ジャパンダイジェスト

旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

古都バンベルクの最新クラフトビール事情

ビールの優れた伝統製法で知られたドイツにも、クラフトビールの新風が吹いている。なかでも最先端の技法を取り入れているのが、ラオホビールで知られる古都バンベルクに拠点を置くブリーチ・ブリュット。自社の設備を持たずにビールを造って販売する「ファントム(幽霊)ブルワリー」で、近年クラフトビール界で注目されている形態だ。設立者のベネディクト・ステーガー氏はベルリン、ロンドン、パリの醸造所で修業を積んだ後、バンベルクにある家族経営のビンケルト醸造所を借りてビール造りを始めた。

容器には、小規模醸造ではまだ珍しいアルミ缶を使用。ドイツでビールの容器というと、繰り返し使用できるガラス瓶が主流だが、世界的にはアルミ缶への移行が進んでいる。缶は瓶に比べて遮光性、気密性に優れており、ビールを劣化させる光から守ってくれる。落としても割れることがないのもありがたい。

GREENHORNは英語で「若輩者、青二才」の意味。最先端のビールでありながら、ラベルのイラストは古いテレビゲームのような粗いビットで描かれているのが面白い。ビールのコンセプトやイメージを容器いっぱいにデザインできるのも缶の長所といえる。

ビアスタイルは、アメリカ東海岸生まれの「NEIPA」。白濁とジューシーさが特徴で、2018年に米国のスタイルガイドラインに掲載されたばかりのニュースタイルだ。口にすればトロピカルフルーツのような香りが広がり、まるでミックスジュースのよう。心地よい余韻が長く続くが、キリリとしたホップの苦みも感じられ、もたつき感がない。

このビールを特徴づけているホップは、「クライオ」と呼ばれる最新鋭のもの。ホップを低温下で粉砕した後、苦味と香り成分の元となるルプリンのみを抽出しペレット状にしたもので、ホップの成分がギュッと濃縮されている。まさに時代をリードするクラフトビールだ。

www.blechbrut.de

vol.74
GREENHORN

GREENHORN

 
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