ヨハネス・グーテンベルクが1445年頃にドイツで活版印刷技術を発明してから現在にいたるまで、本は私たちの手元から知識欲と感情とを刺激し続けてきた。印刷技術の向上や電子メディアの進出に影響を受け、現在、本をめぐる動向はめまぐるしく変化している。会場面積およそ172.000㎡、100カ国以上が参加する世界最大の本のメッセ「フランクフルト・ブックフェア」。ここから本の未来の可能性を垣間見よう。(編集部:高橋萌)
フランクフルト・ブックフェアとは
フランクフルトが本の流通の拠点となったのは16世紀頃とも言われている。中世の頃から知識人が集合する地として栄えてきたこの場所が出版業界を牽引し、多くの話題作を生み出してきた。第2次世界大戦後の1949年に第1回が開かれたフランクフルト・ブックフェアは今年でちょうど60周年の節目の年を迎える。
毎年10月半ばに5日間に渡って開催され、世界各国から出版関係者や著者、イラストレーター、翻訳家、また音楽業界や映画業界などマルチメディア業者が集まる、本とマルチメディアのフェア。7000組以上の展示参加者がそれぞれ書籍やソフトウェアを発表し、一方で版権の売買などの取引が行われる。
会場では実際に作品を読みながら、あるいは作者本人から直接話しを聞きながら交渉が進む。参加者は第2のハリー・ポッター、世界的ベストセラーを狙える宝の原石を探し当て、その版権を獲得するために作品に熱いまなざしを向ける。
版権とは?
版権とは著作権の一部を指す言葉。出版社がある本の版権を買い取るということは、出版社がその本を出版する権利や本を売り上げた利益の一部を得る権利などを有することになる。ベストセラーを生み出す作品の版権を取れるかどうかは出版社にとって大きな賭けとも言える。
注目のテーマ
ブログ⇔本⇔映画⇔CD⇔DVD?!
本とは? ── それは、ある内容を表現する方法の1つ。ある作品を発信するツールは今やウェブサイト、映画、PCゲームや音声情報など多岐に渡る。ブログの日記から小説が生まれ、小説が映画化され、ウェブ上に公開され、DVDが発売されるといったように、1つのコンテンツがあらゆるメディアで表現される「クロスメディア」の可能性は広がっている。会場には、本だけではなく関連映像やDVD、CDやiTunes、E-Bookも展示される。
デジタル時代の出版最前線を追う
情報のデジタル化とインターネットの普及が出版業界にもたらした影響は大きい。紙を媒体としない電子書籍の実用化、普及にいたる歩みもあと一歩のところまで来ている。図書館のデジタル化など、世界中から書籍情報にアクセスできる利点、教育現場での試みなどを紹介する。Web2.0、3.0など進化し続けるインターネット環境の中で出版業界を待ち受ける未来、マーケティング戦略の今後についても議論が交わされる。
マンガ・アニメに熱い視線
日本のマンガの人気はドイツでも突出しているが、特別招待国トルコやヨーロッパでも古くから風刺画やコミックが愛されてきた。今回はトルコのマンガ家によるワークショップや各国のマンガ家によるサイン会、100万人の応募の中から1位を決めるドイツマンガ大賞の投票に参加できる。また、19日14時半から行われるコスプレ大会(場所:Messegelände, Congress Center Messe Frankfurt, Ebene C2, Raum Harmonie)は、日本への往復航空券を手にするべくドイツ中からコスプレーヤーが集まる。
Fotos: Frankfurter Buchmesse
編集部オススメのイベント!
Das Big-in-Japan-Quiz日時 10月19日(日) 11:00~
場所 Messegelände, Comic-Zentrum, Halle 3.0 J807
日時 10月19日(日) 15:30~16:30
場所 Messegelände, Forum Dialog, Halle 6.1 E913
日時 10月15日(水)~19日(日)
場所 Messegelände, Halle 3.1.1 L 135
日時 10月15日(水)~19日(日)
場所 Messegelände, Halle 3.0 F 174
詳細:www.buchmesse.de/veranstaltungskalender/
基本情報
期間 | 10月15日(水)~19日(日) |
住所 | Messegelände, Ludwig-Erhard-Anlage1, 60327 Frankfurt am Main |
アクセス | フランクフルト中央駅からメッセ開場へ <徒歩10分> Düsseldorfer Straße、Friedrich-Ebert- Anlageを通りMesseturmまで <Sバーン> S3、S4、S5、S6で「Messe」まで <地下鉄> U4(Bockenheimer Warte方面)で「Festhalle/Messe」まで <シュトラーセンバーン> 16、17号線(Ginnheim方面)で「Festhalle/Messe」まで |
電話 | 069-21020 |
Fax | 069-2102227 |
ウェブ | www.buchmesse.de |
開場時間 | 商業目的/プレス関係者(身分証必携) 10月15日(水)~18日(土)9:00~18:30 10月19日(日)9:00~17:30 一般来場 10月18日(土)9:00~18:30 10月19日(日)9:00~17:30 |
入場料
商業目的の訪問者
[1日券] | 当日券(チケット売り場) | 36ユーロ |
前売り券 | 24ユーロ | |
研修生・学生 | 18ユーロ | |
[期間中有効券] | 当日券(チケット売り場) | 68ユーロ |
前売り券 | 48ユーロ |
一般訪問者
[当日券] | (土日のみ販売) | 12ユーロ |
[団体割引券] | (20人以上) | 10ユーロ |
[生徒] | 6ユーロ |
RMVのロゴ付きの入場券はRMVの交通機関(会場近郊の交通機関で有効)で使用可能な乗車券としても有効です。ICや、ICEはご使用になれません。
詳細は下記のウェブサイトをご覧ください。
www.book-fair.com/de/fbm/allgemeines/
特別招待国「トルコ」の多彩な魅力を堪能
1988年から毎年、1カ国の特別招待国がブックフェアを彩り、その国の文学者や知識人、出版社が参加するセミナー、文化紹介イベント、展覧会などが開催される。日本は1990年に特別招待国として参加した。
今年はトルコが「魅惑的かつ色彩豊かな」をスローガンに、文学のみならず政治、歴史、音楽や演劇などを250の関連イベントを通して披露する。地理的にアジアとヨーロッパの間に位置するトルコは2つの文化が混ざり合い、独自の芸術文化を発展させてきた。トルコ人作家として初めてノーベル賞を受賞したオルハン・パムク氏も来場し、トルコ文学などについて講演する。
来年以降のブックフェアの特別招待国
2009年 : 中国
2010年 : アルゼンチン
2011年 : アイスランド
ドイツで今話題の本 ベストセラーTop5