ジャパンダイジェスト

旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

ダッハウの青年らが造るはつらつとしたビール

ミュンヘン中央駅からSバーンで約20分。ダッハウ駅に降り立つと、緑豊かな木々の香りと共に、どこか愁いを帯びた静謐 (せいひつ)な空気に包まれた。「ダッハウ」をインターネット検索すると、「ダッハウ強制収容所」についてのページが多くを占める。ナチス支配下の1933年、この街の郊外にドイツで最初の強制収容所が建てられた。このダッハウ強制収容所は後に造られる数多くの強制収容所のモデルとなり、ユダヤ人やナチスに反対する人々などが収容され、3万人を超える人々の命が奪われたという。敷地内には慰霊碑や当時の様子が復元された収容房、ガス室などがあり、戦争がもたらす悲惨な歴史と負の遺産を伝えている。

とはいえ、ダッハウの明るい面にも注目してみよう。約1200年の歴史を持つ美しい旧市街には見どころも多い。歴史的な市庁舎をはじめ、季節の花々で彩られた英国庭園、高台にあるダッハウ城からはアルプスの山々を望むことができる。

この街にある新進気鋭の醸造所が、アンパー醸造所だ。街を流れるアンパー川にちなんで名づけられた。創業者は、街に住む5人の青年。正式な会社名には、彼らの名が仲良く並べられている。2011年に自分たちが楽しむために50リットルのずんどう鍋でビールの醸造を開始。さまざまな醸造プロセスや原料の配分を試すうちにビール造りの面白さに惹かれ、2016年に自分たちの醸造所をオープンさせた。ドイツの伝統的な製法を尊重しつつ、発酵の途中でホップを投入するドライホッピングや、ホップの産地に赴き収穫したての生ホップをすぐに釜に投入するフレッシュホップビールにも挑戦。自分たちの方法で楽しみながらビールを「再解釈」している。

「Amperrauschen」は同醸造所の旗艦 (きかん)ビールで、口に含めばロースト麦芽の香ばしい甘みに、はつらつとしたホップの香りが押し寄せてくる。アンパー川のようにきれいな味わいのビールだ。

www.amperbraeu.de

vol.78
Amperrauschen

Amperrauschen

 
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