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ユニークな発想でサステナブルな社会を目指す!ドイツの注目スタートアップ

ベルリンやミュンヘンなどを中心に、多種多様なスタートアップ企業が存在するドイツ。昨今では環境問題をはじめ、男女格差や多文化共生など、持続可能な社会の実現に取り組むスタートアップの活躍が目立つ。そんなドイツのスタートアップ事情と共に、ユニークなサステナブル商品・サービスを展開する、今注目のスタートアップをご紹介。アイデアに富んだ彼らの取り組みが、世界をもっと楽しくするヒントをくれるかも?(文・取材: ドイツ・ニュースダイジェスト編集部)

サステナブルな社会を目指すドイツの注目スタートアップ

合言葉は「サステナビリティー」気になるドイツのスタートアップ事情は?

コロナ禍でも成長中のスタートアップ界

近年、新たなスタートアップの聖地としてますます注目されているドイツ。ベルリンやミュンヘン、ノルトライン=ヴェストファーレン州などのハブを中心に、毎年数多くの企業が誕生している。2020年はコロナ禍にもかかわらず、ドイツ国内で2857社が新たに起業。これは、2019年よりも13%多い。国内2000社以上を調査したドイツスタートアップモニター2021の報告によると、1企業当たりの従業員数は20年の平均14.3人から21年は平均17.6人と23%増え、各企業の規模は拡大しつつある。

スタートアップの3割がグリーン企業

スタートアップ業界でも、トレンドは「サステナビリティー」だ。昨今の気候変動の影響で環境政策にさらに力を入れているドイツでは、ビジネスの世界でも社会的な理念を掲げることがスタンダードとなりつつある。グリーンスタートアップモニター2021の報告によれば、4社に3社のスタートアップ企業が企業戦略において社会的でエコであることを重要視しているという。また、製品や技術、サービスが環境に優しいいわゆる「グリーンスタートアップ」は、新興企業のおよそ30%を占める。

前述の調査で対象となった328社のグリーンスタートアップのうち、61%は国からの補助金を受け取っており、一般のスタートアップ(49%)と比較して多いことが分かる。一方でベンチャーキャピタルによる資金調達においては、一般のスタートアップの21%が投資を受けているのに対し、グリーンスタートアップは16%とやや遅れ気味だ。同調査では、グリーンスタートアップのさらなる支援のため、ドイツの新しい資金調達システム「Sustainability」の設立と州ごとの財政支援制度を確立させることが必要であるとしている。

ドイツではアイデアを具現化しやすい!?

ドイツで起業することの魅力の一つに、スタートアップのコンペティションの多様さが挙げられる。コンペにはスタートアップのステップ別に、起業前のアイデアやコンセプト、事業計画、すでに起業したスタートアップ自体や創業者を評価するなど、さまざまなカテゴリーがある。賞を獲得した企業は各ステップで必要な支援を受けられたり、ビジネスパートナーを獲得できたりといった特典も。また、エネルギー分野やグリーン分野など、業界別のコンペティションも増えてきている。スタートアップの規模にかかわらず、ドイツでは面白いアイデアを具現化し、ビジネスとしてさらに成功させるための土壌が整っているといえるだろう。

参考:ドイツ連邦スタートアップ協会ホームページ、Für-Gründer.de「Gründerwettbewerbe: Welche gibt es und welcherpasst zu meinem Start-up?」、Deutscher Startup Monitor 2021、Green Startup Monitor 202

ドイツ発!サステナブルなスタートアップ7選

おしゃれなガラスボトルでプラスチック削減!soulproducts

ウィーンで学生時代を共に過ごした、創業者のゲオルグ・タルネとパウル・クプファー。2人はドキュメンタリー映画「Plastic Planet」(2009)でプラスチックが環境に及ぼす影響を目の当たりにしたことをきっかけに、ペットボトルの使用を一切やめ、空になったワインやウォッカのガラスボトルに水を入れて持ち歩くようになった。そこから、もっと多くの人がペットボトルの使用を減らすようにと、ガラスボトルにおしゃれなデザインをプリントすることを思いついたという。

soulbotteles

デザインは友人たちに依頼し、ガラスボトルへのプリントは、ウィーン応用美術大学の地下にあるシルクスクリーン印刷と大きな陶芸窯を使ってプロトタイプを作成。すると瞬く間に人気となり、その後soulproductsを設立した。2018年までに50万本以上のボトルを販売。ガラスボトルは、取手やボトル部分は100%リサイクル可能で、キャップは陶器製になっているなど、とことん環境に配慮している。

創業者のパウルは「環境問題は自分たちだけでは解決できない」として、2019年からプラスチック削減に取り組むスタートアップ企業の助成プログラムも実施

創業者のパウルは「環境問題は自分たちだけでは解決できない」として、2019年からプラスチック削減に取り組むスタートアップ企業の助成プログラムも実施

soulproducts

創業者:ゲオルグ・タルネ、パウル・クプファー
創業年:2013年
拠点:ベルリン
www.soulbottles.de

手話を学べるパラパラマンガTalking Hands

Talking Handsでは、障がいのある子どもたちが手話を学ぶためのパラパラマンガを制作している。きっかけは、創業者の一人であるラウラ・モーンの姉がダウン症であり、言語を学ぶのに苦労したことにある。手話を学ぶためのイラストが描かれたカードは、これまでにもあったが、多くは単一な線で描かれていて、子どもたちの興味をそそるものではなかった。

Talking Hands

そこでラウラは、大学で共にコミュニケーションデザインを学んだマリア・モラーと、手話の動きをパラパラマンガにすることを思いついた。手話の専門家の協力も得ながら、まずは100の重要な手話から着手。ラウラがパラパラマンガの全てのイラストを手がけ、最終的には約2000ページ分を描いた。実際に使ってもらうと、子どもたちだけでなく、その両親もページをめくりながら動きを真似て遊び、手話の内容を理解するのに役立ったという。現在はパラパラマンガだけでなく、遊び感覚で手話を学べるアプリも制作中。

ラウラとマリアをはじめ、設立のきっかけとなったラウラの姉のジャミ(写真中央)もまた、チームの一員としてTalking Handsの活動をサポートしている

ラウラとマリアをはじめ、設立のきっかけとなったラウラの姉のジャミ(写真中央)もまた、チームの一員としてTalking Handsの活動をサポートしている

Talking Hands

創業者:マリア・モラー、ラウラ・モーン
創業年:2020年
拠点:フランクフルト
https://talkinghandsflipbooks.com

ゴミをファッションに変える魔術師MOOT Made out of Trash

ファッションデザイナーのニルスと、経営学を学んだミハエルの2人組のMOOT。ブランドの名前は「Made out of Trash=ゴミから作る」の略で、繊維くずをリサイクルした洋服を展開している。ニルスはデザイナーを目指していたものの、変化の激しいファッション業界へ疑念をもつように。利益を最優先するアパレル業界では、貴重な繊維製品があまりにも早く廃棄されてしまう傾向にある。そこで捨てられた繊維をアップサイクルし、新しい服を作ることを考えた。

MOOT Made out of Trash

そのアイデアに共感した友人のミハエルと共に、ビジネスとして始動。彼らの目標は、ゴミと思われるものからでも高品質な服は作れることを証明し、衣服に対する価値や意識を高めること。生地の品質や状態を一つひとつチェックし、さまざまな洋服を生み出している。この時期のおすすめは、廃棄された毛布とプレススタッズを再利用したコート。全ての毛布はヴァージンウールでできているため、寒い冬を乗り切るための強い味方に。

アップサイクルの醍醐味は、この世に二つとして同じデザインが存在しないこと。MOOTで販売される洋服もどんどん入れ替わっていくので、ウェブサイトは要チェック!

アップサイクルの醍醐味は、この世に二つとして同じデザインが存在しないこと。MOOTで販売される洋服もどんどん入れ替わっていくので、ウェブサイトは要チェック!

MOOT Made out of Trash

創業者:ニルス・ノイバウアー、ミハエル・プファイファー
創業年:2020年
拠点:ベルリン
https://moot.eco

ロックダウン中に生まれたアートパズルPRTS

2020年初旬、ドイツでロックダウンが行われるなか、創業者であるエヴェッカー夫妻は、同じく創業者である2人の友人と、たびたび4人でズームを使ってオンラインでトークを楽しんでいた。その会話の中で、家で過ごす時間を特別なものにするためのツールとして、本物のアート作品をパズルにするというアイデアが浮上。4人は早速、画家や写真家などに声をかけ、既存のパズルの粋を超えた美しいモチーフを提供してもらった。パズルは各作品1000個の限定販売。さらに購入者は、同じモチーフのアートプリントも入手できる(パズル代に含まれる)。パズルを楽しむだけでなく、完成後も飽きずに長く飾れるのがうれしい。

PRTS

またコロナ禍によって発表の機会が減ったアーティストたちにとっても、自分の作品を発表する機会や大切な収入源になったという。さらにパズルが購入されるごとに、障がいのある子どもや若者のためのNGO団体「タンデム」に寄付を行うなど、サステナブルな取り組みも。

パズルの種類を今後さらに増やすとともに、パズルのモチーフとなったオリジナルのアート作品を展示するポップアップギャラリーなども計画しているという!

パズルの種類を今後さらに増やすとともに、パズルのモチーフとなったオリジナルのアート作品を展示するポップアップギャラリーなども計画しているという

PRTS

創業者:ヤン・ゲルケンス、ニーニャ・エヴェッカー、アドリアン・エヴェッカー、ペレ・ブゲル
創業年:2020年
拠点:ハンブルク
www.prts-art.de

女性の身体にまつわるタブーを打ち破るThe Female Company

月経をはじめとする女性特有の健康問題。ドイツでさえオープンに話す人が少ないなか、アン・ソフィー・クラウスとシーニャ・スターデルマイヤーは、インドを旅行した際、インドでは月経がタブー視され、生理用品を利用できる女性が12%しかいないことにショックを受けた。そこから2人はThe FemaleCompanyを2018年に設立し、女性の身体に関するタブーを打ち破ることを理念に、親しみやすい生理用品販売を行っている。

The Female Company

また生理用品の減税(19%から7%へ)を求めるキャンペーンを支持。2019年には書籍が7%であることを逆手に取り、ブックレットとタンポンがセットになった「タンポン・ブック」を販売して話題を集めた。その後、2020年の1月から減税されたことは記憶に新しい。全ての製品に認定オーガニックコットンを使用し、初めて月経を迎える子のためのErste Periode Setや、産後の女性に役に立つMammaBox Setなども展開。またサブスクリプションボックスを購入すると、その利益でインドの女性に生理用品を提供できる仕組みになっている。

The Female Company

「月経のタブーは女性だけのものではない」という創業者の2人。最近では、パートナーや娘のために購入する男性利用者も増え、時代の変化を肌で感じているという

「月経のタブーは女性だけのものではない」という創業者の2人。最近では、パートナーや娘のために購入する男性利用者も増え、時代の変化を肌で感じているという

The Female Company

創業者:アン・ソフィー・クラウス、シーニャ・スターデルマイヤー
創業年:2018年
拠点:ベルリン
https://shop.thefemalecompany.com

アラビア語への偏見を払拭するパーカーHabibi

レバノン人の両親の元にドイツで育ったイマド・エル・ラエスは、両親からアラビア語を学んだが、書くことはできなかった。そのため、なおさらアラビア文字に興味があったというイマドは、親友からプレゼントされたパーカーに、自分で「Habibi」(アラビア語で喜び、お気に入りなどの意味)という単語を刺しゅうした。そこからスタートアップを設立し、さらに人気写真家がHabibiのパーカーをインスタグラムで紹介したことでブームに。購入者からは、パーカーを通して初めて近隣住民から声をかけられたという例や、教師がアラブ系の生徒たちと交流を深めるきっかけになったなど、ポジティブな反応を得られたという。

Habibi

一方で、このパーカーを来ていた女性が、空港でアラビア語の読めない検査員に職務質問されたことも。偏見をすぐになくすことは難しいが、偏見に気づき、対話のきっかけを生み出すことに意義を感じているという。T シャツやステッカー、ニット帽などもオンラインショップで展開。

今や移民国家となったドイツにおいて、アラビア語が決して政治的なメッセージであるだけでなく、もっと日常的で身近なものになってほしい、とイマド(写真左)は語る

今や移民国家となったドイツにおいて、アラビア語が決して政治的なメッセージであるだけでなく、もっと日常的で身近なものになってほしい、とイマド(写真左)は語る

Habibi

創業者:イマド・エル・ラエス
創業年:2018年
拠点:ブラケ
www.habibiyouknow.com

サステナブルグッズが届くお楽しみボックスTrendRaider

サブスクリプション方式でサステナブルな商品が届くTrendRaider。プレゼントをもらった際、包み紙を開けるまでの感情のたかぶりは誰もが味わったことがあるだろう。そのワクワク感を暮らしの中に気軽に取り入れ、さらに思いもよらないアイテムが届くことでより環境に配慮したライフスタイルを見直すきっかけになるように。そんな思いから、定期的に中身が分からないTrendBoxが届く仕組みが生まれた。

Habibi

TrendRaiderの使命は、誕生日でもなく特別に祝う理由もない日々でも、気分が高揚するエッセンスによって暮らしを豊かにすること。厳選されたサステナブル製品の中には、TrendRaiderでしか手に入らないユニークなアイテムも。TrendBoxのほかにも、BerlinBox、VeganBox、BeautyBox、HomeOfficeBoxなど、テーマ別にボックスを選べるのもうれしい。家族や友人へ贈るのはもちろんのこと、自分へのごほうびにするのもおすすめだ。

TrendBoxは、1回限りのお届けをはじめ、3カ月や12カ月のサブスクリプションなども選べるため、自身のライフスタイルに合わせて選べるのがうれしい

TrendBoxは、1回限りのお届けをはじめ、3カ月や12カ月のサブスクリプションなども選べるため、自身のライフスタイルに合わせて選べるのがうれしい

TrendRaider

創業者:アレクサンダー・ベルニカス
創業年:2017年
拠点:ベルリン
https://trendraider.de

 
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