在ミリキタニは元気に(今は自分のアパートで)毎日画を描いて猫と一緒に暮らしている。

「Mother cat & baby cat © Jimmy Tsutomu Mirikitani
「Mother cat & baby cat」© Jimmy Tsutomu Mirikitani

「ミリキタニの猫」 (米=06 1h14)

2001年、ニューヨーク。ドキュメンタリー作家のリンダは偶然出会った路上画家に心惹かれ、カメラを回す。彼の名はジミー・ミリキタニ。80歳。撮影を始めて数カ月後、9月11日。街が騒然となる中、煙の中たった一人になりながら、いつものように、ジミーは黙々と絵を描いていた。思わずリンダは言う。「うちにいらっしゃい」。監督と被写体という界域を越えた共同生活を送るにつれ、ジミーの過去が明らかになっていく……。世界各国で高い評価を得たリンダ・ハッテンドーフ初監督作品。フランスでは、パリ映画祭(07)、リヨンのオーゼクラン国際映画祭(07)でそれぞれ観客賞を受賞した。

アメリカにおける日系人の歴史と日系人強制収容所

19世紀後半より農業労働のため日本人がアメリカへ渡るが、日本人に職を奪われることを恐れたアメリカ人により、日系人排斥運動が起こる。1907年、日米紳士協定により日本からの労働者移民は途絶える。その後、カリフォルニア州は日本人の土地所有を禁止。1922年、日本人は帰化不能外国人とされ、1924年には移民目的による日本人入国が禁止となる。

第二次世界大戦中の1942年、西海岸地域一帯に住む日本人移民と日本人の血が1/16以上入っている日系アメリカ人(従軍中の者は除く)は全員日系人強制収容所へ送られる。収容所ではアメリカ政府への忠誠心テストが行われ、アメリカ市民権を放棄させられた者も多数いた。戦後、日系人強制収容所が閉鎖された後も市民権はすぐに回復されず、長い年月を要した。

1988年、レーガン大統領は日系アメリカ人に対し公式に謝罪した。

主な上映館
Mirikitanis Katzen / The Cats of Mirikitani
ドレスデン Thalia Kino, Görlitzer Strasse 6, 01099 Dresden
ゲッティンゲン Lumière Kino, Geismarlandstrasse 19, 37083 Göttingen
アルピルスバッハ Subiaco- Kino im Kloster, Klosterplatz 2, 72275 Alpirsbach
フロイデンシュタット Subiaco im Kurhaus Kino, Promenadenplatz 1, 72250 Freudenstadt
ショルンドルフ Kleine Fluchten Kino, Hammerschlag 8, 73614 Schorndorf
シュラムベルク Subiaco Kino, Schiltachstrasse 32, 78713 Schramberg

最終更新 Freitag, 30 August 2019 11:07
 

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