使い勝手がよくて長持ちするけど、デザインはイマイチ……
なんて言われていた時代はとうの昔。
進化を続けるメイド・イン・ジャーマニーを見直そうと、
ここに『独国製品愛好会』活動開始です。
愛され続けるには理由がある!
第1回目となる今回は、家に引きこもりがちなドイツの長く厳しい冬を、
より楽しく、快適にする名脇役を見つけてきました。
(Text by Megumi Takahashi)
自然素材の温もりを足元に。
Haflingerのルームシューズ
ドイツ製の靴と言えば、BIRKENSTOCKがお馴染みだけど、ルームシューズならHaflingerをオススメします。天然素材にこだわった、素朴だけど遊び心溢れるデザイン。足の健康を第一に考えたインソール(中敷き)が、やわらかく足を包み込み、その履き心地に病み付きになりそう。ちなみに、Haflingerとはバイエルンに起源を持つポニーの一種。この小さな馬が持つ、やさしく、友好的な性質を靴造りの理念に当てはめ、同社は履く人を幸せにする靴作りを100年以上続けています。
おしゃれと防寒は両立しなきゃ。
FALKEの靴下・タイツ
冷え性だと特に、足元の防寒が欠かせない冬。靴下1枚の存在感は侮れません。FALKEは1895年にフランツ・ファルケ氏が創設した靴下メーカー。人間工学に基づく機能美とデザイン性をあわせ持つ、ちょっと高級な靴下や肌着などを販売しています。左右の足の形に合わせた非対称な靴下や、ウォーキング用、スポーツ用、スキー用など、履く人の用途に合わせた靴下など、FALKEのこだわりに終わりはありません。タイツやレギンスは、色やデザインのバリエーションが豊富に揃っているのが嬉しい。
丈夫でカラフルなのが良い。
Hey Signのフェルト小物
見た目も触感も温かなフェルト素材は、これからの寒い季節にぴったり。今年でちょうど創業10周年を迎えたHey Signは、上質なウール100%のフェルト素材、目の覚めるような鮮やかな発色に並々ならぬこだわりを持っているフェルト製品のブランドです。扱っているのはコースター、ランチョンマット、カバンに椅子など、シンプルでモダンなデザインの日常雑貨やインテリア。見た目だけじゃない、フェルト素材の長所は軽くて丈夫なこと。ちょっとのことでは型崩れしません。
寝ている間にもっと健康に。
Fashyの湯たんぽ
子どもの頃、母がお布団の中に入れてくれた湯たんぽは、ゴツゴツと固い金属製だった。でも、ドイツではゴム製の湯たんぽが定着していますよね。ドイツ製の定番とも言えるのがFashyの湯たんぽ。フリースやニット、ぬいぐるみ素材など、ユニークでかわいい湯たんぽケースが揃い、これを選ぶのも1つの楽しみ。ゴム製品生産工場から湯たんぽ界のトップランナーへ。健康で快適な生活を支える製品を作り続けるFashy自慢の湯たんぽを布団の中に、この冬は安眠を手に入れよう。
手触りがやさしすぎる。
KAHLAの食器
KAHLAの「Touch!」シリーズにご注目。滑らかな陶器の食器、だけど手に触れる部分や食器同士が重なり合う所に、ベルベットのような繊維をプラスしました。世界初のこの試みで、数々のデザイン賞を受賞しています。カラフルなベルベット加工が白い陶器に映え、お茶の時間がもっと楽しくなりそう。また、このベルベットがカバーの役割を果たし、熱いお湯を注いだカップも楽々持てます。デザイン面だけでなく、機能面でも優秀。店頭で見つけたら、迷わず手にとってしまいそうな一品です。
いくつでも欲しくなる。
Alfiのポット
デザインとクオリティの両面で、世界中の一流ホテルやレストランから厚い信頼を得ているAlfiのポット。1914年に設立されたAlfiは、真空保温ポットの専門メーカーとして不動の人気を誇っています。世界中からデザイナーを募り、スタイリッシュで洗練されたフォルムのポットを提案。レトロクラシカルな「JUWEL」シリーズから、ポップでカラフルな「Kugel」、シンプルモダンな「Nomos」(写真)まで、真空保温ポットだけでなんと全36シリーズを揃えています。
コーヒーブレイクはさり気なく。
WMFのコーヒーメーカー
これ、何に見えますか?一見してコーヒーメーカーと分かったあなたは、かなり感の鋭い人。デザイン・品質・機能性でドイツだけでなく世界中でシェアを広げている食器・調理用品メーカーWMFが作ると、コーヒーメーカーはここまでかわいくなります。このコーヒーメーカー「WMF1」なら、飲みたいと思い立ってからたったの1分で、カップになみなみと注がれたコーヒーの出来上がり!20cm×20cm四方の小柄なボディながら、機能性も抜群です。カラーバリエーションは全5色。
パーティーしましょ、そうしましょ。
UNOLDのフォンデュ・セット
寒い日は、お鍋が恋しくなります。似たような感覚をヨーロッパ風に味わうとしたら・・・・・・チーズ・フォンデュやチョコレート・フォンデュを囲んでフォンデュ・パーティはいかがですか?本来はフランスやスイス発祥の調理方法だけど、ドイツでも大人気。いたるところでフォンデュ・セットが売られています。家電メーカーUNOLDのフォンデュ・セットは火を使わず、電気で温めるから子どもと一緒に安心して楽しめる。手頃な価格(およそ20ユーロ)が懐にもやさしい。
肌から健康を考える。
Dr.Hauschkaの保湿クリーム
乾燥肌が気になる秋から冬にかけて、保湿クリームの力を借りる人は多いはず。肌に直接触れるものだから、体に良いものを使いたいというこだわり派のあなたは、Dr.Hauschkaの化粧品をお試しあれ。100%天然成分のオーガニックコスメが、肌に本来備わっている代謝能力を高め、個々のお肌に十分な潤いを与えます。また、Dr.Hauschkaの保湿クリームは、アロマオイルがふんだんに含まれていて良い香り。日本でも購入できますが、お値段は倍以上するとか。お土産としても喜ばれそう。
種類の豊富さに脱帽。
Tee Handelskontor Bremenのお茶
青と白のストライプが目印のお茶屋さん。ブレーメンに第1号店を出したのが30年以上前で、今ではドイツ各地に店舗を構えています。創業以来、変わらぬ接客ポリシーは、訪れた客をリラックスした気分に導く癒しの空間を作ること。そして、その客の気分に合ったお茶を提案すること。紅茶の香りに包まれた店内には、同社専属のティー・テイスターがブレンドしたお茶がずらり百種類以上。緑茶や番茶など日本茶もあります。この店オリジナルの紅茶キャンディーもオススメです。
死海の塩でスパ気分。
Fetteのバスソルト
今年40周年を迎えたFetteは、死海の塩をベースにしたウェルネス・コスメティックの専門店。特に、昔から病気療養や美容・健康に用いられてきたミネラル豊富な死海の天然塩のバスソルトは、体を芯から温めます。リキッドタイプのアロマオイル入りバスソルトには、リラックス効果も期待できます。たっぷりのお湯に入れて、自宅でスパ気分を味わいましょう。40周年記念キャンペーン中の今なら、限定販売の死海の海洋深層水から採ったバスソルトとクリームも購入できる。(〜2010年まで)
いつまでも暗~い冬の朝に。
Medisanaのライト・テラピー(目覚まし時計)
朝がつらい。起きれない。そんな声があちこちから聞かれます。ドイツの暗い朝に我慢ならないという人は、ライト・テラピーを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか? Medisanaは、マッサージ器具など、家庭用健康器具などを製造している会社。この「Lichtwecker SAC」は、起きたい時間に合わせて徐々に明かりが灯っていくので、体が自然に目覚めの準備を始め、すっきりと朝を迎えられます。ライト・テラピー関連商品では、フィリップス社(オランダ)のものも良さそう。
冬のお供が手に入る場所
お近くの、KARSTADTやKAUFHOFなど
お近くの、dmやSCHLECKERなど
各社のウェブサイト、www.amazon.deなど
NANU NANA、BUTLERSなどの雑貨屋さん
編集部・高橋(編):メイド・イン・ジャーマニーの魅力について、世界中の雑貨を見てきた目利きのお2人にお尋ねします。まず、スタイリッシュという点ではイタリアに、モダンという点では北欧に、エレガントさではフランスなどに劣るかもしれませんが、メイド・イン・ジャーマニーならではの魅力ってなんでしょう?
塚本太朗さん(塚):私が初めてベルリンに来たのは、東西ドイツが統一された2年後。ほかの都市よりも物価が安いのに驚きました。これにもれず、蚤の市で売っている雑貨も安くてビックリ!しかも、デザイナーものや、レアものと呼ばれるものが並んでいたりして。旧東ドイツ国鉄の食堂車で使用されていた食器などには、デザイン性も然ることながら、そのフォルムに衝撃を受けました。そんなドイツ雑貨の魅力は、どこか物足りなさを感じるデザイン性だったり、色使いだったり。物資の供給が限られていた旧東ドイツならではのものが新鮮に見えたのは、日本という「過剰サービス大国」の反動かもしれません。日本には、本当に色々なものが(いらないものまで!)たくさんあるので。
森井ユカさん(森):そう、むしろその質実剛健で無駄のないところに惹かれます。私がドイツのものでもう20年くらい使い倒しているのが、ご存知RIMOWAのスーツケース(写真、右)とBIRKENSTOCKの靴。ビルケンを初めて買った時、お店の人に「ドイツの人は最低10年は履きますよ」と聞いて衝撃を受け、私もその通りに履いています。RIMOWAも、ビルケンの靴も、タイヤを修理したり、靴底を張り替えたりしながら何年も使い続けています。双方とも、質の高さはもとより、ファッション性から言えば、カジュアルにもフォーマルにも使えるところがまた素晴らしいと思います。また、ドイツ製品は品質に対する信用も高いと思います。私の本職は立体造形ですが、使用している粘土はドイツ製です(FIMO)。
編:オススメのドイツ・ブランドを教えてください。
塚:個人的にあまり新品のものに興味がないのですが、強いて言えばWMF。あとは、ローゼンタールのスタジオラインや、ローゼンタールのトーマス(写真、右:調味料入れ[酢・油])というブランドの陶磁器ですね。
森:ハーブティーなのですが、パッケージが素敵で外に出して飾っておきたくなるのはSalus社のムーンティー(Mondphasen-Tee)です。これでお茶を出すと、友人やお客さまに喜ばれます。また、プレゼントで「使う」なら、ドイツ郵便局のボックス。海外の郵便ボックスは、プレゼントによく使います。
編:塚本さん、最後に蚤の市の極意を教えてください!!
塚:う~ん。早起きですかね。「早起きはなんとか……」って言いますけど、その通りです。
編:なるほど。ちょっと物足りないけど無駄のないデザインと、使うほどに愛着が湧く機能性。まさに人生の伴侶のような存在感がメイド・イン・ジャーマニーの魅力の1つかもしれませんね。ありがとうございました。
THE CONRAN SHOP退社後、リドルデザインバンク設立。デザイン業を生業とする傍ら、イベントプロデュースなども手掛ける。また、ドイツやオーストリアから買い付けてくる雑貨店「マルクト」を運営。同名の著書もあり。 www.riddledesign.cc
LAMYの万年筆を愛用しています。2006年のドイツ限定色で、日本には1500本しか入っていないとか。ドイツにはたくさんありましたけどね。下のマウスパッドもずっと使っています。これも蚤の市で見つけました。
立体造形家で雑貨コレクター。雑貨の中でも、主に実用的な道具や、スーパーマーケット雑貨が専門。小さいものを作ることと、愛でることを仕事にしている。最新刊に『雑貨コレクターの旅スタイル』(河出書房新社)。 http://yukazakka.blog.so-net.ne.jp
テレビ塔グッズをよくお土産に買います。塔のデザインが、ロシアや中国にも通じる「共産圏の目指す豊かな未来」風なのが良い。このテレビ塔は、土台からスポッと抜けてペンになります。立派すぎてペンに見えませんが。