ドイツでは業者限定の国際見本市から一般消費者向けのサロンまで、ワインフェアが多数開催されています。今回はお勧めを選んでみました。
〈 業者向けフェア 〉
「ProWein」デュッセルドルフ毎年開催
(次回は2015年3月15~17日)
メッセ・デュッセルドルフ社が開催するワイン&スピリッツ専門見本市。1994年にスタート。20年を迎え、出展者数ではボルドーの「Vinexpo」、ヴェローナの「Vinitaly」を上回る世界最大規模の見本市に成長。2014年の出展者数は4830社。うち845社がドイツ本国、3985社(82%)が外国の出展者。イタリア、フランスの出展者が圧倒的に多い。訪問者数は約4万9000人で、うち45%が国外から。出展者、訪問者ともに年々着実に増加している。2013年からは中国・上海でも「ProWein China」を開催、英国のワイン教育機関WSETを招へいし、セミナーに力を入れている。
www.prowein.de
「Intervitis Interfructa」シュトゥットガルト
3年に1回開催(次回は2016年4月27~30日予定)
ドイツ・ワイン生産者協会が中心となって組織し、シュトゥットガルト・メッセで開催する技術見本市。ワイン、フルーツ、ジュース、スピリッツの生産に関するあらゆる技術が対象。農業機械からタンク、樽、ボトリングライン、パッケージに至るまでの最新技術をキャッチできる。2013年は24カ国から567社が出展。
www.messe-stuttgart.de/de/intervitis-interfructa
〈 一般向けのフェア 〉
「Forum Vini」ミュンヘン
毎年開催(次回は2014年11月14~16日)
今年で30回目を迎えるワイン&スピリッツ・フェア。主催者の交代があり、今年からはワイン関連の出版社マイニンガー社が主催。2013年は国内外から270社が出展、9000人が訪れた。ドイツ、イタリア、オーストリアから合計150醸造所が出展。食材業者も出展している。
www.forum-vini.de
「Wein Düsseldorf」デュッセルドルフ
毎年開催(次回は2014年11月8~9日、場所:インターコンチネンタルホテル)
ヴェーバー・メッセ社が主催ドイツを中心に約100の醸造所が出展。 ハンブルク、ハノーファー、ケルン、ミュンヘン、 シュトゥットガルトなどでも開催されている。
www.weinduesseldorf.de
「eat & style」毎年開催
(次回はベルリン2014年11月14~16日、シュトゥットガルト11月21~23日)
フレート・イベント社が主催する、今年で9年目となるフード・フェア。出展者400社、今年はすでにハンブルク、ケルン、ミュンヘンで開催。 合計訪問者数は11万人。メインスポンサーでもあるドイツ・ワインインスティトゥートの「wine & style」のブースでは13生産地域のワインが試飲でき、ワイン関連のセミナーも充実している。
www.eat-and-style.de
このほか、ワイン商が主催するフェアがあります。秋冬はワイン関連の催し物が多いので、お近くの店舗で尋ねてみてください。
リザ・ブン醸造所
ラインヘッセン、ニアシュタインの家族経営の醸造所。現在、ワイン造りに取り組んでいるリザは4代目。少女時代は、天候に左右されながら週末も仕事をする両親の姿を常に見ていたため、醸造所の仕事には魅力を感じなかったと言う。醸造家の仕事の面白さを再発見したのは、税理士事務所、幼稚園、ホテル、旅行代理店などで実習体験を積んだ後のこと。アビトゥア(大学入学資格)取得後はラインヘッセン地方の醸造所などで実習を積み、大学では国際ワイン経済学を専攻。学生時代にオーストラリアと南アフリカの醸造所で研修した。「ワイン造りは1年サイクルでしか学べない。困難なヴィンテージに何度も遭遇している父母や祖父母から学ぶことはとても多い」と言う。所有畑は10ヘクタール。ニアシュタインのヒッピング、エールベルク、オルベルでは主にリースリングを育て、その他の畑ではブルグンダー種に力を入れている。リザのリースリングに対する評価は高く、目下、注目の若手醸造家の1人でもある。
Weingut Lisa Bunn
Mainzerstr. 86, 55283 Nierstein
Tel. 06133-59290
www.weingut-bunn.de
2013 Chardonnay vom
Kalkstein trocken 7.50€
2013年 シャルドネ・フォン・カルクシュタイン 辛口
リザは醸造所の運営に関わるようになってから、ジーガーレーベ、ファーバーレーベ、フクセルレーベ、ケルナーをリースリングとブルグンダー種に植え替え始めた。また、生産しているワインのコレクションを、フルーティーで生き生きとしたグーツワイン、テロワールを前面に感じさせる遅摘みのオルツワイン(いわゆる村名ワイン)、自然醗酵後、長期にわたって酵母と接触させ、最後にボトリングするラーゲンワイン(単一畑のぶどうから造るワイン)の3段階に整理し、商品構成を明確にしたという。ご紹介するシャルドネはディーンハイムの単一畑、石灰岩土壌のターフェルシュタインのものだが、エチケットには畑名を表示していない。2013年は開花期の天候が思わしくなく、花震いのため結実が悪かった。そのため、80%は種がなく、ごく小粒にとどまったが、その後は順調に成熟し、甘く凝縮したぶどうが収穫できたと言う。ぶどうのアロマの多くは果皮に含まれているが、小粒だったため果皮の割合が果汁に対して高く、味わい豊かなワインになったそうだ。醸造時には彼女自身が足で踏んでぶどうを破砕し、一夜にわたってスキンコンタクト。10%をバリックで自然醗酵、残りはステンレスタンクで醗酵させたもの。滑らかで肌理の細かな舌触り、ほのかなナッツと洋梨の風味、ソルティーな後味、そしてあくまで軽快。タパスを肴にグラスを傾けるときにぴったりのワイン。